こんにちは、CLINICIANSの代表のたけ(@RihaClinicians )です!
今回は呼吸のフィジカルアセスメントを行う際に非常に重要な体表からみた肺の位置関係を把握する方法について詳しく解説します。
それでは、さっそく体表から容易にみえる骨のランドマークから、葉レベルの位置関係の把握する方法についてみてみましょう。
以下の手順で各葉の位置関係を把握していきます。文章と同時に図(右肺のみ)もご参照ください。
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最重要ポイント!胸骨角を見つける!
まず始めに、患者さんをパッと見ただけでもわかりやすく、各肺葉を見つける手がかりとなる胸骨角を見つけます。
胸骨角は、胸郭の前面部にある胸骨の最も出っ張っている箇所です。
胸骨角の左右には第2肋骨が付着しています。
この箇所は、聴診で左右の気管支呼吸音が聴取できることも重要ですので、これも同時に覚えておきましょう。
前面における上葉の範囲を決定する
胸骨角の横に第2肋骨を見つけたら、そこから胸郭前面の肋骨を尾側(下)方向へ一本ずつ触りながら第4肋骨をみつけてください。
前面における上葉は、第4肋骨より頭側(鎖骨・鎖骨上窩まで)の範囲にあります。
前面における中葉の範囲を決定する
次に、第4肋骨よりもさらに尾側方向に肋骨を触診し、第6肋骨をみつけてください。
前面における中葉は第4~6肋骨の間の範囲となります。
側面と後面における上葉・中葉の範囲を決定する
さらに、今度は反対側、背側にあるTh2棘突起を探しましょう。
これを見つけると、前面だけではなく、後面・側面の全ての方向からみた上葉と中葉の位置関係がわかります。
Th2棘突起は、Th1とC7棘突起を探してその下を探せばすぐ分かるので、まずこの二つを見分けましょう。
Th1とC7棘突起を見分ける方法はいくつかありますが、C7棘突起は、頚部を最大屈曲させた際に首の下辺りに最も突出するので、まずは頚部を最大屈曲させてC7棘突起と思われる箇所を探します。
その1つ下がTh1と仮定し、両方の棘突起に鉛直方向と直角に2本の指を当てます(両手を使っても片手でもいいです)。
その状態のまま、頚部を回旋させて動きが大きく、頚部を伸展させたときに指から逃げて中に入るような動きが生じるものがC7棘突起です(Th1は逆に回旋が小さく、伸展で逃げない)。
C7棘突起がわかったら2つ尾側がTh2です。
Th2を見つけたら、先ほど見つけた第6肋骨点(鎖骨中央線と交わる点)とTh2を線で結びます。
後方から見て、第6肋骨点(鎖骨中央線と交わる点)とTh2を結んだ線よりも頭側が後面の上葉の範囲です。
さらに、第6肋骨点(鎖骨中央線と交わる点)とTh2を結んだ線と、第4肋骨点(鎖骨中央線と交わる点)から水平面と並行にこの線に向かって線を引きましょう。
中腋窩線の箇所で交わるかと思います。
第6肋骨点とTh2を結ぶ線と、第4肋骨点からこの線に対して並行に伸ばした線に囲まれる範囲が中葉です。
これをみると中葉は前面と側面のみに位置しているので後面からは聴診できないということがわかります。
下葉の範囲を決定する
上記を見て既におわかりかとは思いますが、下葉は第6肋骨点とTh2を結ぶ線より尾側に位置しています。
下葉の最下部は第6肋骨点と第8肋骨点(中腋窩線と交わる点)と10肋骨を結んだ箇所となるため、下葉は第6肋骨点とTh2を結ぶ線より尾側で、第6肋骨点と第8肋骨点(中腋窩線と交わる点)と10肋骨を結んだ線に囲まれる範囲になります。
つまり、中葉とは逆に、下葉は後面(~側面)のみにあるので前面からでは聴診できません。
第8と10肋骨の見つけ方は、第6肋骨までは中葉をみつける際に触診していますので、第6からさらに尾側方向に肋骨を数えていけばよいでしょう。
ただし、このあたりは数えているとわからなくなることが多いです。
肋骨は上から数え直していると時間がかかりますが、下からも数えることができます。
下から数える方法は非常にわかり易く、早いため覚えておくと良いかと思います。
方法は、ウエスト辺りを手で覆うようにしてぐっと深部に押し込み、その手を頭側に持ち上げるとおそらく第11か10肋骨を触れることができます。第10肋骨は胸骨と肋軟骨を介して繋がっており、第11肋骨は繋がっていません(浮肋)。
よって、ウエストに手を押し込んで肋骨が触れたら、後方から前方にたどって、肋骨に連続性があるかどうかといった所見を見分ければ直ぐに判別がつきます。
以上で、体表の前方・側方・後方からの、肺の葉レベルの位置関係が全てわかりました!
お疲れ様でした。
今回は右肺で記載しましたが、左肺の場合も同様の方法で位置関係がわかります。
ただし、右肺の中葉にあたる部分は上葉の舌区となります。
資料により、ランドマークの掲載に差異はありますが、これはあくまで目安としてとらえ、臨床では画像所見、視診、触診、聴診、打診などと合わせて使用すれば特に困ることはないと思います。
病態をとらえる際は、胸部レントゲンなども有用ですので、これらの所見を総合して考えてみましょう。
https://connect-clinicians.com/respiratory-circulation/lung-diagnostic-…-silhouette-sign/
参考資料・おすすめ書籍
今回参考にさせていただいたのは2つの書籍です!
両方ともかなりのおすすめ書籍ですが、特に前者はかの有名な宮川先生の本で臨床で困ることの隅々まで手が行き届く内容になっています。治療に直接役立つスクィージングの方法も丁寧に画像やDVDを使用して解説されており、非常に役立つちょーおすすめ書籍!
後者の本は、胸部X線のことがメインに書かれている本ですが、フィジカルアセスメントの能力をさらに拡張させるための胸部X線のことについて本当に細かいところまで掲載されているのでおすすめですね。
マニアックだけどかなりわかりやすく書かれており、僕も今でも臨床中にたまに見て復習しています。
みなさんもぜひ一度読んでみてくださいね!
本日は以上で終わりです。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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