その他

動きを見るための基礎知識–関節運動に関与する力–

皆様、こんばんわ!

”筋肉の働きを計測できる”筋電計と呼ばれる機器を使って研究をしているMura(@MuraokaHideaki)です(^^)

今回は
動作と筋活動を正しく結びつけるために”必ず”理解しないといけない
”関節運動に関与する力”について理解を深めていきたいと考えてます。

学生さん・新人さんにはオススメです^ ^

関節運動に関わる力の話

関節が運動するには”何かの外力”が必要となります。
何らかの外力とは、ときには”筋活動”であったり、はたまた重力であることもあります。

関節を運動させる主な外力である以下の3つを覚えていきましょう!

①重力(※重力に伴う反力等も含む)

②筋活動

③関節構成体の伸張によって生じる力

この3つが関節を運かす主要な外力です。
これらを大まかに理解できれば、臨床の見方が変わるかもしれませんよ^ – ^
では、1つずつ見ていきましょうね!
※これが全ての力ではありませんが、便宜上3つ挙げています。

ではさっそく、スクワット姿勢を例に考えを深めていきましょう!
「色々解説されると頭がパニックになる」という方も安心して!(≧∀≦)
今回はスクワット姿勢の中でも、”股関節”だけに着目しますので最後までご覧ください!

重力の影響

図のようなスクワット姿勢では、股関節は屈曲しそうですか?伸展しそうですか?

当然屈曲しそうですよね!
大腿骨が固定された条件下では、体幹が重力の影響により股関節を軸に前傾しようとしますので結果的として股関節は屈曲しようとします。

地球は疲れ知らずで、僕ら人間が宇宙に飛び立たない限り、僕らを引っ張り続けます。
重力は24時間、365日変わらない力を人間にかけ続けるので関節を運動させる要素として、常に意識する必要があります。

前回の記事に、関節運動と重力(床反力)の関係性について少し解説しています!

前回の記事をみる

筋活動の影響

これは私の専門領域ですね、、、。
安心してください、、、今回は簡単な話に留めますので理解できると思います!!(^○^)

実は、筋活動って何も難しい事はありません。
筋肉って”超の付くスペシャリスト”なので、関節運動というカテゴリーにおいては、起始と停止を近づける事しか担当しません。

スペシャリストって1つの分野に没頭しすぎて、視野が狭くなり困ったりする事が多いですよね??人と同じで筋肉さんも少し困る事があります。ちょっと脱線しますが、大事な話なのでお付き合い下さい。

脱線話

スクワット姿勢では、重力の影響で股関節は屈曲しようとしていますので股関節伸展筋である大殿筋上部線維(ここでは便宜上部線維にしています)の筋活動が増加すると体を支える事が可能になるかもしれません。

ここで先ほどの話を思い出してください。筋肉のお仕事は『起始と停止を近づける事』でしたよね。大殿筋上部線維が起始と停止を近づけようとすると、股関節伸展作用に加え、外旋(肢位によっては内旋)、外転させようとします!

当たり前だって感じですよね。でも応用できない方、、、非常に多いんです。
スクワット動作の時に股関節が外転・外旋せずに伸展できている場合には、①重力、②大殿筋上部線維以外の筋による筋活動、③関節構成体の伸張によって生じる力のいずれかによって、大殿筋の筋活動によって生じようとする外転・外旋力を制御しているのです。

これは、本当に忘れてはいけないです。チームワークで筋肉は関節運動を制御しています。この当たり前を究極に理解する事がセラピストが運動を変えるための”必須能力”だと思っています(^○^)是非応用してみてください!!

では話を戻します。スクワット姿勢では重力の影響で股関節は屈曲しようとしていますので、この姿勢を保持しようとすると股関節伸展筋の活動が必要であると解釈できます。

でもそれは必ずしも本当でしょうか??

私の答えは、、、
股関節伸展筋が”ふにゃふにゃ”だといけないと思います。

この人なに言ってるの???って思う方は記事を最後まで読んで下さい(^○^)

次の章を読んで、筋活動増加は筋肉がふにゃふにゃにならないための1つの戦略としてあると理解頂けたら感無量です(≧∀≦)

関節構成体の伸張によって生じる力

ここでいう関節構成体とは、皮膚、関節包、靭帯、筋肉、血管、、、など、ある運動によって伸張される体の組織全部です。

スクワット姿勢では、股関節が屈曲位となっているため、お尻の皮膚や股関節後方関節包、”股関節伸展筋”などが伸張され、重力の影響で股関節屈曲しようとする力に対して抗するような力が生まれます。

筋肉だけにfocusすると筋肉が”ふにゃふにゃ”にならないようにする戦略には①筋活動と②筋の伸張があります。

いついかなる時も、筋肉は筋活動が必要な訳ではありません。仮に関節運動に伴い、筋肉が引っ張られて硬くなることで生じる力と、重力による力が等しくなれば筋活動が限りなく0に近づきますので覚えておいてくださいね。

学生の頃、生理学で習った知識ですが曖昧な方は今一度教科書をCheckしてみてください。静止長、静止張力、活動張力みたいな用語の記載がある章に書いてると思います。

ここまでで関節運動に関与する3つの力について解説しました。
では最後に実際のスクワット動画を見ながら、臨床応用について考えてみましょう!

臨床応用の方法

スクワット動画

このスクワット動画を用いて、今回は大殿筋の筋活動について問題です!

なぜ下降する時よりも上昇する時に大殿筋の活動が高いのか?です。

要素はたくさんあると思いますが、一例を挙げますね。

下降期は大殿筋は伸張+収縮により股関節伸展する力を生み出せますね。
一方、上昇期で股関節伸展するためには、重力に抗して体幹を直立位に持ち上げないといけませんから、筋活動が増加するしかありません。なぜなら、体幹が前傾していれば、重力は常に体幹前傾方向に作用し続けますし、関節構成体の伸張のみで身体が起き上がるとは思えませんよね。

違う見方をすると、重力に抗して関節を運動するための貢献度としては、求心性収縮では筋収縮、遠心性収縮では筋収縮に加えて伸張要素による影響が高まってくる。とも考えれますね!

仮説として、関節可動域制限によって大殿筋が短縮してしまった症例様では、股関節屈曲可動域が減少した結果、股関節屈曲域でのトレーニング(例:座位での体幹前傾)実施中、遠心性収縮の局面では、筋活動がほとんど生じていない。なんて事もあるかもしれませんね。

もしそうであれば、関節可動域を拡大して筋活動が生じやすい関節を作ることも、場合によっては必要かもしれません。

※大殿筋の筋活動が下降期で乏しい原因は上記の理由だけではありません。レバーアームや他の筋肉との関係などありますが、今回は割愛しています。

まとめ

関節運動に関与する力として

①重力(※重力に伴う反力等も含む)

②筋活動

③関節構成体の伸張によって生じる力

を学んできました!動作を分析する時に、3つの要素から関節は今、どの要素で”制御されている”かを考えてみてください!

Twitterで学ぼう

私のツイートのリンクを貼っておきますので、是非今回学んだことを応用して確認してみてください。筋電計が欲しくなるかも(≧∀≦)

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理学療法士になってから

✅筋力低下が身体の不調に繋がっている
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こんな現場を多く見てきました。。。

そんな経験から
◎身体に詳しい理学療法士である自分が行動を起こせ!
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って自分を奮起させた結果、YouTubeを作成中ですo(^▽^)o

第1段は「お尻のトレーニング」でした!
今後、もっと分かりやすい形で作成していきますので、よければチャンネル登録お願いいたします(^○^)

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興味のある方はホームページを隈なく確認してみてくださいね!
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最後に

個人の見解ですが、評価なくして治療はないと思っています。
自分の言葉で評価・分析できるセラピストはみんなかっこいい!!(≧∀≦)

皆さんの評価が今より少しだけ、簡単で深くなれば嬉しく思います。

ではでは、また来月の投稿お楽しみに✨

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