整形外科

踵骨骨折の基礎

こんにちは!理学療法士のこじろう(@reha_spine)です!!

CLINICIANSの中で主に腰痛や脊椎、運動器疾患に関する内容をアップしております。

今回は、普段とは毛色を変えて「踵骨骨折」について基本的な内容についてまとめていきたいと思います。

実は最近臨床で担当することが多く、これを機会に教科書レベルではありますがまとめてみましたのでご覧頂けたらと思います^^

踵骨骨折について

[受傷原因]
踵骨骨折のほとんどは高所からの墜落によって踵部を打撲して起こる骨折で、両側性のことも多くあります。

[症状]
受傷直後より踵部への荷重が不能になります。皮下出血、腫脹が著明である局所の圧痛と足関節運動に伴う痛みが激しく生じます。

外側骨皮質の膨隆などの変形治癒、扁平足、外側部痛を主とした不整地歩行時の疼痛、正座や胡座の困難といった問題も生じやすく、治療困難な骨折の1つでもあります。

この骨折の最大の問題点としては治療後に残存する疼痛になります。

踵骨骨折の分類

骨折線の走行によって様々な分類が用いられてきましたが、治療法の選択を考える点において「Essex-Lopresti(エセックス-ロプレスティ)の分類」が有用になります。

また、関節内骨折の分類としてはCT所見をもとにした「Sandersらの分類」が用いられます。

Essex-Lopresti(エセックス-ロプレスティ)の分類

本分類は、後距踵関節面に骨折線が至らない関節外骨折と、関節面に至る関節内骨折とに大別し、関節内骨折でも転位のあるものとないものに分類しています。

転位のあるものとしては舌状型(tongue type)、陥没型(joint depression type)、載距突起骨折、粉砕型に分類されます。

 

Essex-Loprestiの分類についてイラストと説明文で解説していきます。

下肢長軸方向に外力が加わり、基本的な基本的な骨折線ができます。この段階では転位のない骨折となります(①)。同じ方向の外力が増加することに伴って舌状型の軽症のもの(②)から転位の高度なもの(③)となります。足関節に背屈力が作用して後方関節面に直行する外力が増加すると陥没型(④)となり、外力が大きいと関節面は踵骨内に陥入し(⑤)、内外側の皮質が転位します(⑥)。更に大きな外力では踵骨全体が粉砕されます(⑦)。

 

画像所見

X線像では、前後左右方向のほか、軸写像とAnthonsen(アントンセン)法で撮影します。このAnthonsen法は後距踵関節面の転位の評価にも有用です。

Anthonsen(アントンセン)法で撮影とは内果の直上から上方に25°、直上から後方に30°の照射角で撮影したものになります。(下図)

それぞれ以下のようなポイントをチェックしていきます。

側面像:Bohler(ベーラー)角と踵立方関節の状態
軸写像:踵骨のない内・外反変形や外壁の膨隆状態、踵骨幅の増大
Anthonsen撮影:中・後距踵関節の状態
3D-CT:骨折の全体像

踵骨の上方頂点と踵骨隆起の頂点を結ぶ線に対し、踵骨の上方頂点と踵立方関節面の頂点を結ぶ線のなす角をBohler角といいます。

正常は20-40°と個体差が大きいですが、後距踵関節の沈み込みの程度を表します。

陥没型によって後距踵関節が沈み込むと、Bohler角は0°となることもあります。

もちろん、OpeによりこのBohler角を修正していきます。

手術方法

一般的に、舌状型では経皮的な鋼線固定としてWesthuse(ヴェストゥス)法による整復と固定が行われることが多く、陥没型や粉砕型では観血的にスクリューやプレートを用いた固定が行われます。近年ではプレートによる固定が多くなってきています。

Westhuse(ヴェストゥス)法

舌状型に有効とされており、pinを転位した近位骨片に刺入し、透視下でpinによって整復します。更にpinを距骨もしくは立方骨まで刺入し、整復位の保持を行います、pinを留置し、pinが出た状態でギブス包帯にて巻き込む方法となります。

現在は感染症などの問題によりこの方法が行われることは少ないともいわれています。
多くはpinの抜去後にKirschner鋼線や海綿骨スクリューにより置き換えられ、皮下に埋没される変法が行われます。

スクリューやプレートを用いた固定

様々な侵入方法があり、それぞれの侵入経路を下の図で説明をしていきます。

①拡大外側進入法(extended lateral approach)
②直線横切開(Olierの横皮切)
③足根洞侵入法(sinus tarsi approach)

①拡大外側進入法(extended lateral approach)

腓骨の遠位端より約2cm近位の高さでアキレス腱外側縁より皮膚切開を行います。踵骨体部下縁の高さでL字型に緩やかに曲げ、第5中足骨底付近まで皮膚切開を行います。

②直線横切開(Olierの横皮切)

展開部の直下に腓腹神経が走行するため神経損傷に注意しながら展開が行われます。

③足根洞侵入法(sinus tarsi approach)

神経損傷の少ないアプローチとされています。

 

自分が勤めている病院では①が多いですが、皆さんの職場ではいかがでしょうか?。

以上、今回は踵骨骨折に関して基本的な内容でまとめさせて頂きました!!
踵骨骨折について教科書レベルではありますが、皆さんの臨床のお役に立てればと思います!

と、いったところで今回の内容は終了となります。最後までご覧頂きありがとうございます。

 

参考文献

青木隆明:骨折の機能解剖学的運動療法
鳥巣岳彦:標準整形外科学

 

 

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整形外科病院勤務の理学療法士 腰痛/骨盤痛/ピラティス/運動器認定理学療法士/転倒予防指導士 運動器分野、特に腰痛・骨盤周囲の疼痛について発信、吸収していきたいと思います。
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