整形外科

踵骨骨折術後リハの臨床上のポイント

こんにちは!理学療法士のこじろう(@reha_spine)です!!

CLINICIANSの中で主に腰痛や脊椎、運動器疾患に関する内容をアップしております。

前回は「踵骨骨折の基礎」の部分について説明しましたが、今回は術後リハビリの臨床上のポイントも含めてまとめていきたいと思います。

踵骨骨折の基礎今回は「踵骨骨折」について基本的な内容をまとめています。骨折の分類や画像上のチェックポイント、手術に関する内容となっております。教科書レベルではありますが、主要なポイントをまとめていますので整形外科にお勤めの方にはぜひ読んで頂きたい内容となっています。...

 

踵骨骨折の治療目標

まずは手術目的から確認していきましょう。

踵骨骨折の手術目的として、以下が挙げられます ¹⁾

・後距踵関節面の解剖学的整復
・横径増大や踵骨内反変形の防止
・骨萎縮発生の防止

 

術後の合併症

合併症に関しては様々報告されています。リハビリを進行する上でも合併症の有無の確認は重要なところですので確実にチェックしていきましょう!!³⁾

・腓腹神経損傷(Olier皮切にて腓腹神経を最小限剥離し保護する場合もあり)
・足底感覚障害や足部内在筋の筋収縮力低下(神経損傷によるもの)
・創治癒の遅延(L字皮切では創遷延治癒を起こしづらいとされていますが、プレート固定の場合は特に注意しておきましょう)
・距踵関節不適合
・踵骨外側膨隆
・踵骨長軸の短縮
・骨萎縮
・外側部を主とした疼痛(整復不全による距踵関節の不適合性、踵骨の扁平化、扁平足変形、骨隆起による腓骨筋腱圧迫、腓腹神経の圧迫、骨突出に起因するものなど)
・下腿三頭筋不全(Bohler角の減少による)
・歩行障害
・正座・あぐら困難

 

術後リハのポイント

距骨下関節の可動域制限

一般的に踵骨骨折の後療法では底屈、背屈の改善だけではなく内がえし・外がえしの改善しなければ荷重時痛は改善しないといわれています⁴⁾。
また、術後は疼痛により底屈・内反傾向になりやすいともいわれており、距骨下関節の柔軟性評価は確実に行いましょう。

では、距骨下関節が内反・外反でそれぞれ拘縮した場合の問題点について確認してみましょう!!

内反変形

踵骨が内反位で変形癒合してしまうと、外側への圧集中が生じ、外側壁への荷重圧が生じ、外側部痛を生じる恐れがあります。

外反変形

踵骨が外反位で変形癒合してしまうと、外側に圧が集中し、腓骨筋腱のインピンジメントや腱鞘炎を助長する恐れもあります。³⁾

また、足関節背屈・外がえしにて荷重すると足根洞部に距骨・踵骨間での圧縮、衝突が起こり、痛みが生じることも示唆されていますので内がえし・外がえしの可動域も確認しておきましょう!!

これらの合併症を予防する上でも早期からの内がえし・外がえしの自動運動が推奨されています。

脂肪組織の柔軟性評価

・Kager’s fat pad
・Heel fat pad

アキレス腱深部にあるKager’s fat padと踵骨下部のHeel fat padの柔軟性低下もみられるため、確認しておきましょう。

Heel fat padは踵骨の下部に存在する脂肪体で高エネルギー損傷である踵骨骨折によって同時に損傷している可能性もあります。

評価では踵の脂肪体を側方からつまむようにして、左右に揺らしてみましょう。健側と比較して柔軟性が低下している場合には、評価と同様に左右へ揺らすことでモビライゼーションにもなるため、治療を行っていきましょう!

皮膚の柔軟性

プレート固定の場合は創部に加えて、プレートによる体積の増加や腫脹による皮膚の滑走性低下が生じるため、確認しておきましょう。

 

予後

ベーラー角と予後成績は、諸家により報告が2分しており、ベーラー角単独での予後評価は不十分であるとも報告されています。X線学的因子としては踵骨体部横径増大度が機能予後を反映しているとも言われており、合わせて術後の経過観察が重要となります。

ベーラー角の評価に関しては冒頭に載せている前回記事「踵骨骨折の基礎」に記載していますので確認してみましょう!

術後のレントゲン画像を確認しながら医師と連携をとり、術後の合併症に留意しながらリハビリを進めていきましょう!

拘縮による疼痛が認められた場合には足底板も視野に入れながら医師と今後の方針を確認していきましょう!

 

踵骨骨折に関する報告

https://www.jstage.jst.go.jp/article/nishiseisai/57/3/57_3_459/_pdf

https://www.jstage.jst.go.jp/article/nishiseisai/56/2/56_2_233/_pdf

http://www.jsomt.jp/journal/pdf/051050344.pdf

 

では簡単ではありますが、本日はこれにて終了となります。
最後までご覧頂きありがとうございました。

 

参考文献

1)大迫浩文:踵骨骨折に対するプレート固定の術後成績.整形外科と災害外科.57.(3).2008.459-462
2)高倉義典:下腿と足疾患保存療法.1997. p93–94
3)青木隆明:骨折の機能解剖学的運動療法
4)吉尾雅春:運動療法学各論.第2 版.2006.p23

 

 

 

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整形外科病院勤務の理学療法士 腰痛/骨盤痛/ピラティス/運動器認定理学療法士/転倒予防指導士 運動器分野、特に腰痛・骨盤周囲の疼痛について発信、吸収していきたいと思います。
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