整形外科

肩関節包と関節上腕靭帯の抑えておきたいポイントベスト5

こんにちは。
藤沢肩関節機能研究会 代表の郷間(@FujikataGoma)です。

画像1こちらの記事は肩肘マガジンで投稿している『肩関節包を解剖学的に理解する』のほんの一部分を切り取って、少しわかりやすく解説しております(^-^)

肩肘マガジンではさらに臨床に基づいたお話をしていますので

関節包の位置くらいはわかるけど実際にどんな機能があるのか知らない。
▪関節包の病態について詳しく知らない。
▪関節包に病態が生じた時に何をすればいいかわからない。

という方はぜひ肩肘マガジンをご一読ください✨

 

 

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肩肘マガジン

 

今回の内容は

▪関節包の基礎を知らない
▪肩甲上腕靭帯の基礎を知らない

という疑問をお持ちの方々にオススメの記事です。

 

肩関節包や肩甲上腕靭帯は肩関節においても深部に位置する組織ですので、筋肉と比べても中々触りにくい&イメージもしにくいかと思います。

そして、拘縮患者さんのほとんどが関節包などの影響の関与しています。

今回はそんな”意外と重要だけどあまり注目されていない関節包や肩甲上腕靭帯”についてしっかり理解できる内容となっております。

本記事をきっかけに臨床に落とし込んでいただけると幸いです^^

それでは

まず肩関節包とはどういった組織なのかを確認していきましょう。

 

ちなみに私たちが運営している肩関節機能研究会HPでは肩関節に関する記事を50記事以上投稿しています(^-^)

こちらに肩関節機能研究会HPのリンクもありますのでぜひご覧ください。

⇩肩関節機能研究会HP⇩

肩関節包(Joint capsule)とは

画像4

肩関節包とは肩甲上腕関節を上方、前方、下方、後方をぐるっと一枚の袋のように肩関節を覆っている組織です。

この関節包の内面には滑膜があり、骨と骨の運動を円滑にするための関節液が貯留されています1)。

ちなみに肩関節は球関節になりますので、関節窩と上腕骨頭間では転がり運動と滑り運動が複合的に行われています。

その際に関節内に潤滑剤(関節液)が無いと円滑には関節を動かすことができないため、関節包は貯留庫としての機能があることはイメージできるかと思います。

肩関節包の特徴

画像5

☑肩関節包の伸縮性
この袋のような構造の関節包には伸縮性があり、15%程度の伸縮を可能としています。

関節包における15%とはどのくらいでしょうか?

画像8

上腕骨頭の平均が4-5㎝2)なのでおよそ1㎝弱の伸縮があるという解釈でしょうか。 (雑な計算ですみません!笑)

☑腋窩陥凹
腋窩陥凹は関節包の”たるみ”のような構造です。
文字通り、腋窩にあります。

このたるみは挙上に伴い伸張し、下制で緩みます
これは挙上動作を遂行するためには必要なたるみと考えられています。

そして最後に関節包に包まれた関節内の空洞を関節腔というのですが、関節腔の容量はおよそ30ml、大さじスプーンで言うと2杯分の容量があると言われています。

余談ですが、この関節腔内の容積は反復性肩関節脱臼では大きくなり、凍結肩では小さくなえうと言われています。

個人的には半分納得ですね。

半分、というのは反復性肩関節脱臼により、Bankart LesionHAGL LesionCapsular tearが生じた場合は関節腔容積うんぬんのまえに関節包が破けている可能性がありますので、容積が大きくなるというイメージはなんとなく理解できるのですが、にわかに信じがたいなとも感じております。

このあたりはいつか深掘りして記事にまとめていきたいと思います(^-^)✨

では次に肩甲上腕靭帯についてお話していきたいと思います。

肩甲上腕靭帯とは?

関節上腕周囲の靭帯には
上関節上腕靭帯(superior gleno-humeral ligament:SGHL)
中関節上腕靭帯(middle gleno-humeral ligament:MGHL)
前下関節上腕靭帯(anterior inferior gleno-humeral ligament:AIGHL)
後下関節上腕靭帯(posterior inferior gleno-humeral ligament:PIGHL)
の4つがあり、肩甲上腕関節の静的安定化機構として関節安定に寄与します。

 

今回はこれら関節上腕靭帯の中でも組織学的な観点からその違いをみていきたいと思います。

まず、上方に位置する上関節上腕靭帯は烏口上腕靭帯と同様にⅠ型コラーゲン(密生結合線維ですね)がほとんど含まれておらず、弱い負荷に耐える疎性結合線維で構成されています。3)
そのため、SGHLは強い負荷には耐えられないが伸張性に富む組織であることがわかります。

反対にMGHLやIGHLは腱や靭帯にようにⅠ型コラーゲンが多く強い負荷にも耐えることが可能な組織です。

このように同じ関節上腕靭帯でも組織学的に異なる性質もあるので関節上腕靭帯のユニークなところだと私は思っています。

ということで
今回は肩関節包と関節上腕靭帯について、ちょっとマニアックな解剖と組織学的な内容をまとめてみました(^-^)

本日はこのあたりでおしまいにしたいと思います。
今後も皆様の明日の臨床に活かせる情報をお届けできればと思います✨
以上、藤沢肩関節機能研究会 郷間でした(^ ^)

まとめ

▪肩関節包は一枚の袋のように肩関節を覆っている
▪関節包内面はがあり、運動を円滑にするための関節液が貯留され、その容量はおよそ30mlである
▪関節包には伸縮性があり、15%程度の伸縮を有している。
▪SGHLは強い負荷には耐えられないが伸張性に富む
▪MGHLやIGHLは伸張性には乏しいが強い負荷にも耐えられる

 

参考文献および参考書籍

1)佐志隆士,井樋栄二,秋田恵一:肩関節のMRI読影ポイントのすべて.改訂第2版.P22-23.2012 .出典 株式会社メジカルビュー社
2) 松浦恒明:腱板断裂サイズの新しい分類に関する考察.肩関節;37巻第2号:661-664,2013.
3)山口久美子,他:関節上腕靭帯の組織学的検討.肩関節,33:253-256.2009.

肩関節機能研究会リンク

 

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