整形外科

腰椎疾患における下垂足の予後

こんにちは!理学療法士のこじろう(@reha_spine)です!!

CLINICIANSの中で主に腰痛や脊椎に関する内容をアップしております。

今回は、腰椎疾患由来の「下垂足」について様々な報告を基にまとめましたので腰椎疾患を臨床で担当される方にはぜひ読んで頂きたい内容となっております!

 

過去に投稿したこちらの記事も今回の内容に関連するものになっています。基本的な腰椎疾患に関する内容が理解できていないという方はぜひご覧下さい^^

腰椎椎間板ヘルニアと筋力低下今回は腰椎椎間板ヘルニアの各高位で障害される筋力低下について他の教材などではあまり紹介されていないより詳細な部分までまとめております。なぜ、このレベルでのヘルニアでここの筋力低下が生じるの?といった疑問を解決する糸口になると思いますのでぜひご確認ください。腰椎椎間板ヘルニアの患者さんをリハビリする上では必見の内容です。...

 

下垂足とは?

「下垂足」とは足関節の自動背屈が不可能になった状態で、前脛骨筋の筋力がMMTにて2以下に低下した状態をいいます。

一般的には腰椎神経根症(主としてL5神経根)や腓骨神経障害が原因として挙げられます。脳血管障害も原因の1つとして挙げられます。

下垂足の発生頻度

腰椎疾患による下垂足の発生頻度については、本邦では中村らによって5,3%と報告されています。

この報告では、腰椎変性疾患に対して手術を行った1334例の内、70例にて下垂足(MMT3⁻以下)を認めたと報告されています。

 

下垂足の予後を左右する因子

中村らによると、下垂足を呈した70例の内、手術例49例(腰椎椎間板ヘルニア30例、腰部脊柱管狭窄症19例で術後6カ月以上の追跡できたもの)の治療成績を検討されています。手術成績は以下の通りでした。

MMT5まで回復:14例
MMT4まで回復:19例
MMT3まで回復:10例
2以下で下垂足残存:6例

 

これらの症例を検討した結果、以下の3つの要因に有意差が認められたと報告されています。

1)下垂足発症からの手術までの期間
2)術前の麻痺の程度
3)馬尾症状の合併の有無

1)下垂足発症からの手術までの期間

下垂足発症から2カ月未満での手術により優位に手術成績が良好であった。

2)術前の麻痺の程度

術前筋力がMMT2以上の症例で予後が良好であり、2⁻以下の症例ではすべて術後の成績がMMT3もしくはそれ以下であった。

※報告によっては術前MMT1,2でも回復したとの報告もあります。しかし術前0では回復はみられなかったと報告されています。

3)馬尾症状の合併の有無

手術成績を神経根症状群と馬尾症状群に分けて比較したところ、神経根症状群に優位に予後が良好であった。下垂足が残存した6例ではすべての症例に馬尾症状が認められていました。

予後因子は報告により様々であり、一定の見解は得られていないのが現状ですが、他の報告でも、術前の麻痺の程度や罹患期間が予後を左右する因子として挙げられています。

それ以外では以下のような要因が挙げられています。

✓高齢者
✓複数神経根の傷害
✓術前の下肢痛が軽減した下垂足症例は前脛骨筋の回復率が不良
✓腰椎椎間板ヘルニア群は下垂足改善率が72%であり、腰部脊柱管狭窄症群は56%であり、ヘルニア群の方が成績良好。これは狭窄症では徐々に肥厚していく黄色靭帯からの神経圧迫により、長期的な神経圧迫が生じていることが示唆されます。

 

リハビリ時のポイント

下垂足の主要因である前脛骨筋と神経支配レベルが同一である中殿筋や長母趾伸筋の筋力や回復程度も同時に確認しておきましょう。

末梢神経障害についてのリハビリ時の注意点については次回の記事にて詳しく説明していきたいと思いますのでそちらをご覧下さい^^

 

簡単ではありますが、今回は以上で終了となります。
下垂足の患者の術前の状態や症状から予後を見据えながらリハビリを行っていくことはリハビリの方針やADLを考える上で非常に重要なことであると思います!そのような場面に合った際に参考にして頂けると幸いです。
本日は最後まで読んで頂きありがとうございました!!

 

参考文献

✓中村修:下垂足を呈した腰椎変性疾患の手術成績.整形外科と災害外科 53.(1).13-15.2004

✓米倉暁彦:腰部疾患に伴う下垂足の予後調査.整形外科と災害外科 43.(2).526-528.1994

 

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