皆さんこんにちは\(^o^)
理学療法士の眞本匠です。
これまでは、脱水のアセスメントや、ROM制限の見方等、特に分野を絞る事なく記事にしてきました。
今回は、またまた、分野を変えて「運動器」の内容にしたいと思います^_^
その中でも、臨床で関わる方が多いであろう「大腿骨近位部骨折」について、
超、超基礎からお伝えしていき、臨床にも少し絡めた内容にしていきます^_^
では、まいりましょう~
大腿骨近位部骨折とは?
まずはここからですね。
頚部骨折、転子部骨折とか良く言いますが、近位部骨折とはこのどちらなのか?
と思われている方も少なくないかと。
簡単に言うと、
大腿骨近位部の骨折の総称
ってわけです。では、大腿骨の近位部にはどんな骨折があったか。
おさらいしていきましょう。
近位からの順だと、
骨頭骨折→頸部骨折→頸基部骨折→転子部骨折→転子下骨折
ですね。つまり、上記の骨折全てが大腿骨近位部骨折に分類されます。
えらいたくさんありますね。
ですが、想像していただけば分かる通り、骨折の場所によって全てが変わります。
受傷機転から、術式から、リスク管理から、評価から、アプローチから・・・
全て違うといっても過言ではありません。なので、
近位部骨折を一緒くたにしてはいけません(NG)
まずここで一つポイントをまとめますね。
・大腿骨近位部骨折は、大腿骨近位部で生じる骨折の総称である。
・だが、骨折部位によって術式、リスク管理、評価、アプローチが違う。
↓
近位部骨折の中でも、どこが骨折したかをまずは大事になる。
では、今回の記事では高齢者に多い近位部骨折である
大腿骨頚部骨折と大腿骨転子部骨折の2つの基礎を、臨床に絡めていきます!(^^)!
大腿骨頚部骨折のリハビリのポイント
たくさん、たくさんポイントはあるのですが。
そのポイントを理解するためには、大腿骨頸部骨折の2つの特徴を知っておく必要があります。
まず1つ目。
骨癒合がしにくい。
これは理学療法士なら皆知ってると思います。骨癒合がしにくいんです。
何故か?まあ、色々な理由が言われていますが、
・大腿骨頸部には骨膜が無いので、仮骨が形成されにくい。
・大腿骨へ栄養を送る動脈が損傷され、血流不足となる。
まずこの二つが超有名ですね。
そして2つ目。
痛みが小さい。(転子部骨折と比較して)
こちらに関しては、知らなかった方もいるかと思います。
何故か?これも色々と言われているのですが、
・侵襲が小さい(術式にはよるが)
・頸部骨折は骨膜が無いので、骨膜性疼痛が生じにくい。
代表的なのはこのあたりですかね。
ではでは、大腿骨頚部骨折のリハビリのポイントを、上記2つから考えていきます。
骨癒合がしにくい&疼痛が小さい
まずは骨癒合から。
骨癒合がしにくいという事は、我々理学療法士からすると骨癒合を促進する様なアプローチが必要になります。
では、どの様に骨癒合を促進するか。最もスタンダードな方法は、
荷重を繰り返す。
これですね。はい、当たり前すぎますね。笑
ですが、大腿骨頚部骨折に多い手術であるハンソンピンという術式では、
荷重をすることが骨折部位に圧着力を生じる力源となります。
ウォルフの法則だけでなく、術式を考慮した上でも、荷重は有効というわけですね。
では次の頸部骨折の特徴から考えましょう
疼痛が小さい。でしたね。
疼痛が小さいのなら、いいことではないか。リハビリが進む!と思われる方、ちょっと待ってください。
そんな、疼痛が小さいのが特徴の大腿骨頚部骨折が、疼痛が強かったらどう思いますか?
ちょっと怖いですよね。
そうなんです。先ほど、荷重を繰り返して骨癒合を促せと言いましたが、
大腿骨頚部骨折の場合は、
ということです。
なぜなら、こんな最悪なパターンがあり得るからです。。。
【はじめは痛みもなく荷重練習が可能であったから、荷重量を増やした。すると、徐々に痛みが出現した。マッサージやストレッチをしても、痛みは軽減する事がなかった。
こんな時、痛みの原因が私たちの大得意の軟部組織性筋スパズムだったなら、まだいいです。
代表的なので言えば、偽関節、骨頭壊死が起こり得ます。
こうなる前に、少しでも痛みが出現すれば、詳細に評価し、荷重量の程度を医師と相談することをお勧めします!
では、次です^_^
大腿骨転子部骨折のリハビリのポイント
この骨折では、大事な特徴が二つあります。
それは、
骨癒合がしやすい。
これの理由は、単純明快です。
骨膜がある部分が折れているから、仮骨形成に有利だからです。はい。それです。
そして、頸部骨折と同じ様に、転子部骨折での手術も、荷重により骨癒合を促進する面があります。よって、荷重は必要になります。
次の特徴が結構大事ですね。
疼痛が強い。(頸部骨折と比較して)
なぜ、疼痛が強くなるのか?
以下の(参考)をご覧ください。
・転子部には骨膜がある。よって骨膜性疼痛が生じやすい。
・転子部骨折での適応される手術は、筋の侵襲が大きい。
代表的なのはこの2つですね。
臨床的にも、転子部骨折の方が痛みが強い印象はあります。
出血量も大きいので、下肢を露出すると皮下出血が大腿部によく見えます。
ただ、間違ってはいけないのは、
転子部骨折にも軟部組織性以外の疼痛は起こりえる。
ということです。
荷重時痛を当たり前の様に容認し、過負荷を続けていくと思わぬ術後合併症が起こしてしまいます。
ではでは、ここまでの内容を臨床に応用しましょう。
術式を考慮すると、荷重練習を進めたい。だが、荷重時痛は生じやすい。
転子部骨折なので荷重時痛は生じやすいが、思わぬ術後合併症による疼痛かもしれない。なので、荷重時痛を簡単に容認してはいけない。
その荷重時痛の原因を把握しながら荷重を進めることが重要である。
まずは、こんなところですかね^_^
まとめ
大腿骨頸部骨折は、
骨癒合しにくい+痛みが小さい。
そのため、リハビリのポイントは以下の通り。
痛みが小さい病態だが、荷重練習をすることで痛みが増悪する様であれば、軟部組織性以外の骨頭壊死や偽関節の可能性がある。荷重時の痛みを経時的に評価していく必要がある。
大腿骨転子部骨折の場合は、
骨癒合しやすい+疼痛が大きい
この特徴があるため、リハビリのポイントは以下の通り。
術式を考慮すると、荷重練習を進めたい。だが、荷重時痛は生じやすい。
転子部骨折なので荷重時痛は生じやすいが、思わぬ術後合併症による疼痛かもしれない。なので、荷重時痛を簡単に容認してはいけない。
その荷重時痛の原因を把握しながら荷重を進めることが重要である。
いかがでしたか?
基本的なところでしたが、考え方次第ではリスク管理に繋がってきます。
ぜひ、明日からの臨床でも意識していただければと思います^_^
何か分からないことがあれば、ツイッターのDMにて、連絡お待ちしております。
参考文献
(1)斎藤秀之 極める大腿骨骨折の理学療法 文光堂 2017
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