その他

どうして運動するの?

こんにちはリョウ(@HealthCare_ryo)です。

突然ですがあなたは運動をしていますか?

もしくは対象者に運動を提供していますか?

 

おそらく『Yes』と答えるでしょう。

だってそれが仕事ですから。

 

ですよね。

運動の種類や強度、時間、頻度は違えど我々は対象者に対して運動を提供することがほとんどです。

ベッド上で臥床安静の方への廃用予防や呼吸介助、ポジショニング、

若い骨折症例への松葉杖歩行練習、

バリバリスポーツマンへの筋力強化トレーニング、

すべてにおいて『運動』を利用しますね。

 

ではなぜ運動を利用するのでしょうか?

なぜ運動って身体に良いのでしょうか?

今回はそんな『運動』についてのお話です。

 

 

なぜ運動するのか?

まずは『なぜ運動するのか?』について考えてみましょう。

なんとなく運動って身体にプラスのイメージがありますよね。

・健康には運動

・ダイエットには運動

そもそも運動を用いない理学療法ってあるの?

そもそも理学療法の定義に運動を用いるって書いてあるよね。

【理学療法士及び作業療法士法 第2条】
「身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう」

 

なので我々が業務上『運動』を用いるのは至極当然のことです。

大事なのは我々が『運動の効果を把握』しておくこと。

 

運動の効果

運動の効果には様々あります。

・寿命の延伸
・血糖や脂質、血圧の是正
・骨粗鬆症への効果
・変形性関節症への効果
・心疾患への効果
・COPDへの効果
・人工透析への効果
・脳神経系への効果

 

寿命の延伸

様々な報告がありますが1万人規模のものでの寿命延長の報告や、

1日15分程度の運動での死亡率減少の報告もあります。

 

血糖や脂質、血圧の是正

運動によって筋肉内の脂肪や肝臓内の脂肪を減少させ、

インスリン抵抗性を改善させる報告があります。

2型糖尿病への運動療法の効果もそうですね。

 

骨粗鬆症への効果

前回もお話しましたが、

運動をしないと(=安静臥床)では骨密度が減少します。

これは骨のリモデリング機構が破綻するためでしたね。

下記のサイクルです。

荷重する(骨への外的刺激)

骨の微細損傷(骨破壊)

骨の再生(骨芽細胞)

骨強度UP

逆に考えると運動することでこのリモデリングサイクルが活発になります。

 

変形性関節症への効果

こちらは周知の事実かと思います。

変形性膝関節症の理学療法ガイドラインにもあるように

運動療法の推奨グレードはAとなっています。

AAOSのガイドラインでも推奨されています。

 

心疾患への効果

こちらも周知の事実ですね。

そもそも心大血管疾患の運動処方は運動の種類,運動の強度,運動の継続時間,運動の頻度で構成されているので運動は必須です。

運動療法を行うことで新たな心イベントや再入院率の減少が報告されています。

運動しなければ3年後の生存率が有意に低下した、

なんて報告もあります。

 

COPDへの効果

こちらもガイドラインにて

『呼吸リハビリテーションの構成要素において運動療法は強い科学的証拠によってその有効性が証明されている』

と記載されていますね。

 

人工透析への効果

こちらも面白い報告があります。

座位の時間が多い人工透析患者の死亡率は16%、

活動的に運動している人工透析患者の死亡率は9%、

比較すると1.8倍もの差があったとする報告があります。

 

脳神経系への効果

運動と心理面への影響は最近特に耳にする機会が増えました。

脳神経系、ストレスや心理面との影響ですね。

運動はうつ病患者に対して抗うつ薬と同等の効果があるとの報告もあります。

 

 

運動しないことのデメリット

運動しないことのデメリットも様々です。

運動しないこと=臥床のデメリットに関しては以前まとめていますので

こちらをご参照ください。

どうして離床するの?【臥床のリスクとデメリット】急性期にしろ回復期にしろ維持期にしろ離床は我々の介入手段の一つとしてとても基礎的で重要です。では「どうして離床するんですか?」「離床しないとどうしてダメなんですか?」「離床すると何がいいんですか?」そんな時にあなたは答えることができますか?そんな離床についてまずは『臥床のリスクとデメリット』についてまとめました。...

 

 

運動の効果の機序

ここまで運動の効果について述べましたが、

結局どうして運動は効果があるのか?

という事を知りたいと思いますのでここから簡単に解説します。

 

運動による効果の機序はよく分かっていなかった

運動は効果があることは分かっていましたが、

なんで効果があるのかは実はよく分かっていませんでした。

ここで重要なキーワードは『IL-6』と『マイオカイン』です。

 

運動すると身体に色々な変化が生じるのですが、

運動によって筋肉からIL-6という物質が分泌されます。

IL-6は運動することで通常の100倍もの量に増加します。

IL-6の効果は骨格筋への糖の取込み増加や筋グリコーゲンの蓄積促進、糖代謝調整です。

 

運動し筋収縮することでIL-6は血中に分泌されて脳や肝臓、脂肪組織に到達して機能を発揮します。

こういった機序があります。

 

IL-6などのような筋収縮によって筋細胞から分泌される物質を『マイオカイン(Myokine):myo 筋,kine 作動因子』と言います。

このマイオカインによって運動の効果は得られます。

 

 

まとめ

今回は運動について『そもそもなんで運動ってするのか』についてまとめました。

運動は効果的で身体にいいことは明らかです。

・寿命の延伸
・血糖や脂質、血圧の是正
・骨粗鬆症への効果
・変形性関節症への効果
・心疾患への効果
・COPDへの効果
・人工透析への効果
・脳神経系への効果

運動によって上記のような効果が期待できます。

 

ですが意外にも機序はあまり分かっていませんでした。

運動は我々にとってなくてはならない武器です。

効果もメリットもデメリットも踏まえたうえで活用していきたいですね。

ABOUT ME
リョウ
リョウ
理学療法士|急性期総合病院の集中治療領域から地域の予防医療領域、オンラインでのトレーナー活動まで2000人以上を担当|その他予防施設での活動やオンラインでのヘルスケア活動、医療機器開発など、とにかく理学療法士という枠にとらわれず興味関心のあることはやってみる。そんなフリーダムな生き方がモットー。SNSも有益な情報をお届けするのでぜひ見てください!!
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