こんにちは、だいじろう(@idoco_daijiro)です。
前回は、療法士も『牛丼並盛り』を提供できるようになることの重要性について解説しました。
いかがでしたでしょうか?
個人としても組織としても「牛丼並盛り」を確実に提供していく。
言われてみれば当たり前のことですが、意外と意識されていないことが多いのではないでしょうか?
もちろん患者さんによって病態も様々ですし、生活様式も多種多様です。
だからと言って提供するものまで「人それぞれ」が当たり前になってしまうのは、職能団体としてどうなのでしょうか?
難しいことだからこそ、専門職として目指していかなければならないのかなと思います。
ということで、今回は「牛丼並盛り」を提供できるようになるための組織づくりのポイントについて解説していきます。
今回の内容は「答え」ではなく、あくまで私が管理職時代に実践していたものの紹介です。
この内容を参考にして、あなた自身やあなたが所属する組織に合った方法を模索していただければと思います。
『牛丼並盛り』を提供できていますか?
まずはあなた自身やあなたが所属する組織が「牛丼並盛り」を提供できているかどうかを把握する必要があります。
「牛丼並盛り」を提供できているのに、提供するための方法を学んでも仕方ないですからね。
まずはあなたがよく経験する疾患、もしくは所属する組織でよく処方される疾患のうち、トップ3をピックアップしてください。
そのトップ3の疾患について、あなたはクリニカルパスを言えますか?そして、その疾患の方の多くをクリニカルパス通りにリハビリを進められていますか?
クリニカルパスとは疾患ごとの治癒過程をベースとして、どの時期に、どういった治療を行なっていき、どのように身体機能や動作が獲得されていくのかを明確にしたものです。
医師によって治療方針が若干異なることもあるので、クリニカルパスは組織によって変わるかと思います。
しかし、組織のなかではそのクリニカルパスに則って治療が進められることとなります。
前述したように患者さんによって病態は様々ですし、生活様式は多種多様です。
このクリニカルパスはそういった個別性を取り除いた共通項で成り立っているものですので、合併症があったり、医師からの特別な指示がない限りはクリニカルパス通りに進めることが求められます。
合併症があったり、医師からの特別な指示があった場合は、それに合わせてクリニカルパスが変更されますので、変更後のクリニカルパス通りに進めていきます。
つまりこの「クリニカルパス通りの治療」ができているかどうかが「牛丼並盛り」を提供できているかどうかになります。
ですので、よく経験する疾患について「クリニカルパスを言えますか?そのクリニカルパス通りにリハビリを勧められていますか?」という問いに自信持って答えられていなければ「牛丼並盛り」を提供できていないと思っていただいていいかと思います。
「牛丼並盛り」を提供できていなかったとしても安心してください。
これから「牛丼並盛り」を提供できるようになるための方法について解説していきます。
組織として「牛丼並盛り」を提供していこう!
「牛丼並盛り」を提供できるようになるためには当然ですが、その作り方を知ることが大切です。
例えばTKAの術後であれば「膝の痛みや過度な可動域制限で生活が制限されないこと」が「牛丼並盛り」になります。
※もちろんこれはベースであって、患者さんによってより具体的なものになります。
その「膝の痛みや過度な可動域制限で生活が制限されていないかどうか」を治療者立脚型と患者立脚型の双方から評価し、その継時的変化を検証していくことがポイントとなります。
治療者立脚型の評価では一般的な疼痛評価やROM-t、MMTなど、TKA術後の治療成績を判断するために必要な項目を行います。
患者立脚型の評価はJKOMが代表的なものとなります。
そして、これらの評価を術前、術後1w、2w、3w、4w、6w、8w(2M)、3M、4M、5M、6M、7M、、、1Yと実施していきます。
1Yを一つの区切りとしたら、この時点で治療者立脚型の評価と患者立脚型の評価とで良好な成績を出すことが目標となります。
そのデータを収集していくと、術後1Y時に良好な治療成績を出すために必要な要素が見えてきます。
その要素をクリアしていくことがクリニカルパスとなります。
私の前の職場の例を一つ挙げると、術後2wの時点で術中の膝関節伸展可動域を獲得できているかどうかが術後1Y時の治療成績に影響していたことが分かりました。
つまりその職場の検証結果ではTKA術後に「牛丼並盛り」を提供するためには「術後2w時に術中の膝関節伸展可動域を獲得しておくこと」が一つの条件となります。
ですので、クリニカルパスでは「術後2w時に術中の膝関節伸展可動域を獲得する」が追加され、そのために必要な評価や介入方法を検証していきました。
そして、それを確実にクリアしていくために「術後10d時点で術中の膝関節伸展可動域を獲得できていない場合は先輩上司に相談する」というルールが決められました。
術後2w時に確実に術中の膝関節伸展可動域を獲得するために組織として介入していく仕組みですね。
もちろん「術後2w時の膝関節伸展角度」だけでなく複数の基準を設けていきます。
そうすることで「牛丼並盛り」を確実に提供できるようなっていきますよね。
これを個々でやってもいいのですが、どうしても症例数が限られてしまいますし、個々の評価方法や介入方法に左右される部分があります。
より確実に「牛丼並盛り」を提供していくためにも組織として取り組んでいった方が良いかと思います。
まとめると「評価を定期的に行うこと」「評価結果を検証すること」「検証結果を臨床に反映すること」の3点が重要ですね。
「牛丼並盛り」が提供できていないところではこの当たり前のことができていないことが多いです。
ぜひこの3点を丁寧にやっていき、個人としても組織としても「牛丼並盛り」を提供できるようにしていってくださいね!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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