整形外科

非特異的腰痛の理解を深める〜上臀皮神経障害についての基礎的知識〜

こんにちは、理学療法士のこじろうです!

基本的に最近は腰臀部痛について勉強しながらそれをまとめて発信しています。

この度は以前にも話をさせて頂いた非特異的腰痛の中に含まれる、

上臀皮神経障害について話をしていこうと思います。

 

腰椎周辺の病態としては仙腸関節障害梨状筋症候群などによって、腰椎疾患と類似した 症状が出現します。

その腰椎周辺の病変として最近注目されているのが「上臀皮神経障害」 です。

今回はこれについて基本的な知識レベルではありますがまとめてみました。

腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症のような診断のつきやすいものではありませんが、腰椎の術後や外傷後に残存する疼痛、なかなか解釈しづらい腰臀部痛の1つでもあります。

今回の上臀皮神経障害に関する記事を最後まで読んで頂けると臨床で遭遇する腰臀部痛の解釈の幅がグッと広がるはずです!!

 

臀部の皮膚の神経分布について

まずは、臀部を支配する感覚神経支配から話を進めていきます。

臀部の皮膚には腰神経の後枝にあたる「上臀皮神経」、 仙骨神経の後枝にあたる「中臀皮神経」、 仙骨神経の前枝によって形成される仙骨神経叢に由来する「下臀皮神経」、 腰神経叢由来の「腸骨下腹神経の外側枝」などが分布しています。(図)

臀部の感覚神経支配は仙骨神経叢と腰神経叢(脊髄神経の前枝)の一部と脊髄神経の後枝よりなります。

・仙骨神経叢由来:下臀皮神経(後大腿皮神経から) ・腰神経叢由来:腸骨下腹神経の外側枝

・脊髄神経の後枝:上臀皮神経(第1-3腰神経の後枝)と中臀皮神経(第1-3仙骨神経の後枝)

 

上殿皮神経について

上臀皮神経:superior cluneal nerve(SCN)

SCNは内側枝、中間枝、外側枝の 3 枝があり、腸骨稜近傍で胸腰筋膜を貫通して臀部へ至る感覚神経です。

中間枝、外側枝は腸骨稜より頭側で筋膜を貫通しますが、内側枝は腸骨稜上の「osteofibrous tunnel」と呼ばれる部位を通過するため、そこで絞扼されることがあるといわれています。

また、すべての内側枝がosteofibrous tunnelを通るわけではなく、腰背筋膜を貫通して皮下組織へ抜ける場合もあります。

内側枝は正中から 3〜4cm、中間枝は7〜8cmの腸骨稜近傍で貫通します。

平均で4〜6本あります。

 

上臀皮神経はTh11〜L5の後根神経の皮枝が腰背部を下外側へ走行し、特に絞扼されやすい枝はL3〜5から発生することも明らかとなっております。

※「osteofibrous tunnel」:腸骨部付近から上臀皮神経が出てくる際に絞扼されやすいトンネル状の構造。

正中から6〜7cmの腸骨稜上にSCNの絞扼後発部位が存在します。

絞扼部位は比較的浅く体表に近いため、圧痛も確認しやすいです。

 

上臀皮神経障害とは?

上殿皮神経に由来する腰痛は1957年にすでに報告されていたようです。

それ以降、徐々に報告が散見されるようになってきました。

 

osteofibrous tunnelを通過する際に絞扼される場合と、胸腰筋膜を貫通する場合に絞 扼される場合があります。

大半の症例では腸骨稜上に筋膜が密に付着する部位を複数の内側枝が走行するところで筋膜により絞扼されます。

 

腰痛に占める本症の割合は報告者間によってばらつきがありますが、

それらをまとめると、

1.6%〜14%との報告があり、決してまれな病態ではありません。

 

上臀皮神経障害の症状

片側性、両側性ともに出現し、疼痛の質も鈍痛から電撃痛と症状は様々です。

ぎっくり腰と間違えられることもあるそうです。

重症化すると下肢痛やしびれも伴います。

 

絞扼箇所から放散される場合と絞扼部位とは離れたところに症状が出現する場合がありま す。

Kuniyaらは113例のSCN 障害による症状を検証した結果、以下であったと報告があります。

・腰痛のみが52%

・腰下肢痛が47%

・下肢痛のみでは1%

“たけ”
“たけ”
腰痛と下肢痛99%ぐらいなんだね。レアケースで下肢痛のみ・・めちゃ勉強になります!こういう報告は鑑別の際の優先順位決定にも役立つからいいね。ありがとう♪

 

上殿皮神経障害の要因

比較的高齢者に多いことから加齢性変化の影響も示唆されています。

その他、椎体骨折との関連性やSCN の癒着、傍脊柱部の過度な筋緊張、 腰部の伸展や屈曲による胸腰筋膜貫通部で固定されたSCNの牽引などがSCN 障害発症へ影響するとも考えられています。

 

治療方針

理学療法としては以下のような介入が重要となってきますね。

・SCNのリリース

・胸腰筋膜に緊張を与える広背筋や大臀筋、多裂筋、 腹横筋の緊張のコントロール etc..

 

また、神経絞扼部での圧痛がある例や、圧迫にて腰痛や下肢症状が再現される場合、絞扼 部以外でも広い範囲の腰痛や仙骨部の疼痛がある際にはブロック注射が有効になります。

またその他では薬物療法や手術療法もあります。

 

まとめ

腰椎疾患由来の神経症状に類似した腰臀部痛や下肢痛は多数存在します。

それらを引き起こす腰椎周辺での病態には、上殿皮神経障害、中臀皮神経障害、仙腸関節障害梨状筋症候群などがあります。

これらは単独で生じることもありますが、重複して見られることもありますので、今までに投稿している仙腸関節障害や梨状筋症候群の記事も参考に腰臀部痛の解釈を深め、臨床に役立てて頂けると幸いです。

 

終わりに

本日は以上で終わります。

あまり馴染みのない言葉も多数出てきましたがいかがでしたか?

腰臀部痛について以前よりは知識が増えたのではないのでしょうか??

 

今回の記事が皆さんの臨床の役に立てばと思っております。

最後まで読んで頂きありがとうございました!!

 

参考文献

・井須豊彦.2019.腰椎疾患と鑑別を要する腰臀部疾患.脊椎脊髄ジャーナル.Vol.32 No.2 .p103
・青田洋一.2019.腰椎疾患と鑑別を要する腰臀部疾患.脊椎脊髄ジャーナル.Vol.32 No.2 .p123-128
・金景成.上臀皮神経障害のレビュー.脊椎外科.Vol.30 No.2 2016 p141-145・上臀皮神経障害の外科的治療成績. 脊髄外科.Vol.28 No.1 2014 p86-89・坂井建雄.プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系.第 2 版 p198,531
・プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第3版 [ 坂井 建雄 ]

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たけ
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理学療法士&ピラティスインストラクターをメインに姿勢・パフォーマンス改善のプロとして活動中! 過去には世界で最も患者が多い病院、某大学病院で超急性期のリハビリテーションに貢献。その他にも認定脳卒中、呼吸療法認定士、ガンリハなどの資格を保有。 超急性期から障害予防までの多岐にわたる分野の記事を執筆中!
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