こんにちは、骨折研究をしているまっつぁん(@fractureprevent)です!
今回は中学生までの骨の成長に必要な身体活動について調査した論文を紹介します1)。
骨の貯金と経時的変化
骨粗鬆症によって起こる高齢者の骨折はQOLを下げ、特に大腿骨近位部骨折を生じると生命予後が低下することはみなさんよくご存知と思います。
骨を増やすには高齢者でも運動でしょ?と考えがちですが、実は高齢期以降骨量が増えることはありません。
薬や運動療法、栄養療法で悪くなっていた骨の質を改善させたり、急激に下がった分の骨量を改善すること、急激に下がらないように維持することはもちろん可能です。
骨量の最大ピークは20歳前後の青年期となり、その後はなだらかに低下していきます。
特に女性は閉経後にエストロゲンが減少しますので、新しく骨を作る細胞の働きが低下します。
それによって男性よりも急激に骨量が低下します。
ですので、若いうち、特に骨量の成長がスパークする15歳から20前後に骨の貯金を作っておくことが高齢期の骨粗鬆症対策にもっとも重要なのです(図1)。
図1 人間の一生における骨量の増減2)
今回は中学生時期の骨量に過去のどのような身体活動が影響を及ぼしていたのかを調査した論文を紹介します。
低ピーク骨量の原因:青年期までに骨量の発達が不十分であった場合は高齢期に骨折しやすい
この調査には263名(男子127名、女子136名)、12歳から15歳の中学生が参加しました。
腰椎と大腿骨の骨密度を計測すると同時に、小学生時代にスポーツを始めた年、その種類、頻度と時間、運動の負荷量などを調査しました。さらにカルシウム摂取量も問診して調査しています。
結果は、以下の図2の通りです。
図2 過去、現在のスポーツクラブ参加度の違いによる中学時の骨量の比較1)
男子では小学校4-6年生時期にスポーツクラブで多く活動していた群が中程度以下の活動であったものよりも腰椎、股関節ともに骨密度が高いという結果でした。
女子では4-6年生時期に全くスポーツをしていなかった人と比べて、十分なスポーツ活動をしていた人の方が腰椎の骨量が高いという結果でした。
最終的に中学生時期の骨量にどのような身体活動がもっとも影響するかを分析した結果、運動の負荷量よりも、運動の頻度(週2回以上)が多いほど男子では股関節、女子では脊柱の骨密度の多さに関連していました。
終わりに
高齢期の骨折予防対策はもちろん重要ですが、限界もあります。
ライフステージ別に将来の骨折予防を考えた場合、やはり学齢期の運動は重要なようです。
小学校4年生では十分な骨格の発達を得ていませんので、無理をするとスポーツ外傷も多くなるのでバランスが重要ですが、どんな種類でもいいのでスポーツに関わる事が重要ですね。
自分はまだまだ視野が狭かったです。もっと広い視野で捉えて色々な方々と連携をとっていかないといけないと思いました。
いつも貴重なありがとうございます!
本日は以上で終わります。
最後までご覧いただきありがとうございました。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18600403
充実の“note”で飛躍的に臨床技術をアップ
CLINICIANSの公式noteでは、ブログの何倍もさらに有用な情報を提供しています。“今すぐ臨床で活用できる知識と技術”はこちらでご覧ください!
実践!ゼロから学べる腰痛治療マガジン
腰痛治療が苦手なセラピストは非常に多く、以前のTwitterアンケート(回答数約350名)では8割以上の方が困っている、35%はその場しのぎの治療を行っているということでしたが、本コンテンツはそんな問題を解決すべく、CLINICIANSの中でも腰痛治療が得意なセラピスト(理学療法士)4名が腰痛に特化した機能解剖・評価・治療・EBMなどを実践に生きる知識・技術を提供してくれる月額マガジンです。病院で遭遇する整形疾患は勿論、女性特有の腰痛からアスリートまで、様々な腰痛治療に対応できる内容!臨床を噛み砕いてゼロから教えてくれるちょーおすすめコンテンツであり、腰痛治療が苦手なセラピストもそうでない方も必見です!
実践!ゼロから学べる足マガジン
本コンテンツでは、ベテランの足の専門セラピスト(理学療法士)6名が足に特化した機能解剖・評価・治療などを実践に生きる知識・技術を提供してくれる月額マガジンです。病院で遭遇する足の疾患は勿論、小児からアスリートまで幅広い足の臨床、エコー知見などから足を噛み砕いてゼロから教えてくれるちょーおすすめコンテンツであり、足が苦手なセラピストもそうでない方も必見です!
実践!ゼロから学べる肩肘マガジン
本noteマガジンはCLINICIANSメンバーもみんな認めるベテランの肩肘治療のスペシャリスト(理学療法士)5名が肩肘の治療特化した機能解剖・評価・治療などを実践に生きる知識・技術として提供してくれます。普段エコーなどを使って見えないところを見ながら治療を展開している凄腕セラピストが噛み砕いてゼロから深いところまで教えてくれるので肩肘の治療が苦手なセラピストも必見のマガジンです!
YouTube動画で“楽しく学ぶ”
実技、講義形式、音声形式などのセラピストの日々の臨床にダイレクトに役立つコンテンツが無料で学べるCLINICIANS公式Youtubeチャンネルです。EBMが重要視される中、それに遅れを取らず臨床家が飛躍的に加速していくためにはEBMの実践が不可欠。そんな問題を少しでも解決するためにこのチャンネルが作られました。将来的に大学や講習会のような講義が受けられるようになります。チャンネル登録でぜひご活用ください♪登録しておくと新規動画をアップした時の見逃しがなくなりますよ!
※登録しておくと新規動画をアップした時に通知が表示されます。
なお、一般の方向けのチャンネルも作りました!こちらでは専門家も勉強になる体のケアやパフォーマンスアップに関する動画を無料で公開していますので合わせてチャンネル登録を!