今回はカルシウムさえ取っておけば骨の健康が維持できるのか? という内容についてわかりやすくお話ししたいと思います。
カルシウムを摂っていても骨粗鬆症になる
骨粗鬆症の未診断の高齢患者さんに、臨床的に評価した結果、「骨粗鬆症かもしれませんね」とお話ししても、「私は違う。牛乳や小魚をいつも食べている、カルシウムを摂っているから骨は強い」と言われることがあります。
カルシウムさえ摂取しておけば、高齢者の骨の健康は維持できるのでしょうか。
結論から言うとNoとなります。
体内でのカルシウムの調整
確かにカルシウムは骨の形態を維持し、骨が荷重に耐え得るような構造を保つ重要な成分ですが、カルシウムの代謝には副甲状腺ホルモン、ビタミンDやカルシトニンというカルシウム調節ホルモンが必要になります。
それらによってカルシウム濃度は恒常性を保っているので、その機能が十分でないとカルシウムは骨に貯蔵されません。
日本人はカルシウムの摂取量が低い?カルシウム摂取量の推奨量と吸収率
カルシウム摂取量は日本人では低いと言われています。
高齢者でも、だいたい1日700mg前後のカルシウム摂取が推奨されています
⇒健康長寿ネット
牛乳1杯で約220mgのカルシウム摂取が可能ですので、それだけでも1日必要量の1/3は摂取できます。
しかし、人体におけるカルシウムの吸収率は20〜30%程度で残りは排便で体外に排出されます。
さらに、高齢になるほどその吸収率も低下しますので様々な食物からバランスよくカルシウムを摂取する必要があるでしょう。
ビタミンDの摂取と活性化も重要
また、ビタミンDは血中カルシウム濃度の調整に重要な働きをしています。
ビタミンDは日光を浴びることや、食事では赤身魚やきのこなどから摂取できますので、カルシウムに加え骨の健康維持には重要となります。
ビタミンDは天然型、腎臓で活性化されたもの、どちらにせよビタミンDの投与により転倒が減ると言われています。
その理由としてカルシウム濃度を一定に調節することで、神経伝達や筋肉の収縮などを正常に行う働きがあるからです。
1日の摂取目標は5.5μg程度です。
ビタミンDが多く含まれている食材は以下の通りです。
ビタミンDが多い食材
【魚類】
・イワシ丸干し(1尾/正味30g)15.0μg
・カレイ(小1尾/正味100g)13.0μg
・サンマ(1尾/正味100g)14.9μg
・シラス干し(大さじ2/10g)6.1μg
・サケ(1切れ/80g)25.6μg
・ブリ(1切れ/80g)6.4μg
【きのこ類】
・干ししいたけ(2個/6g)0.8μg
・きくらげ(2枚/2g)1.7μg
食べてない患者さんにもすすめないと♪
そうですね。
高齢になればなるほど運動による骨量維持は困難となりますので、カルシウムに加え、ビタミンD摂取によって転倒しない体づくりが重要となります。
本日は以上で終わります。
骨量維持のため、転倒予防のために今回お話ししたカルシウムやビタミンDを摂取すること、日光に当たる生活を送っていただくことは非常に重要ですし、さらには転倒予防のための運動の重要性について患者指導をしていく必要がありますね。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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