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ハムストリングスの機能を考え直す

こんにちは、CLINICIANSの代表のたけ(@RihaClinicians です!

本日はもも裏にあるハムストリングスの機能を考え直すというようなお話をしたいと思います。

ハムストリングスの解剖や簡単にできる評価・治療については以前にnoteの方でご紹介していますので、このあたりがよくわからない方はこちらも合わせてご覧下さい。

ハムストリングスの評価と治療をnoteで見る

 

ハムストリングスの作用

もも裏にあるハムストリングスはお尻の坐骨結節部から膝裏の脛骨後面に付着してます。

 

筋肉が収縮すると起始と停止が近づきます。

起始の坐骨結節部は股関節軸よりも後方にあり、停止部の脛骨後面部は膝関節軸よりも後方にあります。

よって、地面に足をついていない状況(足が固定されていない状況)では、ハムストリングスが収縮すると膝関節の屈曲や股関節の伸展が生じます。

つまり、セラピストの方はハムストリングスの作用は膝関節屈曲、股関節伸展と理解していると思います。

 

ハムストリングスは膝の伸展筋

ハムストリングスは膝関節の屈筋と言いましたが、それでは足を地面に着いた立位の状態ではどうでしょうか?

結論を言うとハムストリングスは膝の伸展筋として主に作用します。

 

これはなぜかをもう一度人体模式図を見て解説していきます。

赤点は股関節と膝関節の運動軸です。

ハムストリングスの付着部は膝関節軸よりも股関節軸の方が距離が遠いことがわかりますか?

筋肉が収縮した時の骨の動かしやすさは、関節軸からの距離が近いほど動かし難しくなる(てこの原理)ので、ハムストリングスは股関節の伸展が主な作用となります。

足が地面に着いていないフリーの状態では、体重がかかっていないので脛骨を動かして膝を屈曲できても、立位で体重負荷が加わっていれば膝の屈曲作用は打ち消され、股関節の伸展が起こることで膝が伸展します。

つまり、ハムストリングスは抗重力位における膝関節の伸展筋といえます。

静止立位の状態では、上半身はフリーになっている状態担っています。よって、ハムストリングスが働くと骨盤が後傾します(体幹の筋群がハムストリングスの張力を制御してバランスを取ることができるだけの機能がない場合)。

 

ハムストリングスの過剰使用で問題が起こる

ハムストリングスは立位での膝関節伸展作用を有していると言いました。

つまり、共同して膝を伸展させているその他の筋群に機能不全が起こったりした時には膝伸展作用が低下するため、これを代償的に補うためにハムストリングスの過剰使用が起こることがあります。

例えば、わかりやすいものであれば大臀筋や下腿三頭筋など。

ハムストリングスが過剰に使われているということは、それと普段連動して働いている他の部分が機能不全になっていて、膝や骨盤アライメントを制御する機能が低下している部位がある可能性が高いので、その辺りの原因を評価していきましょう。

 

臨床では、ハムストリングスに筋肉硬結が沢山できてガチガチに硬くなっておられる患者さんばかりですよね?笑

スポーツ領域でも重要であり、例えばサッカーでは障害受傷の再頻発はハムストリングスの肉離れです。

治療や予防に重要です。

 

問題は姿勢やパフォーマンスに出る

先ほども少し触れましたが、ハムストリングスは骨盤の後方にある坐骨結節に付着しているので過剰に緊張していたり短縮があると骨盤が後傾します。

よって、骨盤後傾を伴うようなスウェイバック姿勢やフラットバック姿勢などはハムストリングスにこのような問題を有している可能性が高いです。

 

根本原因を考えて治療しよう

ハムストリングスの過剰使用は上記の文章や動画でお話ししている通り、共同筋である大臀筋の作用が低下しているなどの様々な要因で引き起こされています。

・胸椎機能不全(円背・上位交差症候群)

・腹部インナーマッスルの機能不全

・股関節の機能不全

・足部の機能不全 などなど

※機能不全とは、関節・筋肉の柔軟性低下、筋出力低下、協調性低下など問題を引き起こす様々なものを全て含んだものとしてお話ししています。

 

つまり、何かしらの問題があって結果としてハムストリングスの過剰緊張なども問題が起こっているので、ハムストリングスだけストレッチやマッサージしても結局それは変わりません。

 

上記のような根本原因を追求して調整していくように治療や指導を行う必要があるのは言うまでもないかもしれませんね(笑)

 

関連する治療に役立つ動画

 

本日は以上で終わります。

ハムストリングスの機能を考え直すという内容で評価やアプローチについても少しだけ触れましたがいかがでしたでしょうか?

これを知っているベテランの方々は“そんなの当たり前だよ”と思われる内容ですが、これを知らなくて治療に困っている若手セラピストの方も多いと感じる現状なのであえて簡単に解説してみました。

記事がお困りの方の何か良いヒントになれば幸いです。

最後までご覧いただきありがとうございました!

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たけ
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