皆さんこんにちは(^^)
理学療法士の眞本匠です。
前月は大腿骨近位部骨折のリハポイントについて、概要を簡単にですがまとめました。
頚部骨折と転子部骨折の違いについて、曖昧点がある方はぜひご覧くださいね(^o^)
さて、今月の内容ですが、再び骨折関係の内容です。
【これだけは押さえておきたい骨折の評価】
と題しまして、まとめていきたいと思います。
参考にしている書籍はいくつかありますが、基本的にはシータ独自の抜粋と順序ですので、あくまで参考程度になればと思います。
ちなみに、回復期での目線です。
早速ですが、以下をご覧ください。
骨折の方が入院されてからの流れと思って見てくださいね。
①術式の確認
②画像評価
③問診
④術創部、骨折部位の確認
⑤筋力・疼痛・関節可動域・感覚検査
私の場合はざっくりだとこんな感じです。
疾患や既往歴、合併症次第では増えることも勿論ありますが。
では、一つずつ説明していきます。
術式の確認
まずはこれですね。
ここからは、例を示しながら、実践的な説明をしていきます!(^^)!
大腿骨骨折を例にとり、ハンソンピンをしているとします。
となれば、一般的に考えられるのは
・人工関節ではないから、骨折の程度は小さいのか?
・筋の侵襲は少ないから、疼痛は少ないか?
・早期荷重がメリットの術式だから、荷重進めるべきか?(医師との連携)
・カットアウトや骨壊死による股関節痛あたりには注意だな~
まあ、この辺ですね。
あくまで、術式だけで考えた推論なのでこれを当てはめては断じてなりません。
まずこれらを念頭に置いて、次の画像情報に移ります。
画像の評価
ではでは、次です。
先ほどの4点を頭に置きつつ、まずはレントゲン写真を見てみましょう。
そこで、こう評価し、推論を展開しています↓
人工関節ではないから、骨折の程度は小さいのか?↓
画像を見ると、転位もしてGarden stageⅢである。骨折の程度は小さくない。。
ハンソンピンは基本的にstageⅠやⅡが主流ですが、Ⅲ、若しくはⅣに適応することもあります。※内科的な問題で人工関節が出来ない場合など。
・筋の侵襲は少ないから、疼痛は少ないか?↓
手術による侵襲は少ないが、転倒時に軟部組織を損傷しているかもしれない。。
もしかすると、圧痛や収縮時・伸張時痛があるかもしれませんね。
ここまでで、画像を合わせるだけで、少し患者像が見えてきましたね。
さらに、インプラントは正確に位置されているか?
といった点も見ておくべきですね。ここは、長くなるので今回は割愛します!(^^)
では、次です。
問診
超大事ですね~。
ここまでの情報をまとめると、
大腿骨骨折で、Garden stageⅢだが、術式はハンソンピン。
転倒時に軟部組織を損傷した可能性があるかもしれない。
では問診で何を聞くか?これは本当に個人差が大きくまとめきれなかったので、
私が全員に聞いている、たった一つの内容だけをお伝えします。笑
それは、
受傷時(転倒時)の状況
です。ポイントは、
「実際に転倒現場にいた」と言えるくらい、詳細に聞くこと
例えば、
・転倒した場所は?
屋内か、屋外か。そしてその転倒場所に躓いたのか、ふらついたのか、滑ったのか。
もし屋内の敷居に躓いたのなら、積極的な筋力増強運動だけでなく、2重課題を取り入れたメニューが必要かもしれません。
転倒した時間帯は?
これは考えやすいですね。夜に転倒したかどうかが肝です。
夜間に転倒したのなら、視覚を遮断した状態での感覚組織化訓練や、環境調整が必要かもしれません。薬の影響かどうかも確認が必要です。
転倒した方向は?
これは重要ですね。もし後側方なら、その方向への姿勢反射の促通や、評価をしてみる価値があります。
転倒による着地順
難しそうですが。。
手を着いたかは聞きましょう。また、転倒した部分を細かく、細かく聞きましょう。
着地して衝撃を受けた骨格筋に疼痛があることが、しばしばあります。
なぜ転倒したと思うか?
これも重要です。
例えば、屋内の段差を手すりを使わず昇ろうとして転倒した場合は、手すりを使わなかったのが主原因であると言えますね。ですが、それすら理解していない方もいます。こういう方は、次に聞く自己効力感も高く、再転倒の恐れが大きい印象です。
原因を本人なりに振り返っているかどうか、聞いてみましょう(^^)
また転倒すると思うか?「転倒の恐怖心・自己効力感」
最近は、特にこの項目に着目しています。
転倒恐怖心が強すぎると、生活範囲の狭小化が生じ、廃用進行が予想されます。
これは当たり前ですが、逆に【自己効力感】が高すぎると、かなり問題になってきます。
例えば、種々のバランス評価や歩行評価で杖歩行だと転倒リスクがあるにも関わらず、杖はおろか独歩で歩いたりしちゃいます。
早い話が、実際の身体機能レベルと本人の自信との剥離です。
この問診の評価結果次第で、アプローチの方向がかなり見えてきますね。
術創部・骨折部位の確認
ここまでで、色々と情報がまとまってきましたね。
ここから、実際に患者さんへの視診・触診が始まります。
術創部の状態を確認し、癒着による関節可動域制限を予防することがアプローチとして定番ですが、
それだけでなく、服の上からマッサージをするときに刺激をしないためにも、確認が必要です。
骨折部位に関しては、まずは炎症所見ですね。
画像情報から得た骨折の程度と、骨折後どれだけ経過しているかを合わせ、炎症の程度を経過を追う必要があります。
筋力・疼痛・関節可動域・感覚検査
筋力発揮
転倒により損傷した筋や手術による侵襲筋の筋力発揮の状態を評価します。
疼痛
安静時痛・荷重時痛・他動運動時痛・自動運動時痛は最低限評価します。
荷重時痛は、体重の何%までなら疼痛が無く、何%からは疼痛が生じるかまで、詳細に聞くことをお勧めします。
関節可動域は、言うまでもないですね!(^^)
感覚検査
骨折の程度が強い場合に損傷している恐れがある領域を評価します。
さらに、脚長差による坐骨神経の延長なんかもあり得るので、その領域も見たりします。
まとめ
いかがでしたか?
①術式の確認
②画像評価
③問診
④術創部、骨折部位の確認
⑤筋力・疼痛・関節可動域・感覚検査
かなり広く浅くの説明ではあったので、これだけでは勿論十分では言えません。
ですが、この5つの評価も十分に出来ていなかった方は、ぜひ評価を進めてみてくださいね!(^^)!
何か疑問点があれば、ツイッターのDMにて、ご質問をお受けします!(^^)
参考文献
(1)松本正知:骨折の機能解剖学的運動療法 その基礎から臨床まで 体感・下肢 ,中外医学社 2015
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