徒手療法

初回肩関節脱臼の固定方法 内旋位固定VS外旋位固定

こんにちは。
藤沢肩関節機能研究会 代表の郷間(@FujikataGoma)です。

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今回は腱板断裂や肩関節周囲炎と比較すると
症例数は少ないですが非常に重要な”肩関節脱臼”についてお話をしていきたいと思います。

本記事を読んだ後、皆さんは必ず以下の3つができるようになります(^-^)ノ
①肩関節脱臼の病態を把握し、状態を説明できるようになる
②担当した肩関節脱臼患者の『年齢と性別』を意識して介入できる
『固定方法(保存)』を意識した介入ができる

ちなみに、最も読んでいただきたいのは
普段から外傷に携わっておられる柔道整復師さんです(^-^)

私たち理学療法士は脱臼後の整復をすることはできません(資格的にも、技術的にも.笑)
ですが柔道整復師の皆さんは”脱臼”と日頃から密接に関わる(関われる)技術をお持ちの方々ばかりですので
今回の数字的な脱臼分析も臨床に落とし込んでいただけると幸いです✨

結論から言います。

肩関節脱臼は
▪男性の初回肩関節脱臼の発生は10~20代が多い
▪女性の初回肩関節脱臼の発生は50歳以上が多い
▪脱臼後、内旋位固定よりも外旋位固定のほうが再脱臼率が低い

これらの項目を覚えておくだけで、初回介入時に焦ってしまうことや状態の説明に迷ってしまうことはほとんど無くなります。

ということで、今回はこれら肩関節脱臼を数字的にみた病態把握と予後予測について解説していきたいと思いますので、最後までお付き合いください✨

肩関節脱臼とは

皆さんもご存じかと思いますが、肩関節脱臼とは文字通り
『肩甲上腕関節を構成する上腕骨が肩甲骨の関節窩から脱臼すること』を言います。

一般的にが外傷性肩関節脱臼が最も多く、転倒や衝突など強い外力が肩関節に加わることで受傷します。

肩関節脱臼の合併症

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肩関節脱臼にはいくつか合併症がありますが、本記事ではもっとも有名な2つの病変をご紹介します。

Bankart病変(バンカート病変)

肩関節前方(前下方)の関節唇や関節包、靭帯が剥離する病変。
症例によっては肩甲骨関節窩の前縁(前下縁)の骨折損傷も生じる。

なぜ前方軟部組織の損傷が多いのでしょうか?
理由は肩関節脱臼のほとんどが前方脱臼であることが挙げられます。
また、Bankart病変が生じると、肩関節前方軟部組織が緩い状態になるため、再脱臼リスクも高くなります。
保存療法では肩甲下筋の機能改善が最も一般的ですね。

Hillsachs病変(ヒル‐サックス病変)

脱臼に伴い、上腕骨頭の後外側の軟骨および骨が損傷する病変。

Hillsachs病変はあまり馴染みのない方も多いかと思います。
Hillsachsは脱臼後、関節窩の前方と上腕骨頭の後外側が”噛み込む”ことにより生じ、脱臼後の整復に難渋する例も多いそうです。

⇩こちらにBankart病変とHillsachs病変についての解説動画を添付します⇩

年齢と性別で異なる初回肩関節脱臼の発生率

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前方肩関節脱臼に関する疫学調査
▪初回脱臼の頻度 男3:女1
▪男性の初回肩関節脱臼の発生は10~20代が多い
▪女性の初回肩関節脱臼の発生は50歳以上が多い

Leroux,et al:Epidemiology of primary anterior shoulder dislocation requiring closed reduction in Ontario, Canada.AJSM.2014; 42(2):442-50

Lerouxらの報告によると男性は10~20代で初回脱臼を発症することが多く、合併して関節唇や靭帯も損傷することが多いようです。
一方、女性は50歳以上で初回脱臼を発症することが多く、腱板断裂を伴う例が多いようです。

また、Berbigらは50歳以上の初回脱臼は51.5%で腱板断裂を認め、その90%以上が大断裂以上が合併していると報告しています。

Roger Berbig,et al:Primary anterior shoulder dislocation and rotator cuff tears.JSES.1999; 8(3): 220-225

手術適応についてはセラピストである私たちが言及できることは少ないですが、年齢や性別、活動量(スポーツレベルや職業内容)により治療方針も異なるということだけは理解しておきましょう(^^)

内旋位固定vs外旋位固定~メリットとデメリット~

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次に脱臼後の固定方法について考えていきましょう!
実際に脱臼をしてしまった場合は肩関節を固定します。
固定方法には大きく分けて2種類あり
1.内旋位固定(もっとも一般的な固定方法。三角巾など)
2.外旋位固定
では、これら2種類の固定方法ではどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?

まずは利便性について考えてみましょう。

内旋位固定vs外旋位固定~利便性~

固定方法の検討①
▪外旋位固定は不便かつコンプライアンスも不良である

Itoi Eiji,et al :Position of immobilization after dislocation of the glenohumeral joint. A study with use of magnetic resonance imaging.JBJS Am. 2001;83(5):661-7.

内旋位固定
▪比較的簡単。場所もとらない。(外旋位固定に比べれば)目立たない。

外旋位固定
▪着脱が大変。場所をとる。すっごく目立つ(悪い意味で)。

はい。利便性やコンプライアンス、審美的にも内旋位固定に圧倒的に軍配が上がりましたね。
利便性=内旋位固定

では次に再脱臼率について検討していきましょう!

内旋位固定vs外旋位固定~再脱臼リスクの低さと安全性~

固定方法の検討②
脱臼患者40名のうち内旋位固定群20名、外旋位固定群20名で再脱臼率を検討した。
結果は平均15.5か月で再脱臼率は
▪内旋位固定では再脱臼率は30%
▪外旋位固定では再脱臼率が0%
という結果であった。また、再脱臼した症例は30歳未満に多かった。

Itoi Eiji,et al :A new method of immobilization after traumatic anterior dislocation of the shoulder a preliminary study.JSES.2003;12(5):413-5.

内旋位固定だと15.5か月以内に6/20人(約30%)が再脱臼するのに対して、外旋位固定では1人(0%)も再脱臼をしなかった…
これは凄い結果ですね。
学生スポーツやプロスポーツにおいては早期復帰が求められる傾向にありますが、再受傷を如何に減らすか。も永遠のテーマですよね。

再脱臼率という観点から考えると、今回は外旋位固定に軍配が上がりましたね。
再脱臼リスクの低さと安全性=外旋位固定

ということで、
肩関節脱臼後の内旋位固定 vs 外旋位固定をまとめると

▪内旋位固定
コンプライアンス、利便性、審美的観点からはメリットもあるが、再脱臼リスクが高い。

▪外旋位固定
コンプライアンスが悪い、不便、目立つ(大きい)というデメリットはあるが、再脱臼リスクは非常に少ない

まとめ

▪肩関節脱臼とは「肩甲上腕関節を構成する上腕骨が肩甲骨の関節窩から脱臼すること」である
▪主な合併症には”Bankart病変””Hillsachs病変”の2種類がある
▪男性の初回肩関節脱臼の発生は10~20代が多い

▪女性の初回肩関節脱臼の発生は50歳以上が多い
▪脱臼後、内旋位固定よりも外旋位固定のほうが再脱臼率が低い

いかがでしたか?
今後も皆様の明日の臨床に活かせる情報をお届けできればと思います✨
以上、藤沢肩関節機能研究会 郷間でした(^ ^)

参考文献

文章内に記載

 

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