こんにちはリョウ(@HealthCare_ryo)です。
エクセルは非常に便利です。
我々セラピストの業務においてとても有効活用できます。
でも、エクセルに馴染みがなかったり、苦手なセラピストの方は多いと思います。
そこで本記事では理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など
セラピストのためのエクセル術を解説していきます。
前回はセラピストが知っておきたいExcel関数としてこちらを解説しました。
・指定した範囲の合計を知りたい=SUM
・指定した範囲の平均を知りたい=AVERAGE
・指定した範囲の数を数えたい=COUNT, COUNTA
・男性や女性など条件に応じた数を数えたい=COUNTIF
・50歳代の女性の数など複数条件下での数を数えたい=COUNTIFS
・男性や女性など条件に応じた平均が知りたい=AVERAGEIF
・60歳代の女性の平均身長まど複数条件下での平均が知りたい=AVERAGEIFS
ざっくり内容を見る
解説する関数
条件に一致したデータをピックアップする。
『対象者の平均身長や平均体重を自動で抽出したい』
『対象者にあった運動プログラムを自動で抽出したい』
みなさん、普段臨床をしていてこんな風に思ったことはありませんか?
・Aさんは50代男性で身長175㎝,体重58kgだけど平均はいくらだろうか?
・Bさんは20代女性で握力21kgだけど平均はいくらだろうか?
・Cさんの身体検査1,2,3の結果からどの運動プログラムがよいだろうか?
私は非常にあります。
こういった臨床のニーズを満たしてくれて、
セラピストの業務効率化に役に立つのがExce術です。
そして上記のようなニーズ(条件に一致したデータをピックアップする)を満たしてくれるのが
今回解説する関数VLOOKUPとHLOOKUPです。
(※HLOOKUPは別記事で解説します)
対象者の平均身長や平均体重を自動で抽出したい=VLOOKUP,HLOOKUP
臨床をしていると平均身長や平均体重、対象者の同年代の平均握力など、
知りたい場面は結構ありませんか?
運動指導や生活指導をする場面で
『平均体重や同年代の平均筋力とこのくらいの乖離があるので、日ごろの食生活や運動習慣を見直した方がいいですね~』
なんて感じです。
そんな時に使用するのは『VLOOKUP,HLOOKUP』です。
基本的にVLOOKUPとHLOOKUPの機能としてはほぼ同じです。細かな仕様だけ異なるので好みやデータの特性で使い分けてもらったらOKです。
・VLOOKUP:縦方向にデータを検索して条件に一致する値をピックアップする
・HLOOKUP:横方向にデータを検索して条件に一致する値をピックアップする
上記は厚生労働省の厚生統計要覧のデータを参照して見やすく修正したものです。
このようなデータから自動で平均身長や平均体重などを引っ張ってくるのがVLOOKUPやHLOOKUPです。
もちろん自分の目で見てデータと照らし合わせながら判断してもいいのですが、
やはり人間の目だとミスすることもありますし、
なにより手間です。
では具体的に解説していきます。
本記事ではVLOOKUPの解説を行います。
VLOOKUP
Aさん、Bさん、Cさんそれぞれ年齢から平均身長と平均体重をピックアップしてみます。
使用する関数は「VLOOKUP」です。
VLOOKUPは縦方向にデータを検索して条件に一致した値をピックアップしてくれる関数です。
つまりここでは
「年齢から平均身長や平均体重をピックアップしてくれる」
ことができます。
VLOOKUPを選択すると『検索値』,『範囲』,『列番号』,『検索方法』を選択するように求められます。
検索値
まずは『検索値』の設定を行います。
検索値というのは条件です。
つまりここでは「年齢」になります。
ですのでAさんの年齢が記されたセル(C35)を入力します。
※検索値は次で設定する『範囲』の一番左端の列からのみ検索するようになります。詳細は次で解説します。
範囲
続いて『範囲』を設定します。
範囲というのは検索値が記されたセルの列とピックアップしてくる値が含まれたセルの列を含める必要があります。
つまりここではデータが書かれている表の『年齢(歳)』の列と『身長(cm)』の列を含めます。
ここでの範囲は(B26:D31)となります。
ちなみに範囲はコピーしたときにズレてしまわないように絶対参照($)で固定すると非常に便利です。範囲を選択した後に「F4」キーを1回押すようにしましょう。
列番号
列番号とは先ほど指定した『範囲』の一番左の列から数えた列の番号になります。
ここでは平均身長を求めたい際は平均身長の列は年齢の隣にありますから、
先ほど指定した範囲の一番左の列(年齢の列)から2番目の列となります。
なので列番号は『2』とします。
ちなみに平均体重を求めたい際には列番号は『3』となります。
ポイントは範囲で指定した一番左の列から数えて何番目の列をピックアップさせるかです。
検索方法
検索方法には『FALSE』or『TRUE』を入力します。
FALSE:完全一致のデータをピックアップ
TRUE:近似値のデータをピックアップ
指定した範囲から検索値の条件でデータをピックアップしてくるのがVLOOKUPの機能なのですが、
検索値の条件と完全一致するデータをピックアップする(=FALSE)か、
近似値のデータをピックアップする(=TRUE)かを選択することが出来ます。
検索値が今回の年齢のように完全に一致してデータから拾える場合はFALSEで問題ありません。
しかし、年齢が21.5歳のように小数点などで示されるような場合にはFALSEではデータがピックアップされないので、TRUEと設定して近似値を拾ってくるように設定しないといけません。
ここまで設定するとVLOOKUPの完成です。
これでAさんの年齢から平均身長の値を自動でピックアップすることが出来ました。
ちなみに数式は
=VLOOKUP(C35,$B$26:$D$31,2,FALSE)
となります。
VLOOKUPの実践方法
ここまでVLOOKUPの数式の設定方法を解説しました。
ここからは実際の実践方法について解説していきます。
VLOOKUPは非常に便利ですが条件が1つしか設定できないという最大の欠点があります。
先ほど平均身長と平均体重の例を示しましたが、
条件として設定したのは「年齢」でしたね。
でも我々セラピストの現場では年齢だけ、と言ったような1つの条件のみで求めるような事は少ないと思います。
例えば平均身長なら年齢以外に「性別」も必要ですよね。
年齢と性別など、こう言った複数の条件下でデータを求めることが多々あると思います。
そんな時、VLOOKUPでは条件が1つしか設定できないためこのままでは使えません。
この場合の解決策は元データの範囲を加工する必要があります。
では具体的に解説していきます。
元データ範囲の加工
このようなデータからAさん,Bさん,Cさんの平均身長や平均体重をピックアップすることはできません。
なぜなら条件として年齢と性別の複数条件があるからです。
例えばAさんの年齢は21歳ですが、21歳のデータは男性女性の2つが存在しますよね。
これでは正確なデータをピックアップすることはできません。
そもそもVLOOKUPは縦方向にデータを検索するため、
性別ごとに分けたデータが横並びでは検索できません。
なので検索をかける元データの範囲を加工する必要があります。
縦並びに加工する
まずは元データを立て並びに加工します。
これはVLOOKUPが縦方向にデータを検索するためです。
横並びにデータを並び替えた際はHLOOKUPを使用します。
(※HLOOKUPに関しては次回の記事で解説します)
このように性別ごとのデータを縦並びに加工します。
新たな検索条件を作成する
上記のデータのままでは性別で検索をかけると男性女性それぞれ5つのデータが検索されてしまいますし、
年齢で検索をかけても男性女性でそれぞれ2つのデータが検索されてしまいますのでまだ不十分です。
なので新たな検索条件を作成します。
まず新しい列を作成し複数条件で検索したい項目同士をつなげます。
ここでは性別と年齢をつなぎたいのでC41セルとD41セルを&でつなぎます。
『=C41&D41』とすると『男20』といった新しい検索条件を作ることができます。
同様にデータを求めたいAさん,Bさん,Cさんに関しても性別+年齢で新しい検索条件を作成しておきます。
ここまでで元データ範囲の加工は完成です。
あとはVLOOKUPの数式を組んでいきます。
複数条件下でのVLOOKUP
複数条件下での数式(Aさんの平均身長)は
検索値:C56(女21)
範囲:B41:F52
列番号:4(平均身長は左端から4列目)
検索方法:FALSE(完全一致のデータを検索)
となります。
ちなみに平均体重を求めたいときは列番号を『5』とすると求めることができます。
まとめ
今回は条件に一致したデータをピックアップするために
『VLOOKUP』について解説しました。
正直、これをマスターしたからと言って臨床に役立つの?
と思う方も多いと思います。
結論を言いますと「めちゃくちゃ役立ちます!」
私はクライアントさんにフィードバックする資料にも利用していますし、
チームで活動しているプロジェクトにもとても役立っています。
いずれ具体的な臨床応用についても解説しますね!
とりあえず次回は『HLOOKUP』について解説予定です。
前回記事もよければご参照ください。
noteでは前回ご紹介したExcel術のテンプレートもありますので、興味のある方は覗いてみてください。
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