脳・神経

認知症は予防できる?海外の研究論文をご紹介

こんにちは、初めて記事を書きます、作業療法士のu.s.OTです。

初めての記事ということで何を書こうか迷いましたが、自分として書きやすい認知症、特に今回は認知症予防をテーマに少しだけ海外の研究を紹介したいと思います。

ちなみに僕は、臨床で認知症の方々をたくさん担当させて頂きましたが決して認知症支援の専門家という訳ではありません。どちらかというと身障系を専門とする作業療法士です。

なので、あまりツッコミは入れないでください^ ^

 

ちまたにあふれる認知症の予防方法

皆さん、認知症予防に効果がある物、事ってなんでしょうね?

僕の大好きなgoogle先生で検索ワード「認知症予防」「スペース」を入れると「運動」、「食べ物」、「食事」、「脳トレ」などの順に検索予測があがってきます。

ふむふむ、どれもメディアで頻繁に取りあげられている内容ですね。

 

リハビリテーションと認知症予防

特にリハビリテーション領域との関連が強い「運動(身体活動)」「認知症予防」は,いくつかのメタアナリシスで関連性が示されています1,2)

Physical activity in middle-age and dementia in later life: findings from a prospective cohort of men in Caerphilly, South Wales and a meta-analysis.

※前向きコホート研究(16年間)にて南ウェールズの中年期男性の身体活動や運動習慣が高齢期の認知症発症率の低下に関連すると報告。

 

Physical activity and risk of cognitive decline: a meta-analysis of prospective studies.

※15件の前向きコホート研究にて3万4千人の追跡調査の結果,高レベルの身体活動や中レベルの運動習慣が認知症発症率の低下に関連すると報告。

 

これらはコホート研究のメタアナリシスなので比較的,証明力の強い研究だと思います.

上記は運動を扱った研究なので,主に理学療法士さんが得意とする領域かもしれません.

 

作業療法と認知症予防

さて、僕は作業療法士です。

作業療法士に関連する認知症予防の研究はあるのでしょうか?

作業療法士はクライエントの支援において余暇活動に含まれる知的活動(ゲーム、囲碁、麻雀など)や社会的交流(友人、ボランティア、旅行など)を介入手段として用いることがあります。

実は上記の作業療法の介入手段と認知症予防の関連を示す研究がいくつか報告されています3,4)

Cognitive leisure activities and their role in preventing dementia: a systematic review.

※13件のコホート研究などのシステマティックレビューにて良質なRCTは無いが高齢期に積極的に余暇活動に参加することは認知症予防に効果がある可能性を報告。

 

Late life leisure activities and risk of cognitive decline.

※コホート研究(3年間)にて中国の高齢期男女1400人を追跡調査の結果、積極的な余暇活動の参加が認知機能低下を予防すると報告。

 

これら2つの報告は良質なRCTが無いことや余暇活動の定義が明確ではないなど証明力が若干弱いようですが、今後さらなる研究によって解析が進んでいくと思います。

ここまで認知症予防について、いくつか海外の研究を紹介しました。

これらの研究は認知症予防の効果や根拠を示す際に使えると思います。

ぜひ、ご自分でも読んでみてください。

 

認知症になっても希望を持てる社会

最後に、最近、こんな記事を読みました。

「認知症怖い」中高年の37%…他の病気を大きく上回る

 中高年の4割近くが認知症になるのが怖いと考えているとする調査結果を、日本医師会総合政策研究機構の主任研究員の坂口一樹さんらが発表した。健康への不安では、体力の衰えに次いで高く、がんなど他の病気を大きく上回った。

 調査は、太陽生命保険が2017年3~4月に実施した。無作為に抽出した被保険者5000人(40~70歳代)のうち、有効回答を得た1557人(男性336人、女性1221人)のデータを分析した。

 健康への不安に関する設問では、「体力が衰えてきた」が50・9%でトップ。次いで「認知症になるのが怖い」が37・6%で、「心筋 梗塞こうそく や脳卒中」26・5%や「がん」26・1%より多いのが目立つ。

 認知症に関する不安や心配事では、「現在の介護保険制度がどうなるか心配」が82・9%に上った。費用や相談先、受けられる介護サービスも選べる設問だったが、それらへの不安を上回った。

 政府は認知症対策として国家戦略「新オレンジプラン」を掲げ、適切な医療・介護の提供、支援のための地域づくりなどを推進している。しかし、同プランを知っていると答えたのは5・8%にとどまった。

 坂口さんは「経済力のあるシニア女性層が回答者に多い点を考慮する必要はあるが、認知症への不安ばかりが先行している状況が見て取れる結果となった。国は不安解消を政策の最優先課題にして取り組むべきだ」と話している。

引用元:ヨミドクター

 

メディアや専門家による講演などで認知症発症への不安ばかりが先行している現状もあるかもしれません。

認知症予防講演の受講者の中には「認知症になったらこの世の終わり」と感じる方もおられるそうです。

予防はもちろん大切です。

ですが同時に認知症になっても安心な社会作りも大切な取り組みだと思います。

 

こんな素敵な取り組みが増えるといいですね^ ^

注文を「忘れる」料理店 ふしぎなお店が目指すものは

「認知症を抱える人に、スタッフをしてもらう」というこのお店。料理はプロの料理人が、運営はテレビ局や広告代理店などに勤める人が全てボランティアで行い、収益は得ていないそうです。

なぜ、こんな企画を考えたのか?実行委員を務める、テレビ局ディレクターの小国士朗さんにお話を聞きました・・

引用元:Yahoo!JAPAN(一部抜粋)

 

 

本日は以上です。

最後までご覧頂きありがとうございました。

 

参考資料

1) Physical activity in middle-age and dementia in later life: findings from a prospective cohort of men in Caerphilly, South Wales and a meta-analysis.
※前向きコホート研究(16年間)にて南ウェールズの中年期男性の身体活動や運動習慣が高齢期の認知症発症率の低下に関連すると報告.

2) Physical activity and risk of cognitive decline: a meta-analysis of prospective studies.
※15件の前向きコホート研究にて3万4千人の追跡調査の結果,高レベルの身体活動や中レベルの運動習慣が認知症発症率の低下に関連すると報告.

3) Cognitive leisure activities and their role in preventing dementia: a systematic review.
※13件のコホート研究などのシステマティックレビューにて良質なRCTは無いが高齢期に積極的に余暇活動に参加することは認知症予防に効果がある可能性を報告.

4) Late life leisure activities and risk of cognitive decline.
※コホート研究(3年間)にて中国の高齢期男女1400人を追跡調査の結果,積極的な余暇活動の参加が認知機能低下を予防すると報告.

5)認知症疾患診療ガイドライン2017 [ 日本神経学会 ]


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