こんにちは、cascade (@cascade1510 )です!
今回のテーマは「環境調整」についてです。
普段、病院で臨床を進めていく上ではなかなか考えることも少ないかもしれません。
しかし、在宅など生活期のリハビリテーションの場面では必ず考慮に入れないといけないくらい重要なところです。
脳卒中などで入院している対象者の方に対しても、必ず退院後の生活を考えながらリハビリテーションを進めていく必要もあると思います。
そして退院後の生活で考えないといけないのは、家屋状況などの家の環境や、支援してくれる周りの人などの環境です。
あるいは、例えば外来の患者さんが、
「腰痛や肩こり等に悩まされて困る」
と言われた場合、その人に対して、身体的に凝り固まった筋肉をゆるめたり姿勢の調整をすることで一時的に症状が改善したとしても、また繰り返して起こることもよくみられます。
この場合、結局は一時的に症状が和らいだとしても、その症状を起こした根本的な原因を止めない限りは、症状を繰り返す可能性があるということです。
そしてその原因としては、「環境」の占める割合が大きいです。
以前にICFについて説明したこともありますが、環境因子というものは本人の機能や能力にも影響を及ぼしうるということです。
ところで環境、環境と言うけれど、では一体どういったものが「環境」として考えられ、環境としてどんな項目があるのか⁈
このあたりをまとめていってみたいと思います。
環境とは
まずは「環境」の定義についてみてみましょう。
“「環境」とは、まわりを取り巻く周囲の状態や世界。人間あるいは生物を取り囲み、相互に関係し合って直接・間接に影響を与える外界。”
引用元:goo辞書
と言う事ですが、何となくイメージはわかるかと思います。
つまり対象者がいたとしたら、その対象者に影響及ぼし得る周りの状態のことをいいます。
それではその「環境」の種類はどのようなものがあるでしょうか⁈
細かく見ていきましょう!
人的環境
家族、親類
まず最初に、その人の人生に大きく影響与えている家族や親類についてです。
配偶者や娘または息子の嫁などいわゆるキーパーソンとなっている人がどれだけ重要か、ということです。
逆にこのキーパーソンとなっている人に対していかにアプローチするかも重要なっています。
まだ近くに住んではいなくても、連絡が取ることが出来るような親戚なども本人に影響を及ぼしたりします。
近隣の人達
本人が住んでいる家の隣近所の人たちを指します。
キーパーソンや家族だけではなかなか支え切れない部分を近隣の人たちの協力で補い合える環境にあるか、といったところも大事な点です。
医療介護福祉のお手伝いをする専門職
次に、医療介護福祉のお手伝いをする専門職についてです。
これには、看護師や介護士、医師やケアマネジャーや社会福祉士、また行政の担当者などなど、実は多くの人が対象者に関わっています。
私は現在、理学療法士として在宅でのリハビリテーションを支援しています。
そしてわれわれは基本的に対象者本人に対しては専門職として関わっています。
思っている以上にこの専門職の意見というのがしばしば本人に大きな影響与えたりすることがあります。
それは良い方向にも悪い方向にも働き得るということです。
なので我々が何の気なしに発した言葉がときに大きな影響を与えることがあるということも頭に入れておきましょう。
社会的、生活環境
地域資源、インフラ
自分の住んでいる地域も大事な環境の1つです。
自分が住んでいる場所が都市部にあるのかそれとも山奥にあるのかによって、全く意味が変わってきます。
自分が歩いて外出できる範囲内にスーパーなどがあるかどうか。
また、近くに電車の駅やバス停があるかどうか。
このような地域資源も本人が地域で生活する上で重要な要素になります。
家の構造、屋内での動線
本人が住む家の構造も重要な要素です。
玄関の段差はどうか?
手すり等、伝って歩いたりできるか?
トイレは洋式か和式か?
浴槽の深さは本人がまたいで入ることができるか?
こういったことが在宅での本人の生活に「環境」として直接かかわっています。
ベッド周り
マットレスの硬さや、枕の高さなど睡眠中の環境もまた大切です。
上記の例で挙げた肩こりや腰痛についても、その原因が寝ているときの環境であったりします。
睡眠の質にも関わり、最終的には本人のQOLにも影響が及ぼされるので、とても重要な要素です。
寝間着や寝室の温度設定などもこの環境の1つですね。
その他の環境(経済環境)
実は環境としてはこの経済環境も大切です。
経済環境とは、ひとことで言ってしまうと、「お金をどれだけ持っているか」です。
必要な時に介護福祉のサービスを利用したくても、その人が経済的に余裕があるかどうかによって、サービスが受けれるかどうかも変わってきます。
その他にも環境として挙げられるものもあるかと思いますが、これらのように、本人をとりまく環境には様々な環境因子があり、本人に大きな影響を及ぼしていることがわかります。
環境の調整について
上記の通り、個人の周りには様々な環境があり、その環境によって大きく影響を受けています。
そこで考えるべきは「環境を変えることができるか」ということです。
上記で出た環境の項目の中にはなかなか変えられない環境もありますが、変えられる環境もたくさんあります。
それらの環境を本人にとって良いように変えていくことを「環境調整」といいます。
例えば人的環境の中で挙げられましたが、我々専門職の関わり方を変えていくことも1つの環境調整です。
関わり方といっても、様々なアプローチ方法があるかとは思います。
また例えば住宅の構造上で生活しにくい場所があったら、生活しやすいように手すりを設置したり段差を解消するなど住宅を改修していくことも環境調整です。
あるいは屋内で歩行する時に不安がある場合、歩行器をレンタルして使用していくことも1つの環境調整です。
このように考えていくと環境調整の多様性と重要性が理解していただけたかと思います。
今回は以上で終わります。
ここまでお読みいただきありがとうございました!
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