こんにちはリョウ(@HealthCare_ryo)です。
今回は臨床現場から考える医療機器開発2ということで、お話をさせていただきます。
今年の初めにこんな内容のお話を書かせてもらいました。
結構おもしろい内容が書けていると思いますので、ぜひとも一読していただけたらと思います!
今回はこちらの第2弾という事で『臨床現場で働く人だからこそ生かせる医療機器開発についての考え方』を書いていきます!
ざっくり内容を見る
現場の観察が最も大事!
臨床現場の人だからこそ生かせる医療機器開発の考え方で最も大事なことは、
『現場の観察』
です。
PT・OT・STなどが働くリハビリの領域というのは、外部の企業にとって人気のある領域(医療機器開発に踏み込みたい領域)です。
米国ではGAFAなどのハイテク企業のほかにヘルスケア企業の発展も非常に盛んです。
臨床現場で働いていて常日頃から感じている困りごとや「こんな物があったらいいのにな」
なんて情報には実は非常に価値があります。
外部の企業の人はまさにこのような情報を欲しています。
それはなぜかと言うと
・現場が欲している物は売れるから
・現場が欲していない物は売れないから
・そもそも医療現場の現状を知らないから
・医療現場の現状を知る術がないから
このような点があります。
特に現在ではコロナの影響で医療機関への出入りなどは制限されていますので、より現場の意見や情報と言うのは有益なものとなります。
そんな超貴重な臨床現場で働いている人は医療機器開発においてとても有利なわけです。
顕在ニーズではなく潜在的ニーズを見つけよう
現場の観察において重要なのは『ヒアリング』です。
現場で実際に働いている自分自身や他人から困りごとや、あったらいいのになと思える物をヒアリングします。
しかし、ただ現場を観察してヒアリングしただけでは本当の課題やニーズは見えてきません。
ここで見えてくるのは顕在ニーズのみです。
観察やヒアリングを繰り返し洞察をして『潜在的ニーズ』を見つけ出す必要があります。
顕在ニーズと潜在ニーズ
ここで顕在ニーズと潜在ニーズの違いについて解説します。
・顕在ニーズ:自覚されているもの
・潜在ニーズ:無自覚のもの
顕在ニーズは自覚されているものです。
つまりヒアリングした際にすぐに出てくる困りごとです。
よくある有名な話ですが
「ドリルを買う人は何が欲しいと思いますか?」
この問いに対して顕在ニーズは『ドリル』です。
でも潜在的なニーズとしては『穴を開けたい』です。
ドリルを使ってどこかに穴を開けたいのでドリルが欲しいという顕在ニーズが生まれます。
なので、潜在的なニーズである『穴を開けたい』というニーズが満たされるのであればドリルでなくてもいいんです。
ドリルよりもより手早く、より正確に、より簡単に、より安価で穴を開けられる製品が誕生すればドリルが欲しいと言う顕在ニーズはおそらく変わってしまうでしょう。
待ち時間解消の潜在ニーズはなに?
ではここで実際の臨床現場を想定した例で考えてみましょう。
患者さん「待ち時間が長いからなんとかしてほしい」
スタッフ「患者さんの待ち時間が長いからなんとか解消したい」
このような現場からの声があればどうしますか?
もちろん待ち時間解消のために人員を増やしたり、検査や治療の合間時間を短縮したり、受付時間を拡大したり、予約枠を設定したり、1日の受け入れ数を制限したり、などなど
色々な案が出てくると思います。
ですが、非常に忙しい現場ではありとあらゆる手を尽くしてももうこれ以上の待ち時間解消は無理!
なんてケースもあるかもしれません。
そんな時こそ顕在ニーズではなく、潜在ニーズを見つけ出すことが重要です。
ここでの顕在ニーズは『待ち時間の解消』です。
しかし、もしかしたら現場のヒアリングを深掘りしていくと、
「待ち時間は長いと感じていなくて、待ち時間が退屈なんだ」
というニーズに辿り着くかもしれません。
この場合の潜在ニーズは『待ち時間の退屈解消』となる訳です。
この潜在ニーズを受けて待ち時間の退屈解消をすべく、待合室に雑誌を置いたり、無料Wi-Fiエリアを設置したり、ムービーを流したり、などなど
このような新たな対策を実施することで患者さんの不満解消や満足度向上に繋げることも出来ます。
実は上記の場面は実際に私が経験したことのある事例です。
スタッフ全員で待ち時間解消に取り組んで、ありとあらゆる対策を行ってこれ以上の待ち時間解消は無理!となったんですね。
それで改めてニーズを深掘りすると待ち時間はあまり長いと感じておらず、待ち時間に特にすることがなくて長く感じる、という現実が出てきました。
これに対して対策を行うことで満足度向上につながった事案がありました。
なので、顕在しているニーズを真に受けるだけでなく、いかに深掘りして本当のニーズである潜在ニーズを見極めるかが非常に重要となります。
ニーズの解決(ブレインストーミング)
上述した潜在ニーズを解決するためにはニーズに応じて新しい機器開発が必要だったり、既存の機器やサービスを導入したりします。
そんなニーズの解決を考えていく際(ブレインストーミング)にはいくつかのポイントがあります。
1. すぐに判断・否定しない
集団やチームで解決策を考えていく中でとにかく大事なことは『すぐに判断・否定しない』ことです。
チームにかならず一人はすぐに否定から入る人がいると思いますが、これはしてはいけません。
なぜかと言うと現状では「なにが良いかは誰にも分からないから」です。
なのでとにかくアイデアは多く、多種多様に集める必要があります。
すぐに判断・否定してはいけません。
2. 質より量を求める
上述しましたが現状ではなにが良いかはまだ誰にも分かりません。
アイデアはとにかく多く多種多様に集めましょう。
3. 突飛なアイデアを推奨する
突飛なアイデアは大歓迎です。
突飛なアイデアは創造力が飛躍します。
どんどん突飛なアイデアも出して受け入れていきましょう。
否定してはいけません。
4. 他者のアイデアに乗っかる
どんどんアイデアを広げていくことで洗練されていきます。
アイデアを組み合わせていくことで新たな景色が見えてきます。
butではなくandを意識しましょう。
5. 描いて視覚化する
下手な絵でも構いません。
描いて視覚化することでイメージの共有がより強固なものとなります。
百聞は一見にしかず、です。
まとめ
今回は『臨床現場で働く人だからこそ生かせる医療機器開発についての考え方』について概要をお話しました。
私は臨床現場で働く傍ら地元企業と共に新しい機器開発や、既存の製品やサービスを組み合わせ医療現場のニーズ解消に注力しています。
臨床現場で働く人だからこそ生かせる機器開発やサービス開発があります。
あなたの知識・経験が新たなイノベーションとなるかもしれません。
私もまだまだの身ですが、普段の臨床に『医療機器開発の視点』も持ってみてはいかがでしょうか。
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