その他

大殿筋の筋活動を筋電図の研究論文から集約!臨床治療に論文を役立てる

こんにちは、理学療法士のシータです。

今回が初投稿となります。

 

普段は回復期病棟に勤務しており、そこでの臨床疑問に関して、国内論文、英論文を読解し臨床に汎化させています。また、読解した論文をTwitterに投稿しアウトプットも行っています・・・

さて、自己紹介はこのくらいで。詳細は執筆者紹介をご覧ください。

今回、初投稿となる私がテーマに掲げる内容は 大殿筋 です!!

 

はじめに

大殿筋の筋活動は狭い様で広いテーマですね。

大殿筋って、股関節の肢位次第で筋線維の走行が変化し、筋活動や運動作用が変わってくるので、かなり難しい印象ですよね?私だけですかね?笑

皆さんは、

大殿筋に対してどの様なイメージをお持ちですか?

人体最大の筋で超大事!なイメージ!

立ち上がりの臀部離床において活動しているイメージ!

歩行時に活動しているイメージ!

手術の際に侵襲し筋出力が低下しやすいイメージ!

などなど・・・

 

どれも正解だと思います。では、実際に、本当に、

 

【筋活動が起きているのか】

 

これについて、今回はシータの論文解説を中心としながらお伝えし、それを臨床に応用する所までいきたいと思います!

 

歩行における大殿筋活動

基本動作における大殿筋上部線維と下部線維の筋活動について1)という文献があります。

今回はそちらをベースに解説していきます。

 

まずはその研究報告の簡単な「対象と方法」の説明から入りますね。

対象:健常男性4名、平均年齢24,5±1,5歳

方法:筋電図を用いて、大殿筋上部線維と大殿筋下部線維に電極を貼付し、歩行、立ち上がり、着座、昇段、降段、方向転換、片脚立位、上肢挙上動作における筋活動を計測。

 

どのような結果になったと予測されますか?

今回は歩行と立ち上がり・着座のみピックアップします💦

 

ではまず歩行動作における結果からいきましょう!

 

大殿筋下部線維

大殿筋下部線維は、

①踵接地直前から先行して活動し始め、②足底接地前に筋活動のピークを迎える。↓

一般的な大殿筋の活動のタイミングと一致している印象ですよね。

ではでは、

この 足底接地前の筋活動のピーク というのは、いったいどのくらいの筋活動なのか?

非常に重要な部分ですよね。

実は、かなり筋活動は小さいです。

 

どのくらいかと言いますと、

MMTでの腹臥位股関節位保持よりも【半分以下】の活動

なんです。

 

では、それに対して上部線維に移りましょう。

 

大殿筋上部線維

大殿筋上部線維は、

①踵接地後より活動し始め、②立脚中期付近で筋活動が最大となり、③踵離地に向けて漸減していく。との報告です。↓

 

上部線維の立脚中期の活動はなぜ最大となるか?

 

と思われる方、多いかと思います。

 

大殿筋の歩行時の活動のイメージって初期接地じゃないですか?違うのかな?笑

少なくとも私はそうなんですが、立脚中期は、

股関節内転に伴う骨盤の遊脚側への下制に対して上部線維が活動

しています。

 

歩行×臨床応用

では、今述べた報告を臨床に応用しましょう。

ここに結びつけないと、正直意味がないかもですね。例えば、

①歩行介助の際にタッピング等で促通をする時は、場所は上部線維とし、立脚中期時に活動が高いのでそのフェーズ前に刺激を入れる。やみくもに殿部に刺激を入れるのは改めるべきかもですね。

②立脚中期は中殿筋と大殿筋の両方を触診し筋活動を評価する。弱化側を強化!

③電気刺激等の促通時も、目的次第で線維を分ける。

などなど・・・。

当たり前のことしか言ってないですが(笑)、今一度意識していただければと思います。

では、次に立ち上がり、着座動作についてお伝えします。

 

立ち上がり・着座時における大殿筋活動

まずは立ち上がりから。。

大殿筋下部線維

大殿筋下部線維は、

動作開始直後より先行して活動を開始し、臀部離床にかけて筋活動は増大する。

大殿筋上部線維

大殿筋上部線維は、臀部離床後の伸展相において筋活動が最大となる。そして、終了肢位である立位まで筋活動が続く。

 

では次に着座です。

動作開始後より上部線維がわずかに増大、そして臀部着床後から座位姿勢までが下部線維が活動する。

と報告されています。あまり筋活動は高くないのです。

 

着座動作は、足関節背屈による下腿前傾を伴い重心を足部の支持基底面内に入れていく動作のため、大殿筋の筋活動が重要と言うより、足関節背屈筋や背屈可動域が重要と言えます。

 

ここで特筆すべきことをまとめると、何回も言ってますが(笑)

大殿筋は着座動作よりも立ち上がり動作において筋活動が要求される

ということですね。

起立着座×臨床応用

では、臨床に応用していきましょう。

例えば、

①【立ち上がり○ 着座動作×】の方は大殿筋ではなく、足関節背屈ROM及び筋力に対し評価~治療の立案を。

②【立ち上がり×、着座動作○】の方は大殿筋の問題が大きいかも、ですね。

さらにそこから臀部離床~重心上昇期において問題があるなら、大殿筋か大腿四頭筋に対し評価を繋げるのもいいですね。ハムストリングスも否定できませんが・・・。

 

大殿筋の運動療法

基本動作における大殿筋の筋活動についてお伝えしてきました。

今度は、上部線維や下部線維が弱化している場合はこれを強化していく必要がありますよね。

なので、股関節運動の肢位や収縮様式に着目して、運動療法に繋げられるような論文をご紹介します。

 

まずは、股関節肢位と運動の違いが大殿筋、中殿筋の筋活動に及ぼす影響2)を参考にしてお伝えしていきます。

方法:側臥位にて、股関節屈曲90度、0度、伸展15度の3条件とした。また、3条件とも股関節内外転は0度で統一した。その位置で、等尺性股関節外転運動及び最大努力下での等尺性股関節伸展運動を実施し、その時の活動を表面筋電計にて計測した。

※側臥位で、伸展と外転の等尺性収縮です!伸展は、側臥位姿勢のため重力の影響が外転より少ないため、最大努力下での収縮となっています。

 

 

はい。では結果にいきましょう!

股関節の外転運動における筋電図分析結果

大殿筋上部線維及び下部線維は、股関節伸展15度の位置から等尺性伸展運動時に活動が高値を示しました。

また、股関節屈曲90度屈曲位の位置から外転運動をした際にも高値を示しました。

 

なるほど。。。

股関節伸展運動や屈曲位での外転運動か。って感じですね。

 

ここで、内転は?と思う方もいるかと。

では、もう一つ、筋電図を用いた研究を紹介します。

股関節の内転運動における筋電図分析結果

股関節の内転運動における

大殿筋・中殿筋の作用に関する筋電図学的分析3)によると、

上部線維は股関節の伸展外転方向で111,0%、伸展単独方向で100%、外転単独方向で78,1%

下部線維は伸展外転方向で104,8%、伸展単独方向で100%

であったと報告されています。

この研究は、伸展外転を支持する報告ですね。

 

 

最後にもう一つ!(※こちらは抄録)

股関節内転運動時における大殿筋の筋活動4)では、

股関節内転運動を80%MVC(最大筋力の8割の力)で行った際の大殿筋の活動を検証しましたが、筋活動量は低く、その活動は同時収縮によるものと考察しています。

 

では、2〜4の参考資料を集約してみましょう。

1)股関節内転は大殿筋上部線維、下部線維共に活動が小さい。

2)股関節伸展外転及び屈曲外転の複合運動は、上部線維、下部線維ともに活動が高値。

3)股関節外転単独の運動は、伸展外転の複合運動より活動が低い。

 

つまりは以下のように考えられます。

▶︎筋線維別の選択的収縮は容易ではない。

▶︎伸展単独や外転単独より、伸展外転か屈曲外転方向へと誘導、抵抗する。大殿筋の筋収縮の確認を行いつつ、どちらの方向が良いか応用するのが望ましい。

 

結局、よく聞く運動方向になってしまいましたが、根拠を知っているうえでアプローチするのでは臨床現場での応用力が違ってきますよね。

 

筋電図からみた大殿筋の特徴からわかる臨床ポイントまとめ

それでは、本日の内容をまとめます。

まとめ

①歩行時の大殿筋は上部線維が重要なので、歩行介助の際は促通場所を再考しましょう。

着座の際は大殿筋はあまり活動していないので、着座可能で立ち上がりが困難な症例は大殿筋が問題な可能性ありです。

③運動療法では股関節伸展外転か屈曲外転方向をおすすめします。内転方向は活動がかなり小さく、また、伸展や外転の単独運動は、複合運動よりも活動が小さいです。

 

おわりに

いかがでしたか?

新たな気付きとなった方もいれば、知識の再確認になった方もいると思います。

是非とも、明日からの臨床に応用していだければ嬉しい限りです!

 

私シータは、今回のようにエビデンスに基づいた内容を読解し、臨床に応用できるように解説した内容を日々Twitterに投稿しています。興味ある方はぜひ。

シータのTwitterを見てみる

 

“たけ”
“たけ”
大殿筋だけに着目して臨床に生かす知識を提供してくれた面白い知識でしたね!

今回はこの点のみに着目してお話しされていますが、大殿筋の上部線維と下部線維の大きな働きの違いは、股関節の内転作用と外転作用です。

筋活動は小さいですが、歩行中の踵接地からの足部の回内外の動きにも関わっており、足圧重心の円滑な移動に関わっていると言われています。これについてもまたこのブログや足マガジンなどでも細かい話が出てくると思います。

特に僕のイチオシの足マガジンは要チェックです。CLINICIANSの足マニア達が足が苦手な方でも臨床治療が上手くいくように非常にわかりやすく解説してくれていますので、こちらも合わせてご覧いただければ幸いです。

実践!ゼロから学べる足の臨床

 

参考資料

1)伊藤 陸:基本動作における大殿筋上部線維と下部線維の筋活動について. 関西理学. 17: 33–40, 2017
2)世古俊明.股関節肢位と運動の違いが大殿筋、中殿筋の筋活動に及ぼす影響 .理学療法科学 29(6): 857–860, 2014
3)池添冬芽.大殿筋・中殿筋の作用に関する筋電図学的分析 .京都大学医療技術短期大学部紀要第17号1
4)鈴木博人.股関節内転運動時における大殿筋の筋活動. 第48回日本理学療法学術大会 抄録集

 

Writer Profile


シータ

評価から治療において、基礎的な分野を掘り下げて追求しより良い治療成績を出すことを日々考えている。研究テーマはマッサージストレッチ。

Twitter:@shiita93781732
note:ストレッチ&マッサージ&運動療法

Twitterでは臨床に繋がる論文解説(マッサージ、ストレッチ等の徒手、運動療法)、noteではエビデンスを集約し臨床で汎化出来るようにまとめています。 是非フォローを宜しくお願い致します。

ABOUT ME
たけ
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理学療法士&ピラティスインストラクターをメインに姿勢・パフォーマンス改善のプロとして活動中! 過去には世界で最も患者が多い病院、某大学病院で超急性期のリハビリテーションに貢献。その他にも認定脳卒中、呼吸療法認定士、ガンリハなどの資格を保有。 超急性期から障害予防までの多岐にわたる分野の記事を執筆中!
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