こんにちは、CLINICIANSの代表のたけ(@RihaClinicians )です!
今回はちょっと刺々しい内容ですが、ちまたでよく見る整骨院・整体が宣伝している産後の骨盤矯正という謎の治療の批判です。
僕はこうやって人の批判をすることは滅多にないのですが、産前産後の女性の治療に専門家として携わっている者として、これはちょっと謎だと思うし受ける人の害にさえなることがあると思うのであえて触れてみたいと思います。
きっかけ
実は、今回こんな記事を投稿したのにはきっかけがありました。
それがこちらの近藤さんのツイート。
ある整骨院の骨盤矯正は8,000円/回
チケット買うと5,000〜6,000円/回
のだいたい24回。らしい。12万!?
産後半年くらいで体は自然に戻っていくから、その間体に負担をかけないように丁寧に生活していけばいいと思うんだけどなぁ。
12万は私には払えない…
— 近藤カナ@産婦人科リハビリ・ワーママ (@s_size_9) August 22, 2019
普段から積極的にウィメンズヘルスについて活動・発信されておられる理学療法士さんですね。
このツイートをみて、確かに骨盤矯正でこれだけの値段を取っているところって多いよねって思ったし、よくよく考えてみると詐欺のように高けーなこれ!って本気で思います。
なぜ産後の骨盤矯正が詐欺のように高いと思うのか?
これを聞いた時にまず勘違いしてほしくないのが、整体が5000-8000円(24回チケットで12万円)が高いと言っているのではないという事です。
これについては高くありません。
むしろ、それは普通だしこれでも少し安いぐらいに思います。
論点がずれるのでこれについては深く触れませんが、体の治療をきちんとしてくれるところであれば全然当たり前の金額で、僕も自分の体を本気でケアするときはこのぐらい当たり前に支払って知り合いのところにいきます。
なにが論点かというと、
“産後の骨盤矯正”
です。
近藤さんのツイートにもその理由が書いてありましたが、僕はこのようにシェアしました。
僕も産前産後を専門で見ていますが、同じ見解です。
ケアすることは重要だし専門的知識は大事。
ただ、骨盤矯正?
キャッチーな言葉を使っているのはわかるのですが…w
半年〜一年見てからいきましょう。
個別差みて、2年で考えてもらったら良いと思います。 https://t.co/xb9BoB6vIh
— たけ 🇯🇵ピラティス&理学療法 ※毎月フォロワーさん限定で無料レッスン抽選会を開催中 (@RihaClinicians) August 23, 2019
近藤さんのツイートが既に前にあるのでこの僕のツイートと合わせて改めて補足をつけて要点のみ掲載すると、以下がその理由です。
産後半年くらいで女性の体はホルモンバランスが整い自然に戻っていくから
ただし、その間は靭帯などの結合組織を緩めるホルモンが出ていたり、出産時に変化した姿勢や筋バランスの乱れが残存していて体に容易に負担がかかりやすい状況なので、負担をかけないように丁寧に生活していけば問題は起きにくい
産後の回復は個人差を考えて二年ぐらいを目途に問題が残っていれば整体で治してもらう価値はあり
という事ですね。わかりますか?
自然に戻っていくし、生活指導や簡単なセルフケアだけでも問題を起こさず回復していく方も多いです。
だから高額投資は必要ない!と言及しているのです。
また、ここで僕は2年を目途に・・と言っていますが、これは産後の女性のマイナートラブルとして多い、遅発性腰痛の有病率の報告を参考に具体的な数値を言っています。
どういうことかと言うと、
産後の遅発性腰痛の有病率は産後1年で67%(WW to.2013)
産後2年で21%(Ostgaard.1992)
と報告がありますので、産後2年経てば8割の方が腰痛がなくなるという事が考えられます。
腰痛は産後に最も残存しやすいマイナートラブルですが、これも2年様子をみれば自然になくなる方が多いので、その後も持続して残っているのであれば何か治らない問題があるかもしれないから専門家に見てもらった方が良いですよとことを言っているのですね。
僕もこれについては専門分野なので、細かいことを言えばもっとたくさんお話ししたいですが、論点がずれてきますので興味がある方はこちらのnoteに全てまとめているので見てみてください。
産褥期の骨盤矯正はリスクが伴う
よく骨盤は動かないから骨盤矯正なんかできないという方もいますが、仙骨と腸骨の間の仙腸関節はわずかながら動くことが確認されています。
また、特に産後の女性の体は、出産のために骨盤が開くようにするリラキシンという結合組織を緩めるホルモンが出ていた後なので、仙腸関節・恥骨結合は容易に動きます。
これが逆に怖いんですね。
ただでさえ動きやすい状態の時にわざわざ動かしても痛みを誘発する可能性があり、一番バランスが取れる良い状態にあるものを動かすことでルーズ二ングを引き起こしてしまうのは非常にリスキーです。
日常生活で負担がかからないようにきちんと指導をしていれば自然に良いようになってくる可能性が高いので、骨盤矯正自体が得られるメリットよりもデメリットの方が大きいです。
僕はそのような観点から、産褥期・授乳期を過ぎてホルモンバランスが落ち着くまではここは徒手療法ではいじらないようにしています。
知らないと怖いですし無意味な治療にもなりかねません。
リラキシンホルモンは産後早期に急速に産前レベルの放出量に戻ることが報告されていますが、授乳により分泌が持続します。
体のケアは必要ないのか?
さて、ここまでは産後の骨盤矯正が必要ないと言いましたが、僕は決して体のケアが必要ないとは言っていません。
出産を迎えるに当たり変化した女性の体、出産を行うに当たりダメージを受けた体は、もちろんケアをしてあげた方が問題は起こりにくいし回復が円滑に行われます。
なので、骨盤矯正は行わないで良いにしても、日常生活指導をメインにおいて体のケアも併用した方が良いです。
もしかすると、前述の接骨院の骨盤の矯正ではなくこれをメインにやっているかもしれないのですが、キャッチーな言葉で知識のない一般の方をだますような集客の仕方をするような場所は僕はほんと嫌いですね。
そういう風に宣伝している時点でだますことに対して悪気を持っていない信頼できない接骨院か、産後の知識に乏しい治療院だと思うので要注意ですよ。
なお、どのようなケアが必要かは、以下に集約されると思いますので参考にしていみてください。産後の多くの女性のトラブルの回避はこれに集約され、自主的に色んなことを行う上でも簡単で続けやすい重要なものだと思います。
■産褥期から産後1年までにやっておくべきことまとめ
産後すぐに骨盤矯正で整体に通う話が出て否定したので対策案です⬇︎
・骨盤底筋体操
・腹横筋エクササイズ
・深呼吸
・体の負担を軽くする生活環境調整と周囲の協力
・相談できる人の確保これで十分!ダメなら助産師と繋がりある体の専門家へ
— たけ 🇯🇵ピラティス&理学療法 ※毎月フォロワーさん限定で無料レッスン抽選会を開催中 (@RihaClinicians) August 23, 2019
本日は以上で終わります。
最後までご覧いただきありがとうございました!
今回は簡単な投稿でしたが、専門家の方は産後の運動療法についてはこちらのnoteに体の変化から治療・生活指導までかなり詳しく書いてあるのでぜひ読んでみてください。
なお、本記事の作成後にタムさん(@tam_lbp)という方がこの骨盤矯正に関するさらに鋭い知見をまとめたコンテンツを執筆されていました。
内容は少し難しいですが一般の方でもわかるように噛み砕いて書かれており、専門家視点で見ても非常に論理的で面白かったので興味がある方は是非見てみてください。以下にリンクをつけておきます↓
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