皆さんこんにちはCLINICIANS理学療法士の根岸です!
今回は「臨床家が知っておくべき車椅子の基礎」について記事を書かせて頂きます。
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そもそも車椅子とは?
車椅子とは心身機能の障害などによって歩行が困難となった人に対して用いられる移動や輸送を行う為の医療福祉用具
です。
病院や施設などの現場でも目にする機会が多く、
回復期や急性期で働くセラピストにとっては馴染み深いものだと思います。
車椅子は機能や目的に合わせて様々な種類に分けられます。
対象者に適した車椅子を選ぶには、それぞれの特徴を把握しておくことが重要です。
車椅子を使用する際のチェックポイントに関しては、前回書いた「臨床家が知っておくべきシーティングの基礎」
前回の記事と一緒にご参照頂ければ幸いです。
車椅子には自走用と介助用がある
車椅子は、大きく分けると以下の二種類に分けられます。
▶︎自走用:利用者が自分でこぐことができる
▶︎介助用:利用者以外の人が操作する
兼用できるタイプもありますが、ここでは自走用と介助用それぞれの特徴についてご説明します。
自走用車いす
利用者が自分で漕いで進めるように、車輪の外側にハンドリムがついているタイプです。
介助者が押す為の手押しハンドルには、ブレーキがついているものとついていないものがあります。
後輪の大きさは約20~24インチと大きめで、効率よく自走できるよう小さな力でも動かすことが出来るのが特徴です。
後輪は介助用に比べるとサイズが大きめなため、使用場所や周囲の環境に合わせて使用を検討していく必要があります。
上肢機能や認知機能面の問題点が少なく、下肢の障害で歩行が阻害された方などが対象となります。
介助用
主に介護者が後ろから操作することを想定した車椅子です。
手押し用のハンドルにはブレーキがついていますが、自走用のようなハンドリムは付属していません。
後輪は12~18インチと小さめのものが多く、軽量なものが多いです。
自走することは出来ませんが、狭い通路を通る際や方向転換の時にも幅を取らず、折りたたみが可能なものもあり、自走用車椅子よりも小回りが利きやすいというメリットがあります。
機能からみる車椅子の種類
車椅子は、形や機能によって、以下のように分けることができます。
スタンダードタイプ
病院や施設などで多く使われている標準的な車椅子です。
シート、バックサポートは一枚布で作られており、構造的に大量生産が可能となっていることで比較的安価で購入することが出来ます。
しかしフットサポートの着脱、アームサポートの高さ調整や跳ね上げが出来ない為、対象者の状況に合わせた細かな設定を行うことが困難というデメリットがあります。
モジュールタイプ
アームサポートの調整やフットサポートの取り外しなどが可能で、スタンダードタイプと比較し対象者の状況に合わせた設定が可能です。
座面の高さ幅も調整できるものもあり、身体の大きさや姿勢に合わせやすいという利点があります。
ティルト・リクライニングタイプ
背もたれのみの角度を調整する機能を「リクライニング」、座面と背もたれが連動して倒れる機能を「ティルト」といいます。
これらの機能により座面や背もたれ部分の圧分散や、座位保持能力に合わせた肢位設定を行うことが可能となり、介助量が多い方にも適応することが出来ます。
上記以外にも、車椅子によってバックサポートの張力を変える背張り調整機能、フットサポートの高さを変更するエレベーティング機能などはあります。
対象者の姿勢評価や座位能力の評価を適切に行った上で、必要な要素を持った車椅子を選ぶよう心がけましょう。
車椅子の各パーツの名称
まとめ
今回は、臨床家が知って置くべき車椅子の基礎について書かせて頂きました。
ご紹介した機能以外にも、適切な車椅子を選定していく為には、介助者や利用環境などの情報収集が大切となります。
介助者が使いやすいようにハンドルの位置や高さが適切に設定できているかどうか、道幅や使用する場所にバリアフリー環境が整っているかどうかなど、より生活の中で安全かつ快適な時間が過ごせるよう選定をしていきましょう。
また、過度な介助とならないよう、本人が出来る動作を阻害しないことも大切です。
姿勢、移乗、移動動作など、車椅子を介して評価した内容を選定に結び付けるよう意識しましょう
参考資料
1)日本リハビリテーション工学協会(編): 車いすの選び方・使い方, 日本リハビリテーション工学協会, 2000
2)野村みどり(編): バリアフリーと車いす, バリアフリーの生活環境論, 3版, 医歯薬出版, 2004
3)木之瀬隆: 高齢者のシーティング(2)モジュラー車いすを基本とした車いすの選定・適合方法, 自立支援とリハビリテーション, 1(2): , 2003
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