こんにちは、cascade (@cascade1510 )です!
普段臨床をおこなっていて、我々療法士としては本人の基本動作能力やADL(日常生活動作)能力を高めていくにあたって、たとえば筋力や可動域や痛みなどの機能面の改善を目指すことはもちろんのことですが、そこにさらに本人をとりまく環境的なことに関する手助けを行うことにより、目標に向かって本人のADLが向上するだけでなく、本人の満足感や生きがいといった生活の質(QOL)も向上することがあります。
そういった環境因子の中でも車椅子や杖、歩行器などのいわゆる
「福祉用具の利用」
は、その選定の種類やタイミングによって大きく変わりますし、自宅での生活を続けていくための状況の中では特に大事になってきます。
今回は、そんな臨床をおこなう中でも意外と重要な福祉用具について、在宅で主に利用する介護保険制度を中心に絡めて書いていきたいと思います。
介護保険が使える福祉用具の種類
まずは、介護保険制度によって福祉用具を借りれたり購入したりして自己負担が少なく利用できること、そしてその福祉用具の種類が決まっていることはご存知でしょうか?
いきなり結論を言いますと、介護保険で利用できる福祉用具としては以下の種類となっています。
福祉用具貸与
・車いす(付属品含む)
・特殊ベッド(付属品含む)
・床ずれ防止用具
・体位変換器
・ 手すり
・スロープ
・ 歩行器
・歩行補助つえ
・ 認知症老人徘徊感知機器
・ 移動用リフト(つり具の部分を除く)
・ 自動排泄処理装置
福祉用具販売(購入品)
・腰掛便座
・ 自動排泄処理装置の交換可能部
・ 入浴補助用具(入浴用いす、 浴槽用手すり、浴槽内いす、
入浴台、浴室内すのこ、浴槽内すのこ、入浴用介助ベルト)
・ 簡易浴槽
・ 移動用リフトのつり具の部分
今回は制度を中心とした概要なので、福祉用具の項目それぞれの細かい説明についてはまた別のところでしたいと思います。
さて、図1を見てもらってもよいのですが、ここで注意しておかなければならないことは、福祉用具の品目によって「貸与(借りること」と「購入(買うこと)」に分かれる、という点です。
どの品目が貸与でどの品目が購入か、ということは知っておく必要がありますが、その見分け方は実は意外と簡単です。
それは、
「人の肌(とりわけお尻など)に直接触れて使用するかそうでないか」
の違いです。
例えば車椅子などは、通常は衣服を身に付けて使用しますが、入浴用の椅子は直接肌に触れますね。
ポータブルトイレ等についても同様の考えです。
おそらくレンタル品として使い回しなどをすると、感染などの危険性があるためではないかと考えられます。
このようにして、上記の通り指定された福祉用具を介護保険の負担割合(1割負担や2割負担など)に応じて利用できることになるわけです。
手続きについては、担当者会議をしてケアマネジャーが作成したケアプランに基づいて申請する、という流れです。
そしてこれらの福祉用具の利用は、対象者の要介護度によっても制限があります。
例えば車いすや電動ベッドなどは要介護2以上の重度の対象者が原則利用可能となっています。
この「原則」というのは、もちろん主治医の意見書等によって軽度者でも利用可能なことがあるということを意味します。
理学療法士が福祉用具貸与の業務をできるの⁇
さて、ちょっと横道にそれていきなりの問いかけですが、この問いに対して結論から言えば、じつは理学療法士でも可能なんです。
介護保険制度では、指定居宅サービスとして福祉用具貸与事業を行う場合、各事業所に2名以上の専門相談員を配置することが定められています。
この福祉用具専門相談員については以下の通りです。
福祉用具専門相談員(ふくしようぐせんもんそうだんいん)とは、福祉用具専門相談員指定講習を修了した者。
>ウィキべディアより
基本的には厚生労働大臣が指定する合計40時間行われる講習会に参加しないといけないのですが、医療系・福祉系の有資格者が福祉用具レンタル事業を行う場合は、福祉用具専門相談員を代替して申請することが可能であるともされています。
その中には理学療法士や作業療法士、看護師、保健師などが含まれています。
つまり、理学療法士であれば、上記の40時間の講習を受けなくても、すぐに業務が出来ることとなります。
この分野で理学療法士が活躍することも可能というわけですよね。
福祉用具を選ぶ際に重要なこと
さて、ここまで見てきた福祉用具ですけど、選ぶ際に最も重視しないといけない事はなんでしょう⁈
機能面の向上⁈
動作能力の向上⁈
もちろんこれらは大切であり、我々療法士としてはしっかりと評価していく必要があるところです。
しかし、それ以上に大切なのは、
「本人の目標に少しでも近づけて生活の質(QOL)が向上すること」
だと私は考えます。
あくまで福祉用具は、環境設定の一部に過ぎません。
ちなみに、この記事を書いた2019年10月19日に近所で福祉機器フェスティバルが行われていたので、足を運んでみました。
そこでは色々な最新の用具がありました。
例えばこのような横への移乗がしやすい車いすや、
移乗や立ち上がりの際の介助量が劇的に軽減するこのような用品や
あらかじめ持ち手が付いたジーンズなど、より便利な福祉用具を体験しました。
そしてこれ!
皆さんご存知かもしれませんが、ロボットスーツHALの腰だけに装着する機械がありました。
これは、対象者の自立支援を促す「リハビリモード」と、介助者の腰に装着して移乗や入浴介助を手助けする「介助モード」があり、今回はその介助モードで試して体験使用させていただきましたが、実際に腰をかがめて行う動作がラクにできるのを実感できます。
このように、福祉用具も対象者の生活が良くなるよう日々進化しています。
支援をする側としては、これらの情報をキャッチし常にアップデートしておく必要があるといえます。
今回は以上です。最後までご覧いただきありがとうございました。
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