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理学療法士なら追及していく分野の拘縮についての一考察

こんにちは、理学療法士の眞本匠です

普段はTwitterにて

【ストレッチやマッサージ、運動療法】の論文の解説や、稀に生理学を臨床応用した内容を呟いています。

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今回で投稿で2回目となります。

 

 

↓前回の初投稿では、大殿筋について論文を集約しました↓

大殿筋の筋活動を筋電図の研究論文から集約!臨床治療に論文を役立てる大殿筋の筋活動を効果的に発揮させる方法について知りたいですか?本記事では、 大殿筋の筋活動を筋電図の研究論文から集約しました。歩行や起立着座動作の大殿筋上部・下部線維の筋活動が知りたい方や運動療法・エクササイズを提供しているセラピストの方は必見です!...

 

これに関しても、何人かの方から、DMにてご質問をいただきました。

今回も、気になることがあれば、是非是非、質問をお受けします。。

 

 

 

今回の投稿ですが、物凄く、深く、難しく、答えのない様な・・・、

理学療法士なら追及していく必要のある分野の一つである拘縮について、の

お話になります。

 

シリーズ化します笑

 

はじめに

いきなりですが皆さん、臨床において、この関節の硬さは筋肉が原因だ!と感じる事は日常茶飯事ですよね?

少なくとも私は、よくよく思います。

 

ではでは、その「硬さ」=拘縮とやらを、更に紐解いてみたことはありますでしょうか?

 

 

硬いから、硬いってことは拘縮だ!

 

拘縮だから、硬いから、ストレッチや関節治療等で治す!

 

のように考えていませんか?

 

今、臨床で担当している患者さんの関節の可動域制限は、拘縮ではないかもしれません。

 

はたまた、拘縮ではあるものの、治る可能性があるかもしれません。

 

もしかすると、制限の主たる原因が拘縮であり、治る見込みが限りなく少ないかもしれません。

 

 

これらを、しっかり区別し、評価し、治療介入をすべきだと私は考えています。

 

 

私が、拘縮について考える時に、何点か推論の中に入れている考え方があります。

 

例として、

 

 

①そもそもこれ、本当に拘縮しているのか?

②拘縮した原因はどこからきているのか?

③硬くなった機序は神経性要素?循環障害?筋収縮性要素?それ以外?

④この拘縮は治る可能性が高いのか?

 

この4点は、最低限意識して臨床に臨んでいます。もちろん、推論と一致しない事もありますが。。。

この4点の知識も、私もまだまだ勉強中ですが、終わりはない分野だと思うので、しばし

お付き合いください!

 

 

これら全てを事細かに解説するには、莫大な文字数が必要になるので、

今回は、大まか~に、まずは①の、

そもそもこれ、本当に拘縮しているのか?について要点だけをまとめて説明していきます。

 

拘縮についての臨床推論の、入門編的な考え方で大丈夫です!たぶん!

 

そもそもこれ、本当に拘縮しているのか?

この意味自体、どういうことか?

 

と思われる方が多いかと思います。

 

その説明から入るために、拘縮とは何たるかを、定義から、復習がてら説明していきますね。

 

前提条件として硬さ=拘縮としてお伝えしていきます。

 

まず、拘縮というのは、

「皮膚や皮下組織、骨格筋、腱、靭帯、関節包などの関節周囲軟部組織の器質的な変化に由来したROM制限」

と言われています。

ここで、着目すべきは、筋収縮が原因となる可動域制限は拘縮の範囲外だということです。

神経性拘縮として、痙縮や筋スパズムを定義に入れる場合もありますが、近年の定義に含まれてはいません。

ということは、ですね。

 

 

目の前の患者さんの硬さが、筋収縮要素としての、痙縮や筋スパズムをまずは除外しないと、真の拘縮した分の可動域制限は浮かび上がってこないです。

※もちろん、痙縮や筋スパズムによる持続的筋収縮が、骨格筋の微小循環を滞らせ、低酸素状態となり、結局は拘縮の道につなげてしまう。ということも非常に重要です。

ですが、それについては今後のCLINICIANSの投稿かnoteでしていこうと思います。

 

 

私の説明が下手なので、訳が分からないと思いますので、簡潔に述べますと、

拘縮=関節周囲軟部組織の伸張性低下要素-筋収縮要素

 

 

と考えられるので、筋収縮要素の痙縮や筋スパズム、筋緊張を改善させることが、拘縮治療の前段階として重要!

拘縮治療の方法と、筋収縮要素の治療を同じにするのは違うと思いますので。。。

と私は言いたいのです。伝えたいのです。

 

臨床で、

この患者さんの股関節の屈曲、硬いな~。

でも、ちょっと運動したり、マッサージをしたら良くなった!

ってこと、ありませんか?

 

それ、筋収縮要素の可能性があります。

筋肉の粘性という考え方もできますが、今回は割愛します。

 

ではその、痙縮や筋スパズムといった筋収縮要素を除外するためにはどのような評価をすべきなのか?

 

と、今度は疑問ですよね?

完全に除外することは簡単ではないですし、技術力も必要になってきます。ですが、ある程度なら徒手的な介入で取り除くことができます。

ではでは、どのように取り除くのか、つまり

そもそも硬く(拘縮)なっているのか?を鑑別するためにする評価、および治療は、

拘縮と【筋スパズム、筋緊張亢進】の鑑別方法

まずは、リラクセーションをお勧めします。

簡単なのが、その理由の一つです。もちろん、関節治療で、関節反射を起こす様な方法でもいいかとは思います。

リラクセーションとは、「緊張のない状態」と定義しているものがあります。

画像は緊張させているので、特に関係はないです笑

 

運動学習の分野などでも別に定義されており、諸説ありますが、今回はこの定義で。

 

 

具体的には、

体を心地よいリズムで揺らしたり、気持ちいいと知覚される様な優しいタッチのマッサージをしてみましょう。

 

 

とにかく、筋肉そのものに強い刺激が入る様な侵害刺激以外だと、なんでも大丈夫だと考えています。

 

 

 

もし上記の介入で、

硬さが健側と同程度に改善したのであれば、

拘縮=関節周囲軟部組織の伸張性低下要素-筋収縮要素

 

上記のポイントにおける、筋収縮要素【筋スパズム・筋緊張】が硬さの原因であったということなので、真の拘縮である関節周囲軟部組織の伸張性の低下は無かった可能性が高い。と考えられますね。

 

ぶっちゃけ、健常人での実技練習で、バシッと良くなるのは、これが主体かと思います笑

 

 

違うパターンとして、リラクセーション後も可動域が不変で、制限されているのであれば、

 

筋収縮要素はなく真の拘縮要素である関節周囲軟部組織の伸張性の低下がある。と考えられますね。

 

少しイメージしてみてください。体を揺らしたり、軽く擦ったくらいのマッサージで、

・筋節の数が増えたり・・・
・筋膜の膠原繊維の高密度化が是正されたり・・・
・筋膜の膠原繊維の配列異常が改善したり・・・

こんな効果があれば、素晴らしいと思いますが、

実際、現実的な効果ではないですよね。

 

筋収縮要素としての痙縮は?

痙縮については、中枢神経症状なので、あまり細かくはここでは説明しないのですが、

皆さんご存知だとは思いますが痙縮といえば、速度依存性が特徴的ですよね。

なので、関節を動かすときにゆっくり動かして、制限がなくなれば、拘縮ではないですね。

筋収縮要素の、痙縮が可能性として大きい。ということになります。

めちゃざっくり言ってますが、これ、以外と出来ていない方多いかと思います。

 

筋の粘性も、速度が速いと高まってしまうので、区別する必要がありますが。

 

拘縮なのか?筋収縮なのか?まとめ

簡単にまとめます。そもそも本当に拘縮しているのか?を判断するための1方法として、下記をご提案します。

まずは、硬さがあった時、

①リラクセーションをする。

①―ⓐ可動域が健側と同程度に改善→拘縮はなし。筋収縮要素が硬さの主要因

①ーⓑ少し改善するが制限は残存→残存した部分は拘縮? 筋収縮要素と混在。

①ー©全く改善せず。硬さは残存→筋収縮要素は少ない。拘縮の可能性大?

あくまで仮説なので、ケースバイケースだとは思いますが。

今後のシリーズ化していく中で、さらに詳しく掘り下げていきます。

 

まずは、この方法から、臨床に臨んでいただければと思います。

 

では。

今回はここまでです!

 

みなさん、明日からの臨床では、可動域が制限されている方がいた場合、

筋収縮要素と拘縮要素を分けて、治療していきましょう!

 

次回は②拘縮した原因はどこからきているのか。について、お伝えしていきたいと思います。

ありがとうございました。今回は特に触れてはいませんが、ストレッチに興味を持たれた方がおりましたら、私のnoteも是非ご覧ください↓

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ではでは、失礼します。

 

参考文献

⑴望月久 筋機能改善の理学療法とそのメカニズム 理学療法の科学的基礎を求めて NAP Limited 2014

⑵Michael J Alter 柔軟性の科学 大修館書店 2010

⑶千住 秀明 機能障害科学入門 九州神陸文庫 2010

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眞本 匠
眞本 匠
運動器認定理学療法士。全ての治療家に向けて。投稿は、臨床に繋がる論文解説と、生理学や生物物理学等の基礎分野の臨床応用が中心です(マッサージやストレッチ等の徒手、運動療法) Twitterでは、タイムリーなこれらの情報、noteでは集約して臨床で汎化出来る様にまとめた内容を配信中しているのでぜひこちらもチェックを!ご依頼はtwitterのDMよりお待ちしております^ ^
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