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リハビリテーションのための多職種連携:ケアマネージャーの仕事について

こんにちは、cascade (@cascade1510 です!

前回の記事では、「患者さんや利用者さんに向き合って関わる時間がとても大切だけど、関わっていない時間にいかに働きかけるか、ということも大事」ということを書きました。

そしてその人に関わっている人たち、特に他の専門職との関わり合い、すなわち「多職種連携」が必須だということも書いています。

今さら聞けない⁈多職種連携の重要性:具体例を元にわかりやすく解説 身体的なアプローチだけではなく他職種でアプローチすることの重要性 セラピストのみなさんは、患者さんや利用者さんのことを考えながら日々臨...

この多職種連携をするためにはまず相手の専門職を知らなくてはいけません。

そこで今回から、他の職種について詳しく解説していみたいと思います!

まず今回は、介護保険で重要となってくるケアマネジャーです。

ケアマネジャーとは

一般的に「ケアマネジャー」もしくは「ケアマネ(CM)」と呼ばれているものは正式には「介護支援専門員」と言います。

介護支援専門員は、介護保険制度においてケアマネジメントを実施する有資格者のこと。要支援・要介護認定者およびその家族からの相談を受け、介護サービスの給付計画を作成し、自治体や他の介護サービス事業者との連絡、調整等を行う。介護保険法に基づく名称は介護支援専門員であるが、ケアマネジャーとも呼称される。

引用元:ウィキペディア

噛み砕いて高校生でも理解できるように説明すると…

ケアマネジャー、別名は「介護支援専門員」です。

介護保険制度のプロとして高齢者やその家族が安全に安心して暮らせるようサポートする取りまとめ役となる資格です。

まず介護が必要そうな方々一人ひとりの状態を把握します。

そしてどうすれば本人や家族の希望にかなったより良い状態にできるかを考え、介護保険で利用できるもの(例えば介護士による介護や、車イスなどの福祉用具や、老人ホームなどの介護施設やリハビリテーションなど)や近所の繋がりなどを利用するよう助けます。

※ここで老人ホームなどの介護施設と言っても、その種類は色々あります。

介護施設

・日帰りで泊まらない施設(デイサービスやデイケアなど)

・ずっとではないが何泊か泊まれる施設(ショートステイなど)

・ずっと住める施設(特別養護老人ホームなど)

また、その内容も様々です。

利用内容

・介護を中心にしてくれる

・運動などリハビリができる

・レクリエーションなど楽しめる

・点滴や傷の処置など医療ができる

などなど、様々な特色があります。

また、施設の利用料金について、介護保険の保険が効いて全額の1割や2割の負担で済む安い施設や、介護保険が使えず全額負担しないといけない施設もあります。

そして介護士やホームヘルパーによる介護についても様々です。

介護の内容

・施設内で介護するもの

・その人の自宅で介護するもの

などあり、その内容も

・食事の準備を手伝う

・車イスに乗り移るのを手伝う

・お風呂に入るのを手伝う

・オムツを替えるのを手伝う

などなど・・



これらの介護の内容については、ここまでは介護保険が使えるけどこれは使えない、というように細かい規定があります。

例えば「庭の草むしりをする」などは基本的に介護保険は使えません。

福祉用具についても、介護保険が利用できる福祉用具は決められています。

「福祉用具」というのは、普段の生活で動作の手助けをしてくれる器具や、介護がやりやすくなるような便利グッズのことです。

この福祉用具を「レンタル品(貸与)」として利用できるのは以下の通りです。

レンタルできるもの

・車いす

・歩行器(押しぐるまみたいなもの)

・電動ベッド

などの13品目です。

また「購入品」として利用できるのは以下の通りです。

購入品

・ポータブルトイレ(持ち運べる便器)

・お風呂の椅子

などの直接肌に触れて使用するような物品5品目があります。

上に書いたような介護保険が使えるサービスの中から本人に合ったものを選んで利用できるように他の職種の人とも連携をとりながら調整していきます。

ケアマネジャーになるには?

ケアマネジャーになるためには、ケアマネジャーの試験を受けて合格することはもちろんのこと、

「ある特定の仕事の業務を始めてから5年以上という年月が過ぎていないとなることができない」

という条件があります。

2018年以降からの受験資格に一部変更がありますのでここでは最新の受験資格についてご紹介します。

ある特定の業務とは

1.まずは医療福祉分野での国家資格である以下の資格を使った業務

医師,歯科医師,薬剤師,保健師,助産師,看護師,准看護師,理学療法士,作業療法士,社会福祉士,介護福祉士,視能訓練士,義肢装具士,歯科衛生士,言語聴覚士,あん摩マッサージ指圧師,はり師,きゅう師,柔道整復師,栄養士,管理栄養士,精神保健福祉士

2.次に、国家資格ではないけれど、医療介護福祉の業界で仕事をされている以下の業務

生活相談員、支援相談員、相談支援専門員、主任相談支援員

これらを実務経験と言いますが、この実務経験を5年以上経験していることが条件です。
(※2017年までは介護士やホームヘルパーなどの実務経験も認められていましたが、現在は認められていません。)

さて、これらの実務経験を有した人がなれるということですが、実はここに注意する必要があります。

ケアマネジャーさんになっている人は、介護保険制度には詳しいことはもちろんですが、それ以外の分野に詳しいかどうかは、元の実務経験の種類によってその人その人で違う!ということです。

ケアマネジャーの仕事の流れ

ここでは、大まかにケアマネジャーの仕事の主な流れを見てみましょう。

ある対象者に対しては、図に示したような流れになります。

(主に要介護状態の人に対して)

▶相談に来た人から事情を聞きます(インテーク)。

▶自分が受け持ったその対象者について、体の状態や家族の状態、生活状況等を評価します(アセスメント)。

▶主に介護保険の制度を利用した計画(ケアプラン)を作ります。

▶ケアプランの内容に沿って必要な専門職や事業所の担当の人たちを集めて会議をします(サービス担当者会議)。

▶サービスが始まると、そのサービスが適切に行われているか把握して評価します
(モニタリング)。

そしてこれらのサイクルを定期的に回すことで、常に最適な計画に更新し続けていきます

また、それもこれも全て、介護を必要とする人が、自分らしい生き方をおくって生活の質(QOL)を高めることができるように支援を行い続けます

リハビリテーションにおけるケアマネジャーとの連携について

このように、介護保険では中心的な役割を担っているケアマネジャーですが、我々リハビリテーション専門職としてどのように関わっていくべきでしょうか!?

おそらく、ケアマネジャーの方から相談があったり、依頼があったりすることも多いので、それに応じて協力しながら進めていくことはもちろんです。

ただ、そのようにケアマネジャーからのアクションを待っているだけではいけません!

場合によっては、気になったことや、逆に相談したいことなど、こちら側からアプローチを行なっていくことも大事です。

上にも書きましたが、ケアマネジャーさんは、介護保険制度には詳しいことはもちろんですが、それ以外の分野に詳しいかどうかは、元の実務経験の種類によってその人その人で違います。

特に、介護・福祉領域を専門としていたケアマネさんも多く、医療の専門用語や治療内容やリハビリテーション内容などについては詳しくないことも多いです。

なので、リハビリテーションの専門的立場からみて助言すべきことがあれば積極的に話し合ったりして情報交換をしながら連携します。

そして、連携していくためには、相手の理解できる言葉を使い、さらに相手の専門である介護保険制度の利用については教えてもらう、という姿勢で接していくのが良いと思われます。

今回はケアマネジャーということで、介護保険領域で仕事されている方には馴染み深いですが、病院などの医療施設で働かれているセラピストにも無関係ではないはずです。

ぜひ、参考にしてもらって業務に活かせてもらえたら幸いです。

最後までお読みいただきただきありがとうございます!

参考文献

・能本守康. 介護支援専門員. リハ研究, 169, 22-25, 2016.
・田中康之, 清水順市. 地域包括ケアにおけるPT・OTの役割, 文光堂, 2016.
・黒沼伸宏. 新人ケアマネの仕事がわかる本. 日本実業出版社, 2016.


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