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リハビリや看護に役立つ骨髄抑制(血球減少)とリスク~好中球・血小板・ヘモグロビン減少の注意点~

こんにちは、CLINICIANSの代表のたけ(@RihaClinicians です!

本日は、がんの化学療法中によく見られる骨髄抑制(血球減少)とリスクについてです。
今回の情報はがんリハ研修会の時に習った内容(好中球・血小板・ヘモグロビン減少の具体的な数値と注意)をメモとして残しておくために掲載しました!

 

色んな疾患を担当しているので、数値とその意味はよく忘れますので・・w

臨床上の注意点も加えて掲載しておりますのでご参考までに。

 

 

好中球数と重症感染症発生率

好中球は白血球の一つであり、生体内に侵入してきた細菌を貪食することで殺菌を行うことで、感染を防ぐ役割を担っています。

よって、好中球が減少すると感染しやすくなります。

好中球数と重症感染症の発症率は以下の通りです。

 

好中球は500未満になると感染症の発症率が急激に上昇するため、500未満を目安に感染症対策を行なっている施設が多いです。

このような患者さんと関わる機会がある方は、マスク着用や手洗いうがいなどの標準予防策をしっかり行いましょう。

 

血小板数と出血リスク

血小板は組織が損傷した際に止血する機能を担っています。低下に伴い重篤な出血のリスクが上昇していきます。

【10万以下】通常は無症状(止血に時間がかかる)
【  5万以下】出血傾向が出現。粘膜出血(歯肉出血、鼻出血)、皮下出血(点状出血、斑状出血)
【  2万以下】重篤な出血リスクが上昇。臓器出血の可能性、消化管出血、血尿、喀痰、眼底出血、関節内出血
【  1万以下】重篤な出血リスクが大。頭蓋内出血、重症消化管出血、気道内出血

2万以上では重篤な出血が起こる確率は低いとされていますが、易出血傾向となるためデリケートな注意が必要です。次に後述します。

 

血小板数による運動療法の選択

上述した通り、血小板数が減少すると出血リスクが高まりますので、運動療法も以下のように調整することが推奨されています。

【15-45万】制限なく普通の活動
【  5-15万】漸増抵抗運動、水泳、自転車
【    3-5万】中等度活動運動、ROM、低負荷での筋力増強(約0.5-1kg、重たくない抵抗、等速性)、歩行、水中運動、エルゴメータ
【    2-3万】セルフケア、低負荷(自動・他動)、基本動作
【    <2万】主治医の許可の下、歩行とセルフケア(耐久性やバランスの安全を保つために必要であれば介助下)、最小限の注意深い運動・活動、必要最低限のADLのみ

 

血小板数のボーダーラインは3万を切ったところです。

2−3万のレベルに突入すると、出血しやすい状態なので体に負荷をかけないようにしないといけません。

特に、リハビリテーション時や日常生活時には転倒による頭部打撲・頭蓋内出血の発生、ベッドサイド周囲の環境での打撲や関節可動域時の内出血、過度の血圧上昇による全身の出血などのリスクが伴います。

このように簡単な動きの際にも出血が起こる機会があるため、十分に注意しましょう。

 

ヘモグロビン量と貧血症状

ヘモグロビンは肺から取り込んだ酸素を全身に送る役割を果たしています。

低下すると全身の組織の酸欠症状が起きます。

【10g/dl以上】明らかな症状はがみられないことも多い
【   <9g/dl】皮膚、口唇、眼瞼結膜が蒼白
【     <8g/dl】組織への酸素運搬能力低下→心拍数・呼吸数の増加、動機、息切れ
【     <7g/dl】脳・末梢細胞への酸素供給低下→耳鳴り、めまい、倦怠感、思考力低下、頭痛
【     <6g/dl】全身の酸素欠乏が顕著→食欲低下、悪心、口内炎

 

ヘモグロビン低下時には貧血の進行スピードの確認運動負荷量の軽減を行いましょう。

また、慢性的に貧血になっている患者さんでは、低酸素状態に慣れており自覚症状が乏しい場合がありますので、適宜心拍数などの身体所見の確認を行いましょう。

臨床的にはヘモグロビン6g/dlを下回っている場合に歩行を行うと急に力が抜けて転倒したりされることが多くなる(歩行に伴う全身筋肉の酸素消費に供給が追いつかなくなり力が抜けやすくなる)のでご注意ください。

 

骨髄抑制(血球減少)への対応

上記の数値はあくまで目安です。

同じ血球数でも患者ごとに反応は異なり、他の要因によってリスクも異なってきます。

年齢、その他合併症、心肺機能、治療内容、どれぐらいの期間その値が持続しているのかなども考慮し、患者さんの生活をどのように支援するのかを他職種で考えましょう。

 

参考資料

 

本日は以上で終わります。

最後までご覧いただきありがとうございました!

なお、がんの患者さんを担当される方は以下の記事も合わせてお読みいただければ幸いです。

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