整形外科

腰痛治療に役立つイエローフラッグフォーム:慢性化リスク要因の評価

こんにちは、CLINICIANSの代表のたけ(@RihaClinicians です!

本日は腰痛患者さんを見る際に役立つイエローフラッグフォームについて簡単にご紹介します。

慢性化リスクとなる心理社会的要因の問題を見つけてイエローフラッグを評価できるナイスなスケールなので要チェックですよ♪

 

腰痛治療の際に重要なこと

まず、腰痛患者さんの理学療法を行う上で重要なのがレッドフラッグの除外です。

レッドフラッグについては以前に青木さんがまとめてくれているので、よくわからない方はまずはこちらをご覧ください。

腰痛治療に不可欠なレッドフラッグとは?該当する病態まとめ腰痛のレッドフラッグについて知りたいですか?本記事では、腰痛治療に不可欠なレッドフラッグに該当する病態をまとめて解説しています。安全な腰痛治療を行いたい方は必見です!...

 

レッドフラッグについての詳細は上記に譲りますが、これに該当する患者さんは早急に医学的な治療が必要で、理学療法をやっても良くならない、やれば悪くなる患者ですので、治療を行わないように最初にしっかりとスクリーニングしましょう。

病院勤務の理学療法士であれば医師の指示がある下でのみ理学療法を行なっているので問題ないと思います。

開業してご自身で運動療法の実施可否を判断している方などはご注意していください。

 

 

また、レッドフラッグを除外できたら、次は疼痛が慢性化するリスク要因になるイエローフラッグに該当しないかどうかを見つけておくことが非常に重要です。

何故なら、その要因を解決していかなければ痛みが慢性化してしまうのですから。

急性腰痛の大半は約8週間以内に症状が消失するため、これ以内の期間は積極的な運動療法が必要というよりは、過度に腰部に負担をかけないような動作・生活指導が重要。

慢性腰痛とは3ヶ月以上持続する腰痛のこと。

 

イエローフラッグを発見するイエローフラッグフォームとは

イエローフラッグフォームについてはツイッターでも簡単に取り上げていましたね。

 

上記にあると通り、12週間を超えて痛みが続く腰痛患者さんは、心理社会的な要因が関与している可能性があり、これが慢性化のリスクを招く要因であるイエローフラッグです。

このような患者さんの腰痛を治療する場合は、通常の理学療法だけではなく心理行動学的なアプローチも行い包括的に治療を行なっていかなければよくなりません。

よって、これを早期に発見して程度を把握しておくことが重要と言えます。

 

そこで役立つのがイエローフラッグフォームというスクリーニングテストです。

このテストは、13項目の痛みに関する質問を1〜10の10段階の痛みの程度で患者さんご自身に評価してもらう質問用紙テストです。

痛みの質や程度、敏感さ、不安の影響度などが明確になり、かつ点数化されるので治療前後で測定すれば治療の効果判定にも使えます。

 

イエローフラッグフォームの質問内容

以下の13項目の質問に1〜10段階で答えて(書いて)もらう。

 

1.過去1週間の痛みの通常レベルを示してください(1痛みなし〜10最悪の痛み)

2.痛み、しびれ、チクチクする感じ、または脱力が腰から脚または、頸から腕に広がりますか(1:まったくない〜10:いつもある)

3.全身健康状態に点をつけると何点ですか(1:悪い〜10:非常に良い)

4.これからもずっと現在の状態で過ごさなければならないとしたらどう思いますか(1:嬉しい〜10:悲惨)

5.過去1週間どれくらい不安を感じていましたか(例えば緊張、神経質、怒りっぽい、怖い、集中やリラックスが難しい)(1:全くない〜10:非常に不安)

6.過去1週間、自分で痛みや不安の種をどれくらい(軽減・治す)ことができましたか(1:コントロールできる〜10:全くコントロールできない)

7.過去1週間、どれくらい憂鬱な気分でいたか示して下さい(例えば落ち込んだ、悲しい、落胆した、意気消沈した、悲観的な、絶望した)(1:まったく憂鬱でない〜10:非常に憂鬱)

8.10点満点で言うと、6ヶ月後あなたは通常な活動または仕事をしているとどれくらい確信していますか(1:非常に確信している〜10:まったく確信していない)

9.軽い仕事を1時間できる(1:まったくそう思う〜10:まったくそう思わない)

10.夜よく眠れる(1:よく眠れる〜10:まったく眠れない)

11.痛みが増すと言うことは行なっていることを痛みが軽減するまで中断すべきだ(1:まったくそう思わない〜10:まったくそう思う)

12.身体を動かす活動は痛みを悪化させる(1:まったくそう思わない〜10:まったくそう思う)

13.現在の痛みでは仕事を含めて通常の活動をすべきではない(1:まったくそう思わない〜10:まったくそう思う)

 

評価とリスクレベル

最低13点〜最高130点、点数が高いほど心理社会的要因が関与しており慢性障害リスクは高い

55点未満:慢性障害リスクは低い
55-65点:慢性障害リスクは中等度
65点以上:慢性障害リスクは高い

 

 

本日は以上で終わります。

最後までお読みいただきありがとうございました!

 

参考資料

世界の腰痛ガイドライン
・Craig L 他,菊池臣一:脊柱のリハビリテーション 臨床マニュアル上巻.エンタプライズ,2008

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たけ
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理学療法士&ピラティスインストラクターとして姿勢・パフォーマンス改善の専門家として活動中!発信情報や経歴の詳細は以下のリンクよりご覧いただけます。
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