整形外科

世界の理学療法分野におけるエコー活用方法の4分類(前編)

こんにちは、たかぽん(@Takapon_PT_PhD)です。

前回の記事では、世界の理学療法分野における超音波画像の歴史と現状についての概要を述べさせて頂きました。

エコーってそもそもリハで有用なの? 世界の理学療法分野における超音波画像の現状セラピストがあらゆる場面でエコーを用いる有用性はあるのか?私はとうは思いません。しかしケースによっては明らかに有用であるというエビデンスも、海外からは報告されています。リハ領域における超音波画像の日本と海外の違いに迫っていきましょう。...

 

 

現状、海外の理学療法領域においては、超音波画像活用については

4つのカテゴリーが存在しているといった内容でした。

 

そしてそのカテゴリーとは、以下4つでした。

 

“Rehabilitative Ultrasound Imaging” (=リハビリ用超音波画像、通称RUSI)

Diagnostic US imaging” (=診断用超音波画像)

Interventional US imaging” (= 介入用超音波画像)

Research US imaging” (=研究用超音波画像)

 

今回は、これらのうち上記2つについて具体的にどういった用途なのかを、

簡潔にご紹介させて頂きたいと思います。

 

リハビリテーション用超音波画像

まずは、「リハビリテーション用超音波画像」とカテゴライズされる

使い方について述べていきます。

 

このカテゴリーに含まれる手法は、

①筋の形態測定(長さ、厚み、直径、横断面積、体積、線維束長、羽状角)

②経時的な(加齢などによる)筋の形態の変化

③筋形態の個々の違いあるいは各条件(筋収縮、損傷、手術など)による変化

④筋収縮による周辺構造体への影響(筋膜・神経・膀胱などの動き/変形など)

⑤筋組成の評価

⑥視覚的バイオフィードバックの提供

⑦体幹筋量/収縮動態からの障害リスク予測

⑧尿失禁の予測等

などが挙げられます。

 

関連学会に参加すると、これらに関する様々な観点からの研究報告は

毎回散見されますね。

 

エコーを使ったことのある方であれば、いずれかの手法を意識せずとも、

使っていることもあるかと思います。

 

診断用超音波画像

こちらの用途は、本邦では理学療法士による診断という行為は認められておりませんので、

あくまで海外のセラピストによる用途の1つのご紹介、ということになります。

 

海外ではセラピストが診断を行う国もあるため、

各種臨床所見・理学所見に加え、エコー画像で診断をくだすセラピストもいます。

 

関節表層や筋組織、腱や靭帯、さらには滑液包、血管、神経(、一部では内臓器官)を

観察することで、その損傷の程度や疾患を推察します。

 

エコーを用いた理学療法では、

運動器疾患をターゲットとしやすいということがあります。

 

具体例としては腱の異常の同定(腱炎などは視覚化でき、非常に有用)、

腱障害の判断(腱実質か、付着部症かで治療戦略も変わってきます)を観察します。

 

更には

・レントゲン画像を使わずに肩峰骨頭間距離を観察する

・末梢神経の絞扼の有無や程度を見る

・靭帯損傷後ではその治癒過程を観察・評価する

といったことも可能です。

 

診断目的でありながらも、それら疾患の病態・回復過程も

観察することができるのです。

 

繰り返しになりますが、本邦ではセラピストは診断は行いません。

 

しかしながら近年の質の高い海外の研究報告を日々眺めていますと、

上記の疾患などのように、診断名は同じでも、その病態や重症度・回復過程の

時期等により、適切な運動療法負荷・処方は変わってくることが

明らかとなってきています。

 

今後は、これら疾患別のエビデンスに基づいた理学療法に関する情報・記事も

配信していく予定です。

 

次回の記事では、残り2つのカテゴリーが具体的にどのような内容なのかを説明し、

適宜エビデンスも交えつつ、どのような可能性があるのかを、

エコー推奨という立場ではなく、中立的な視点で皆さまにシェアしていきたいと思います!

 

 

 

参考文献

JL Whittaker, et al., Imaging with ultrasound in physical therapy: What is the PT’s scope of practice? A competency-based educational model and training recommendations. Br J Sport Med, 2019

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たかぽん
たかぽん
医学博士 / 理学療法士 / ポートフォリオリサーチャー / エビデンスキュレーター 整形外科×理学療法に関連したエビデンスを、私見も交えつつシェアしていきたいと思います。 勢いのある若手〜学術活動にも勤しむ中堅のセラピスト(主にPT)向けのコンテンツを配信していきます。
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