整形外科

エコーってそもそもリハで有用なの? 世界の理学療法分野における超音波画像の現状

CLINICIANS読者の皆さま、初めまして。

エコーを活用した研究を行っているたかぽん(@Takapon_PT_PhD)です。

CLINICIANS初投稿になりますので、簡単にではありますが

自己紹介を行っておきたいと思います。

 

○理学療法士・医学博士
○総合病院勤務10年
○大学教員1年
○エコー歴7年
○整形外科関連学会 多数所属

 

大学院では整形外科の先生方と同じ環境で学ばせて頂き、

スポーツ医学を中心に臨床研究社会貢献活動を4年間行っておりました。

 

ライフワークとして整形外科疾患(特に膝関節疾患)の

リハビリテーションのエビデンスの構築を行っていきたいと

考えております。

 

いつでもエコーを使ったほうがいいの?

皆さまはこれまで、さまざまな運動器疾患・徒手療法などの講習会に

参加されたことがある方も少なくないのではないかと思います。

 

一部の講習会では、

エコー(超音波画像診断装置、最近は性能の向上、販売価格の低下が非常に進んできています)の画像所見を示しながら、

講義・実技が進められていくのもあったかと思います。

 

わたし自身もはじめは(エコー画像が)ただの白黒画像にしか

みえませんでしたが、最近になってようやく画像が何を示しているのか、

得意な関節から少しずつ見えるようになっています。

 

エコーを用いると組織の状態が視覚的にわかる(目で見て、組織が傷んでいそうか、

あるいは炎症がありそうかなどが推察できる)ため、

その有用性はかなり強調されている場面が散見されます。

 

しかしながら、

本当にエコーを用いることの有用性・メリットはあるのでしょうか?

 

わたし自身がエコーのセミナーや研究を行っていながらいうのもなんですが、

あらゆる臨床場面で、エコーを使用することは、

強くは推奨できないです。

 

エコーを用いるにはそもそも機器を立ち上げたり運んだりする時間が必要

ですし、

使って画像所見を眺めて自己満足に浸っているような時間があったら、

その時間を適切な治療に割いたほうが患者さまにはメリットが大きいことも

あります。

 

そこで私のシリーズ記事では、リハビリテーション領域において、

エコーがどのような場面で有用なのかを、エビデンスを交えて

説明していきたいと思います。

 

理学療法領域における超音波画像の歴史

皆さまもどこかの講習会等でお聞きになったこともあるかもしれませんが、

本邦では理学療法士がエコー画像を用いる目的として主に、

『超音波画像を用いた組織の評価』が挙げられます。

 

しかし、海外ではどのような場面で活用されているのでしょうか?

 

ここ数年、わたしはそのような情報を多く仕入れているのですが、

日本と海外諸国の理学療法士の間では、エコーの活用方法に大きなギャップがありました。

 

まずは、海外の理学療法領域における超音波画像の歴史について

簡単に述べたいと思います。

 

超音波画像は、もともとは医師らが病態の『診断』を行うため

用いられてきました。

 

それが様々な身体器官にも応用され、

近年では筋骨格系の診断目的での超音波画像応用がなされ、

リハビリテーション領域にも導入されていたた経緯があります。(図1参照)

(JL Whittaker, et al., Br J Sport Med, 2019を一部改変して引用)

 

そして理学療法士による初めてのエコー画像の報告は、1980年に遡ります。

 

さらに基礎的なデータの研究が蓄積され、

2000年代にはリハビリテーション領域の超音波画像を指し示す用語として

“RUSI” (=Rehabilitative Ultrasound Imagingの略語)が

使われるようになってきました。

 

2006年の国際シンポジウム開催までは、

リハビリテーション領域におけるエコー画像の用途は、『筋厚』(字の通り、筋の厚み)、

『羽状角』といった形態学的な指標の計測や、

体幹深部筋(腹横筋など)の『バイオフィードバック』を目的としたものが

大多数でした。

 

それ以降のここ10年では、海外のセラピストの間では、

RUSIの他に3つのカテゴリーが確立してきました。

 

聞き慣れない方も多いかもしれませんが、以下の3つになります。

 

Diagnostic US imaging” (=診断用超音波画像)

Interventional US imaging” (= 介入用超音波画像)

Research US imaging” (=研究用超音波画像)

 

これらの用語が浸透していないだけで、

本邦でも一部はすでに先駆的なセラピスト達が行ってはいますね。

 

次回の記事では、それぞれのカテゴリーが具体的にどのような内容なのかを説明し、

適宜エビデンスも交えつつ、エコーの活用がどのような場面で有用なのかを

皆さまにシェアしていきたいと思います!

 

参考文献

JL Whittaker, et al., Imaging with ultrasound in physical therapy: What is the PT’s scope of practice? A competency-based educational model and training recommendations. Br J Sport Med, 2019

 

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