整形外科

末梢神経障害の基礎

こんにちは!理学療法士のこじろう(@reha_spine)です!!

CLINICIANSの中で主に腰痛や脊椎に関する内容をアップしております。

前回は「腰椎疾患における下垂足の予後」という記事を投稿しました。

腰椎疾患における下垂足の予後今回は「下垂足」について基本的な内容をまとめています。ヘルニアや狭窄症などによって下垂足を呈した患者の予後やリハビリ時の注意点について十分に理解できていますか?腰椎疾患を担当されている方には特に読んで頂きたい内容となっています。...

そして前回の記事に関連して今回は、末梢神経障害に関する基本的な内容をまとめましたので腰椎疾患由来に限らず、他の末梢神経障害の方を臨床で担当される方にはぜひ読んで頂きたい内容となっております!

末梢神経とは?

脊髄から神経が分岐し、脊髄硬膜外に出た部位から終末的器官に達するまでを総称したものを末梢神経といいます。

末梢神経は①運動神経②感覚神経③自律神経により構成されます。

また、末梢神経は伝導速度によりA(α、β、γ、δ)、B群、C群に分類されます。

①運動神経

運動神経が損傷されると支配筋の筋力低下や筋委縮を生じます。

②感覚神経

後根神経節に細胞体を有し、自由週末や感覚受容器からの情報を中枢へ伝達します。

③自律神経

細胞体を脊髄側角(節前線維)と傍脊椎神経節(節後線維)に有し、血管や内臓を支配し、体内環境を整えています。

 

末梢神経の構造

末梢神経は神経細胞から発した軸索とそれを取り巻く神経内膜、神経周膜、神経上膜および多くの保護組織からなります。

1本の軸索は神経内膜に囲まれており、神経周膜は複数の軸索を含んで神経束を形成し、神経上膜には複数の神経束が含まれます。

 

神経束のイメージは下の図で示しています。

末梢神経の障害の原因分類

原因をおおまかに分けると以下のように分類されます。

①物理的原因によるもの

外傷、圧迫、火傷など。
神経軸索は外力に弱く、20%以上急激に伸張されると断裂するため、切創だけでなく挫滅や圧迫によっても神経を損傷します。

②中毒によるもの

化学物質、薬物など

③炎症によるもの

感染症(マイコプラズマ、ギランバレー症候群など)

④膠原病に伴うもの

関節リウマチ、結節性多発動脈炎、SLEなど

⑤代謝異常によるもの

糖尿病、尿毒症、ビタミン欠乏など

 

私は整形外科病院に勤めているため、①の物理的原因によるものが圧倒的に多いですが、皆さんが臨床上でよく遭遇するものとしては①~⑤のどれに当てはまるでしょうか?

末梢神経障害の症状

臨床症候としては①運動障害②知覚障害③自律神経障害およびその組み合わせとなります。

機能障害としては、以下のようになります。

1)筋力低下
2)表在および深部感覚障害
3)異常感覚
4)歩容異常
5)関節可動域制限

また、二次的な障害として廃用症候群になります。ここに関してはリハビリにて何とか予防したいところです!

末梢神経の再生

再生速度は1日1-3mmと考えられています。

再生速度は年齢や損傷レベル(末梢ほど遅い)、神経欠損の長さ、神経線維の種類、受傷から手術までの期間、全身状態などの影響を受けます。

切断端部より遠位の軸索や髄鞘は、シュワン細胞やマクロファージの食作用によって変性、除去されます。これを「ワーラー変性」と呼びます。ワーラー変性の初期にはシュワン細胞が、後期にはマクロファージが主に関与します。損傷した末梢神経ではシュワン細胞がマクロファージの浸潤に従って増殖し、神経内膜に沿って軸索再生の足場を形成し、軸索を神経効果器へと誘導していきます。シュワン細胞は末梢神経再生には主要な細胞になります。

 

末梢神経障害の主な治療法

主な治療法としては以下のものが挙げられます。

1)機能訓練
2)物理療法
3)補助具・装具療法
4)薬物療法
5)手術

 

末梢神経障害の機能訓練

主な機能訓練としては以下のものが挙げられます。

1)関節可動域訓練
2)感覚訓練-知覚再教育、異常知覚への適応訓練
3)筋力増強訓練-漸増抵抗運動(De Lorme法)
-漸減抵抗運動(Oxford法)
4)筋再教育-EMGフィードバック法、視覚、聴覚フィードバック
-kenny法
5)巧緻動作訓練

 

まだまだ足りない部分も多いですが、以上が末梢神経障害に対する基礎的な内容となります。

次回は末梢神経障害の分類や筋力強化時の注意点についてまとめていきたいと考えています^^

では最後までご覧頂きありがとうございました!!

 

参考文献

・柿木良介:外傷性末梢神経障害の治療とそのリハビリテーション治療の実際-腕神経叢損傷-.Jpn J Rehabil Med 2018.55.939-942

・木村浩彰:末梢神経損傷の病態と整形外科的治療.理学療法25巻.1号.2008.319-326

・鳥巣岳彦:標準整形外科学 第9版

 

 

 

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