整形外科

運動器エコーって何が良いの?初心者が知るべきメリット・デメリット

運動器エコーって

みなさんはじめまして。
志水です(@echohuku

CLINICIANSでは初投稿になりますので、簡単に自己紹介をさせていただきます。

shimizu picture

○理学療法士・鍼灸師
○整形外科クリニック勤務7年目
○エコー歴5年
○エコー撮影件数年間200件以上
○エコー指導人数50人以上

エコーを使い始めて5年が経ち、
最近は、「運動器リハにエコーは必須」を文言にSNSを中心にして、たまにセミナー活動なんかをしています。

『もう少しお前の詳細が知りたい❗』という珍しい方はこちらをご参照ください😄

 

では、ここからは「エコーは何が良いのか?」といった本題に入っていこうと思います❗

 

最近、Twitterでエコーの情報発信を積極的にしているせいか、

エコーって何がそんなに良いの?

と頻繁に聞かれます。

これは、別に僕の発信が影響では無いと思います。

というのも

・運動器の学会で医師がエコーを使っての発表が増えている

・療法士の学会発表でもエコーを使った研究も多い

・運動器リハのスペシャリストたちがエコーを使ってセミナーをしたり、書籍を出版している

 

といったことの影響が大きいと思います。
そこにきて、僕みたいにエコーのことをやたらと発信している人間がいるから

「Twitterでなんか言っているやつがいるから丁度いい、聞いてみよう」的な感じで、
感心を示す人が多くなっていると感じています。

 

ただ、そういった方とやりとりをしていて思うのは

『エコーをリハで使う・コメディカルがエコーを使える』
といったことは認知はされているようですが、実際にエコーに触れている人はまだまだ少ない。といった印象です。

まぁ、誰も教えてくれないのでそのように感じる気持ちはよくわかります。

僕も以前はそうだったので。

 

そういったこともあり、先日このようなツイートをしました。

メリット・デメリットツイート メリット・デメリットスライド

ということで僕の結論はこのような感じです。

僕としては『メリットのパワーが強い』という感じに思いますが(なんか変な日本語ですがきにしないでください)、別に押し売りをしたいわけではありません。

この記事ではちゃんとメリット・デメリットについて一つずつの項目を深堀りしていきます。

 

ただ、もう一度言いますが、

『メリットだらけ』

『メリットに比べたらデメリットなんかたかが知れている』

です。

 

そして、最後には『エコーを使いたい

いや

エコーを使えるようにならないと”マズイ

と思うような内容になっているので、最後まで読むことをオススメします。

 

エコーのメリット

コメディカルでも使える

『診断』として使うには医師・診療放射線技師・臨床検査技師しか使う権利はないようですが

コメディカルは『評価』の一貫として使えることができます。

つまり、

これ

ゴニオメーター

これ

握力計

と同じようなツールだと思っています。

 

別に特別なものではないですよね?

 

・ゴニオメーターは関節可動域を客観的に測定する

・握力計は、握力を客観的に測定する

・エコーは身体内部を客観的に評価する(測定もできます)

評価ツールということで臨床では普通に使っています。

リアルタイムで可視化

突然ですが…

『アナタの目の前に肩関節周囲炎という診断で疼痛が強く、腕が全く挙上できない人がきました。さぁどうしますか?』

 

みなさんは何をする?

 

問診?

視診?

触診?

整形テスト?

 

僕はまず…

 

問診をします

 

エコーじゃないんかいっ❗

という声が聞こえてきそうですが、最初はやっぱり問診ですよね。

ただ、問診で詳細をどれだけ聞いても「きっかけが特に無い」場合もありますよね?(肩関節周囲炎なんかはだいたいきっかけはないですが…)

そして痛みが強くて可動域や動作の評価もあまりできない…

そんな時、MRIやCTで内部の状態を確認できればいいですが、普通はできませんよね?

Dr.に相談して

予約をとって

後日、撮影。

そんなんじゃ患者さんは納得・満足できないですし、

自分自身も治療なんかできないですよね?

エコーがあればリアルタイムに状態を確認することができます。
→今回のケースでの状態確認後の判断、治療例は“医師との連携”の項でお話します。

動的評価が可能

『ん〜。膝の伸展時に膝蓋脂肪体の動きが悪そうだな』

 

『肩の挙上時にこれは肩峰下でインピンジメントしてそうだな』

 

こんな疑問を抱いたことはありませんか?

 

エコーはそんな疑問を解決できます。

 

ここでは例として『膝蓋下脂肪体の正常例と異常例』をご紹介します。

この異常像での膝蓋下脂肪体からわかることは

1.白くなっていることから脂肪体が硬くなっている可能性が高い

2.屈曲、伸展時における『動き(移動量)』が悪い(少ない)ことから、『硬く』なっている可能性が示唆される

ということがわかります。

自分の手で触れていて感じた、思っていたことが視覚化されます。

『脂肪体硬いな〜、とりあえず脂肪体動かしとこっ』

から

脂肪体の脛骨側への移動量が少ないから、膝蓋靭帯部分でのアプローチをしよう!

 

に変わるわけです。

局所の病態把握に最適

「肋骨骨折であればレントゲンでわかる」
と思うじゃないですか?

はっきりわかるものであればいいですが、結構わからないことは多いです。

ここで「百聞は一見にしかず」ということで、

エコーの動画をご覧ください

動画で解説していましたが、わかりましたか?

圧痛所見を取る技術があればこの程度の撮像は誰でもできます。

ホントです。骨折の撮像は超簡単です。

 

まぁ、もう少し身近な話だと
膝蓋上嚢部分での水腫の確認も容易です。
「これ、膝に水腫溜まってそうだな…」

この確認なんかエコーがそばにあれば“5秒”でできます

解剖学知識が向上

嫌でも知識が上がります。

というか、知識がないと何もわかりません。

今までの解剖学の概念が覆されると言っても過言ではありません。

例えばこちらの画像(先日ツイートしたものです)

肩前面

身体内部の状況がイメージできますか?

 

答えはこちら

肩前面エコー

これぐらいはわかるかもしれませんね。

次はこちら

肩外側

三角筋しかないでしょ。

 

と思ったアナタ。甘いですよ。

肩外側エコー

この位置に棘下筋が位置しています。

このように、「イメージ」と「実際」は乖離していることが山程あります。

はじめて撮像する部位なんか、そもそもこれはなんだ?と思うことが日常茶飯事です。

つまり、エコーを使っていると否が応でも…

解剖学の知識が飛躍的に向上します。

※このようなツイートを平日毎朝7:00にしているので興味があればフォローをお願いします(宣伝ですw)👉@echohuku

身体に害がない

レントゲンやCTのように放射線被爆といった害はないです。(レントゲンやCTを否定してるわけではなく、わかりやすく説明しているだけです。事実ですし。)

赤ちゃんの状態を把握するために産婦人科でも使ってるわけですし、害があったら大問題ですよね。

他にも消化器内科で『肝臓』をみたり、循環器内科では『心臓』もみるみたいですしね。

 

医師との連携が強化される

先程の『肩関節周囲炎』の診断でリハオーダーが来た場合の”僕の対応”です。

問診や可動域・動作の評価が終わったら、エコーで評価をしますが、
その結果から2パターンの対応をとります。

 

【腱板断裂を認めた場合】
Dr.に相談してエコーガイド下注射を実施し、即時的に疼痛が軽減すれば疼痛により挙上ができない。と判断します
※ちなみに注射の内容物は以下です
○キシロカイン→麻酔薬
○デキサート→ステロイド剤

【腱板断裂が否定的な場合】

・関節内に注射を実施し疼痛の軽減を図る。

ざっくりとはこんな感じで医師と連携して対応します。

的確な評価→的確な治療

であると思っています。

エコーのデメリット

機器が高価

高いです。

具体的な金額は伏せますが。

最近出ているポータブルのエコーは中古車(軽自動車)を購入するくらいの金額で買えますが、一般的なエコーは新車(普通車)が買えるぐらいの金額です。(適当ですみません。)

個人で持っているセラピストも数名知っていますが、やはり変態ですね。w

再現性が低い

これは、検者間や検者内での『再現性が低い』と思ってもらっていいです。

検者間の場合、よっぽど熟練し、同じような環境で練習を積んでいない限り難しいです。

例えば、AさんとBさんという療法士がいて、その人達に
『大腿前面遠位部を撮像してください』と指示をだしても、全く同じ様に撮像することは非常に難しいです。

検者内においても、「先週と同じ部位を同じ様に撮像してください」と言われた場合。
『画面上に先週の画像を映しながら撮像する』のであれば「容易」だと思いますが、その補助がない場合、かなり難易度が増します。

超音波学会での発表を聞いていても、「この画像とこの画像、明らかに撮ってる場所違うでしょ」とか「再現性は低いなぁ」と思うことは『当たり前』ということは周知の事実です。ですので、再現性に関しては議論になることも少ないです。(現段階では)

研究を発表する場ですらそのレベルですので、臨床レベルであれば尚更再現度を高めることは難しいです。(条件・環境設定を徹底して行うことで限りなく再現性を高めることは可能だと思いますが、大変です)

ただ、臨床レベル(患部状態や動態の観察をする)で自分が使う分には大きな問題はありません。

習得に時間が掛かる

技術を習得するのに時間を要します。解剖学の知識もないとかなり難しいですから。

僕はエコーが施設に導入された時

「これで何でもわかる❗」

といった感じでかなり調子に乗っていましたが…

『自分の解剖学の知識が通用しない』ということがわかりました。

ただ、今はセミナーも多くなってきましたし、YouTubeなどでも動画をだしている人もいるので、学ぶ環境は徐々に整っている感じはします。

一応、『ゼロ』からはじめた僕を例にだすと…
肩の『腱板』を患者さんでまともに撮像できるようになるのに3ヶ月は要して、
そこから2年で100例以上経験を積み、MRIと同等レベルの精度(撮像や読影に関して)になったと思います。

誰か教えてくれるひとがいると数ヶ月で習得できるレベルかもしれませんが、僕の周りには誰もいなかったので、これくらい掛かりました。

関節内の観察が困難

深層に存在する関節、肩関節や股関節に関しては撮像が結構難しいです。

エコーを購入した時に付属している標準なプローブの「周波数」はある程度の部分を撮像できるようなプローブなっています。

ですので、深層を撮像したい時は周波数の『低く』なっているプローブを別途購入する必要があることが多いです。

太っている人の観察は精度が落ちる

脂肪の厚みがあると、深層の組織まで『超音波のビーム』が届きにくなるため、単純に観察しづらくなります。

なので上述したような周波数の低いプローブがあるとそこはある程度補うことができると思いますが、『脂肪の厚い臀部で、梨状筋を観察したい』となるとかなり難しいかもしれません。

収益化ができない(点数がとれない)

運動器エコーの算定点数は350点です。

しかし、最初にもお話しましたが算定できるのは医師・臨床検査技師・診療放射線技師に限られているため、コメディカルは算定できません。

まぁ、ゴニオメーターや握力計で僕らが評価しても点数になりませんしね。

 

まとめ

どうでしたか?

デメリットに関しては機器の問題になることが多いと思いますが、

それにしてもメリットのほうが多いというか、魅力的ではないでしょうか?

運動器のリハをするにあたって「触診」は必須だと思います。

エコーを使っていると今までの知識や技術、そして常識までもが覆る場面が多々あります。

 

そして、これからの時代。

人口問題や政治的な問題の影響で医療費制度に大きなメスが入ることは間違いないでしょう。

 

そして、度々話題になっている療法士の需給バランスについて…

 

ご存知の人も多いのではないでしょうか?

 

結果を出せないセラピスト

 

僕が言えたものではないかもしれませんが、そういったセラピストに明るい未来は無いかもしれません。

その原因は、正確な触診や病態把握ができないから”かも”しれません。

そうならないためにも、エコーを使う選択肢は大いに「あり」だと思います。

この記事が皆さんの将来、そして行動に少しでも役立てばと思います。

 

では、また来月の記事でお会いしましょう

 

ABOUT ME
志水
志水
理学療法士として整形外科クリニックで働いています。 『肩』を中心に、解剖学・運動学・生理学をベースに 『肩関節周囲炎・凍結肩・腱板損傷(断裂)・インピンジメント症候群』のリハビリを戦略的に行っています。 5年前からエコーを臨床で使っていますが、身体内を『可視化』することで得られる知見は計り知れないです。 『運動器リハにエコーは必須』というテーマで、今後は運動器リハをするセラピストにエコーの必要性を普及する活動をTwitterやYouTubeにて情報発信をしています❗
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