整形外科

椎間関節由来の腰臀部痛の解釈〜機能解剖や出現部位・頻度から評価する鑑別ポイント〜

こんにちは、理学療法士のこじろうです!

患者さんや自分自身の腰痛に悩んでいませんか??

以前に仙腸関節障害による腰臀部痛 についてまとめました。

今回は椎間関節由来の腰臀部痛の特徴についてまとめましたので最後まで読んで頂いて腰臀部痛の謎を解消していきましょう!!

 

椎間関節への負荷量

椎間関節は上関節突起と下関節突起で構成される平面関節です。

椎骨間にせん断力、圧迫力、屈曲力が加わると椎間板や靭帯と共同してメカニカルストレスを受けます。

せん断力は基本的に椎間板が約 2/3、椎間関節は約 1/3 の負荷が加わります。

腰椎を伸展させると椎間関節は 16%の荷重を受けます。

しかし、 椎間板の狭小化が進み、腰椎の変性が進むと 70%程度まで荷重が増えることがあると言われています。

 

椎間関節由来の腰臀部痛について

実は椎間関節由来の腰痛は全腰痛患者の 70-80%にも達すると言われています。

椎間関節症とは、過可動性と不安定性が椎間関節包への過負荷となり構造変性と関連痛を生じさせるものをいいます。

腰神経根は椎間孔を出たところで内側枝と外側枝に分岐し、内側枝は①隣接する椎間関節包と②1つ下位の椎間関節包に分岐するとともに③多裂筋へ運動枝を送り下行します。

そのため椎間関節性の疼痛は関連痛を傍脊柱部に認める。

椎間関節やその周囲には豊富な感覚神経終末が分布しているため椎間関節に炎症が波及すると侵害受容器を興奮させ疼痛の発生源となります。

侵害受容器は機械的刺激に加えて化学的刺激や熱刺激に対しても反応するため、変形性変化や炎症性変化によって、急性〜慢性腰痛の原因となりえます。

腰椎伸展時には下関節突起下端部が下位椎弓に接触します。

この際、関節包下部は下関節突起と椎弓の間にインピンジされます。

立位のように腰椎前弯位では椎間関節の先端は隣接する椎体の椎弓に接触して圧迫力の1/6 を受けることになります。

前弯が強くなると更にストレスがかかり、関節包をよじる動きが生じます。

このことは臨床的に、長時間の立位で腰部に局所的な鈍痛が生じ、前弯を軽減するように座位になったり、片足を踏み台のようなものに少し上げる工夫をすると疼痛がなくなることに関係します。

椎間関節性腰痛の特徴

椎間関節性腰痛の特徴は以下の通りです。

✔️ 傍脊柱の疼痛
✔️ 片側性の腰痛
✔️ 体幹後屈時の腰痛(前屈も痛いがより後屈で痛い) 前屈位から後屈位へ移行する瞬間の疼痛
✔️ 下肢痛がない(膝から下へ放散することはほぼない) 椎間関節の圧痛
✔️ 椎骨固定作用による疼痛の軽減
✔️ 障害椎間レベルのバンド固定が有効

椎間関節造影時の放散痛の部位

以下に椎間関節由来の関連痛の部位を示しています。そして表にはL1/2〜L5/Sまでの各 椎間関節に造影剤を注入した際の関連痛の出現部位と出現確率を示しています。
※図と表1〜5の数字はそれぞれ対応しています。

この結果を見てみると、どのレベルでも椎間関節に問題が生じると①には疼痛が出現しやすいことが分かります。更に②に痛みが生じている場合はL3/4,4/5,5/S の障害を特に疑うことができます。

 

椎間関節性疼痛を鑑別するポイント

上記に挙げた椎間関節性腰痛の特徴と図、表を照らし合わせていくと、椎間関節由来の疼痛か否か?どのレベルの部位が悪いのか?といった腰臀部痛の原因を鑑別しやすくなります。

このように腰臀部痛には様々な原因がありますので皆さんの臨床の参考にな ればと思っています。

前回のまでの投稿も合わせてご覧くださいね。

 

本日は以上で終わります。

最後までご覧いただきありがとうございました!

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参考文献

・林典雄:改定第 2 版 運動療法のための機能解剖学的触診技術 下肢・体幹 竹下庸雄:腰椎椎間関節性腰痛.からだの科学 266:17-20
・山下敏彦:椎間関節性腰痛の基礎.日本腰痛会誌.13(1):24-27.2007
・田口敏彦:腰椎椎間関節由来の腰痛の病態と治療.日本腰痛会誌.13(1):31-39.2007
運動療法のための機能解剖学的触診技術(下肢・体幹)改訂第2版 [ 林典雄 ]

 

“たけ”
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椎間関節性の疼痛はスウェイバック姿勢や円背姿勢でも出ることが多々あります。これに関してはスウェイバックの教科書で徹底解説しているので、ぜひこちらもご覧ください。
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