整形外科

骨折リスクをどう判別するか?臨床で簡便に使えるWHOの骨折リスク判別ツールFRAX®︎

こんにちは、骨折研究をしているまっつぁん(@fracturepreventです!

今回は、骨折リスクをどう判別するか?という内容です。

 

臨床上、転倒リスク評価といえばTUGや開眼片脚立ち時間など、運動機能テストで判別することが多いと思います。

では骨折リスク(骨が折れる危険性)はどう判別していますか?

実際、骨密度はDXA装置を持っている大きな病院でしか検査できません。

骨粗鬆症のスクリーニングとして超音波式の骨密度測定器もありますが、それも全ての病院にはないですし、リハビリ室にもないですね笑

今日は、臨床で簡便に骨折の危険性を判断できるWHOの骨折リスク判別ツールFRAX®︎を紹介します。

 

WHOが開発した骨折リスク判別ツールFRAX®︎

臨床での骨折リスクの評価はWHOが開発した骨折リスク判別ツールFRAX®︎が役に立ちます。

インターネットサイトもしくはスマホアプリ上で、いくつかの主要な骨折リスク因子、年齢、骨密度および喫煙歴、飲酒歴、ステロイド剤服用などがあるかどうかを“はい”“いいえ”で入力すると、自分の向こう10年間の骨折リスクをパーセンテージで弾きだしてくれます。

骨密度測定の結果も手入力するようになっていますが、それがなくても計算してくれます。

このFRAX®︎値と片脚立ち時間や立ち上がり時間も相関性があるとの報告もありますので簡単なこの問診で転倒リスクも同時にスクリーニングできるかもしれません。

PubMedで論文を見る

 

FRAX®︎は簡便に臨床の合間に使えますし、実際に自分の将来の骨折危険度が高ければすぐに対策、治療を始めないと!と感じますよね。

このFRAX®︎の計算式のロジックはブラックボックスですが、世界の様々な疫学調査の結果をもとに計算式が作成されているようです。

さらに人種の違いでも骨折リスクは異なるので、計算式は人種によっても重み付けが違うようです。

 

骨粗鬆症の薬物治療開始基準にも取り入れられている

骨粗鬆症の治療ガイドラインでは、脆弱性骨折(転倒など軽微な外力で起きる骨折)の既往歴がなく%YAM値(DXA法で検査した場合、若い人の骨量を100とした時の割合)が70%以上80%未満の人で、FRAX®︎値が15%以上の場合、“薬物治療開始すべき”とされています。

 

骨折リスク15%と聞いてあなたは治療するか?

“あなたの向こう10年の骨折確率は15%です“と言われて、どう思うでしょう。

“これは大変だ”と思うか、

“15%であれば大丈夫”と思うか。

我々は一般住民に対して、“あなたの将来の骨折確率が何%であれば骨粗鬆症の治療を開始しようと思いますか?“について調査しています。

その結果は

”50%であれば治療する”が大半を占めました。

“リスク値”や“%”に馴染みのない高齢者に15%という数値をそのまま伝えても、誤解を生む可能性があります。

実際に伝えるときは“低い”“高い”など平たく言葉を変えて指導しないといけないかもしれませんね。

また、骨折は高齢になればなるほど増加します。

ですので、入力する年齢が高いほどFRAX®︎値は高くなります。

実際、危険リスク因子がなくても75歳以上ではFRAX®︎値は15%越えです。

WHOの開発したFRAX®︎は簡単に骨折リスクをスクリーニングしてくれます。

FRAX®︎に使用されているアルゴリズムは不明ですが世界の質の高い研究を集めて、そこから計算式を作成していますので妥当性もあるものと言えます。

よって患者評価の一つの参考することができると思います。

しかし、結果(%)の伝え方や使用する人の年齢を考慮する必要がありますので、その点を注意することが大事です。

FRAX®︎を使用すると転倒リスクと同時に骨折リスクも提示できますし、その結果次第では運動療法の選択も変わってくると思います。

ご参考までに!

骨折リスク判別ツールFRAX®︎

 

 

本日は以上で終わります。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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たけ
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