整形外科

本当は怖い!腱鞘炎(ドケルバン病)とは?

こんにちは、CLINICIANSの代表のたけ(@RihaClinicians です!

今回は腱鞘炎(ドケルバン病)について解説します。

本記事は、以前に記事執筆メンバーであったnocchiyan君が実体験を加えて詳細に病態と治療について説明してくれたものです。

参考になるところが多々ありますでぜひご覧ください!

 

狭窄性腱鞘炎とは?(ドケルバン病)

まず、狭窄性腱鞘炎(ドケルバン病)がどんな病気なのなのか解説します。

症状

母指にいくつか腱という“ひも”がついていますが、このうちの2本が手関節の母指側にある腱鞘と呼ばれるトンネルの中を一緒に通ります。

この腱鞘内での腱の動きが滑らかでなくなり、炎症が起こると痛みや腫脹がでてくる病気の事です。

場所は、短母指伸筋腱と長母指外転筋が手首の背側にある手背第一コンパートメントを通るところとなっています。

母指を広げたり、動かしたりするとこの場所に強い疼痛が現れます。

原因

手の使いすぎやスポーツの指を良く使う仕事の人や、妊娠出産期の女性や更年期の女性に多いです。他にも、手の使い方により症状がでてくる場合もあります。

病態

母指の使い過ぎによる負荷のため、腱鞘が肥厚したり、腱の表面が傷んだりして、さらにそれが刺激し、悪循環が生じると考えられています。

特に手背第一コンパートメント内は上記の2種類の腱を分けて通過させる隔壁が存在し、これがあるために狭窄が生じやすいとされています。

 

評価と治療

評価

上記の部位に腫脹や圧痛があります。

フィンケルシュタインテスト変法を使います。

フィンケルシュタインテストとは、母指と一緒に手首を小指側に曲げると痛みがいっそう強くなります。正しくは母指を小指側に牽引したときに痛みが強くなります。重症になればなるほど、母指を少しでも動かすだけで痛みが生じてきます。

治療

治療はまず必要なことが局所の安静です。

保存的療法としては、投薬や腱鞘内ステロイド注射〈トリアムシノロン〉をします。

改善しないときや再発を繰り返す場合は、腱鞘の鞘を開く手術〈腱鞘切開〉を行います。その際、隔壁の切除と橈骨神経浅枝の愛護的操作が求められます。

 

経験談:症状増悪から術後まで

ここからは実際に私に起きたできごとになります。

最初に違和感を感じたのは2年半前くらいになります。

仕事中に右手首に痛みがありました。そのときは痛みもそんなになく、日によってムラがあったため、症状の経過をみていました。

しかし、徐々に痛みの頻度が多くなり、仕事やスポーツをしているときも痛むようになりました。

 

ついには仕事中に激痛が走り、座位保持や体位変換の介助でさえも痛みが出るようになったため、慌ててすぐに整形外科に受診しました。

そこで初めてドケルバン病と診断され、ステロイド注射を行いました。

ステロイド注射を行った後は痛みが引き、すぐにもとの生活に戻ることができました。

 

次に痛くなったのは半年くらい経った後になります。

前回と同じように痛みが続くようになってきたため、整形外科に受診しました。

そこでもまた同じようにステロイド注射を行い、痛みはなくなりました。

このとき、主治医からは3回目の注射となると腱が切れる可能性が高くなるため、手術を行った方が良いといわれました。

そこからさらに1年が経過して、3度目の痛みが出現したため、再度受診しました。

 

 

・・それから手術までは早かったです。

1週間後に手術をすることになりましました。

手術まで仕事をしようと思っていたのですが、受診後2日目に急に右手が痛くなり、めちゃめちゃ手首が腫れました。下の写真がその時の実際のものです。

 

その後、手術までは仕事を休むことになり、テーピングで固定して安静に過ごしていました。

 

手術は腱鞘切開術でした。

約30分程度で終わり、その日に帰宅することができました。

術後の手はこんな感じです・・痛々しいですね。

 

術後の1ヶ月程度は安静のためにしばらくはこのような感じの固定を行なっていました。手に負担がかからない範囲で仕事も少しず行うことができました。

 

術後10日目に抜糸をし、手術部位はこのような感じになりました。経過は良好で傷も綺麗でした。

 

現在は完治しましたが、今後は再発しないように、手に負担がかからない仕事中の仕方や手首の柔軟性を気にしています。

 

今回の経験を通して私が言いたいことは、右手首に痛みが出始めた時に、まずは悪化させないように安静にして負担がかからないように十分注意を払っておかなければいけないことと、手首の柔軟性を高めておく必要があるということです。

ステロイド注射も痛みが減るのですが、やはり腱にとって常に負担がかかっていることは悪化を招く一方ですので・・炎症の悪循環を招く根本を変えて予防していかなければなりません。

 

今回は手術で状態が良くなりましたが、手術も第一コンパートメントを切り開くため、橈骨神経麻痺を起こすリスクもあったのです。

術後も安静にしておかなければならないので、仕事において患者さんだけでなく、周りの同僚にも迷惑をかけることになりました。

 

どんな病気もそうですが、早期発見と予防をとることが非常に大事だと痛感しました。

このブログを見られておられる方は私と同じセラピストの方が多いと思いますが、もし同じような病気・症状で悩まれておられる方がおられれば、すぐにでも対応される措置をとられた方が良いと思います。

あまりにもひどいようであれば、仕事の数を減らしたり、患者さんを介助があまり必要のない軽症の方に変更していただいたりして配慮をしてもらう必要もあると思います。

そうしなければ、後々にもっと同僚に迷惑をかけることになるかもしれませんよ・・

 

 

今回は以上で終わります。

腱鞘炎(ドケルバン病)について僕の体験談を交えて解説しましたがいかがでしたでしょうか?

皆様の日々の臨床やご自身の体のケアに役立てば幸いです。

 

最後までお読みいただきありがとうございました!

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たけ
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理学療法士&ピラティスインストラクターとして姿勢・パフォーマンス改善の専門家として活動中!発信情報や経歴の詳細は以下のリンクよりご覧いただけます。
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