こんにちは、理学療法士の青木です。
今回は内側縦アーチを形成する最も重要な筋肉、後脛骨筋の機能不全の評価方法(アーチ高率とNavicular Drop Test)についてお話をしていきたいと思います。
内側縦アーチについてよくわからない方はまずは以下の記事をご覧ください。
内側縦アーチを支えているのは後脛骨筋
内側縦アーチはいくつもの骨、筋肉により形成されています。
その中で最も重要とされているのが後脛骨筋です。
後脛骨筋は下腿部後面にあり下腿部の中心を通り、内顆の後方を通過した後に舟状骨、楔状骨、立方骨そして4つの中足骨の骨底へと停止します。
よって、後脛骨筋は舟状骨を上方へ引き上げ、アーチを下からしっかりと支えています。
この後脛骨筋に機能不全が起こると、舟状骨が落下してしまい内側縦アーチが崩れて扁平足(べた足)の状態になってしまいます。
今回は、この評価に役立つアーチ高率とNavicular Drop Testについて簡単にご紹介します。
アーチ高率の評価方法
アーチ高測定方法は以下のように求めます。
※舟状骨は、内果の下やや前方にあり少しだけ出っ張っている骨です。
足の大きい人と小さい人では、同じ高さでもアーチの形状が異なりますので、これを加味したものがアーチ高率です。足長に対する舟状骨粗面高の割合を算出します。
足長の測定の詳細についてはだいきさんの以前の記事でも解説されています。
アーチ高率の正常値
アーチ効率についてはどの程度のパーセンテージであれば正常から逸脱して扁平足やハイアーチの状態になっているのかという情報は報告されていません。
よって、一度評価して時間経過とともにアーチが低下or上昇したり、治療介入によって変化がどの程度でるのか?といった比較に用いることができるような評価だと考えていただくと良いと思います。
なお、アーチ高率はnavicular indexと同様の概念を示すものと言われており、navicular indexは以下のように報告されています。
Navicular index for differentiation of flatfoot from normal foot. Int Orthop.(Roth S et al.2013)
navicular indexは縦アーチ長を舟状骨高で割って得られる値であり、扁平足では4.75~31.2(中央値8.98)、健常足では3.58~22.6(中央値5.48)であった。ROC解析では、ROC曲線下の面積が0.861で、navicular indexは扁平足と正常足とを分離する良好な尺度となりうることが示され、その境界域は6.7407(感度86%、特異度75%)であった。
つまり、これはアーチ高率もある程度は臨床上で扁平足の評価に使える評価である可能性があると言えます。
レッグヒールアライメントと内側縦アーチの関連
なお、扁平足の評価はアーチ高率だけではなく、レッグヒールアライメントも評価として参考になります。
これについてはCLINICIANS代表のたけさんが以前にYoutubeでお話しされていましたね。
レッグヒールアングルと内側縦アーチには高い相関があり、内側縦アーチと踵骨-下腿アライメント連動して動きます。
学術大会レベルの報告になりますが以下のような報告もなされており、アーチ高率の正常範囲の参考になるかと思いますのでご参考までに!
内側縦アーチ高率と後足部アライメントの関係(藤田ら2009)
LHA0~10°の正常範囲(n=24)では内側縦アーチ高率とLHAとの間には相関は認められなかった。またLHAの正常範囲内におけるアーチ高率は10.4%~15.7%であった。
アーチ高率と合わせてNavicular Drop Testというのも覚えておくと臨床上便利でしょう。
このテストは座位(非荷重位)時と立位時(荷重位)での舟状骨粗面の落下の程度を評価する方法です。
まず舟状骨粗面と床との距離を座位で測り、次に立位でどの程度舟状骨粗面が落ち込むのか(変化幅)を評価します。
この際、距骨がニュートラルポジションにないと評価結果が大きく変わってくるので、距骨がニュートラルにある位置で評価を行うよう注意しましょう。
わかりやすい動画がありましのたでこちらをご覧ください。
結果の解釈は以下のように報告されています。
正常 6-8mm
異常 10-15mm
検者間信頼性、検者内信頼性はまずまず良いようですが、報告によりまちまちであるためこれだけを用いて扁平足を評価するというよりは色々な所見を組み合わせて慎重に判断するべきだと思います。
※検査内信頼性(同一の検査者が評価した時の一致具合)はかなり高めですが、検者間信頼性(異なる検査者が評価した時の評価の一致具合)は少し低めなようです。
本日は以上で終わります。
後脛骨筋の機能不全(扁平足)の評価方法であるアーチ高率とNavicular Drop Testについて掲載しましたがいかがでしたでしょうか?
曖昧な表現が多いですが、扁平足やハイアーチは明確な基準がない現状であるため、このような評価やフットプリントなどの色々なものを適宜用いて、総合的に評価していきましょう。
皆さんもぜひこれらを上手く使ってみて下さい。最後までご覧いただきありがとうございました!
後脛骨筋が機能不全になると内側縦アーチが崩れ歩行などの際に足部にかかる負担・衝撃があまり吸収されていない可能性があります。その為、膝、腰といったその他の関節にも障害が発生する原因となる事もあります。
そのような問題を有している患者さんを発見し、後脛骨筋の問題であるということを確認するのにこのような評価方法も役立ちます。
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