その他

要チェック!リハビリテーション中リスク・バイタルサインまとめ

こんにちは!
理学療法士のだいきです。

新人セラピストの皆さんは職場で患者さんと接して仕事に徐々に慣れ始めているころだとは思います。

患者さんを良くしていくことが我々の仕事なのですが反対に言えば
患者さんを悪くすることは決してあってはならないと思います。

患者さんと接する際にどの程度リスクを把握して臨床に臨んでいますか?

今回はリハビリ中に想定される事故やリスクに関して表のようにまとめてみました。
項目によっては僕の臨床での経験や主観的なポイントも入っているので参考にしてみてください。

新人セラピストの方は特にチェックがてら読んでみてください。

もちろん臨床実習にこれから臨む学生であったり、これから後輩や学生を指導する臨床家の方にとってもサラーっと読んでチェックしていただければと思います。目を通して損は無いと思います。

それではお願いします。

リハビリ中に起こる可能性のある事故

リハビリ中に起こる可能性のある事故を以下に挙げています。

想定できているかいないかでその後の対応の早さが変わってくると思います。

1)心停止・呼吸停止
リハビリ中に死亡なんてこともあり得ますよね。最悪のケースで一番あってはならないことだと思います

2)自覚症状の出現やバイタルサインの急変
激しい頭痛・胸痛・腹痛,気分不快、動悸、めまい、てんかん発作、低血糖、意識障害、血圧低下、不整脈、強い関節痛や筋肉痛、悪心、嘔吐 等。自身がリハビリで関わることによって起こりうることです。

3)転倒・転落・打撲など
転倒転落は医療事故です。その後に起こる痛み、骨折、外傷、恐怖心、担当リハビリに対する不信感等。

4)手術部位からの出血、術創部の離開
術後急性期でリハビリを行う場合には特に注意が必要です。

5)点滴チューブ・留置カテーテル・人工呼吸器などのはずれ
はずれてしまうことで命にかかわることもあり得ます。

6)院内感染
患者さんと長時間接したり話したりする職業特性上、感染予防対策を徹底しなければならないと思います。

7)治療機器による外傷,感電,熱傷,疼痛
物理療法中心に起こりうることだと思います。禁忌やリスクの確認を必ず行っておきましょう。車椅子のフットレストに下肢が当たって打撲や出血、テーピング治療で皮膚がはがれる等 リハビリで使う道具は外傷のリスクがあることも把握しておくことが必要だと思います。

8)誤嚥
リハビリ中に水分補給や、食事直後で嚥下が完了していないのにリハビリを行ってしまい、呼吸停止や肺炎リスクにもなり得ます。

9)患者同士のトラブルによる身体的・心理的 アクシデント
入院中の方同士の状況の把握も必要な場合があります。(実はご近所さんで仲が悪い方同士が入院していて偶然リハビリ室で遭遇し気分を害する等)

10)患者さん(その家族)とセラピスト間のトラブルによる身体的・心理的アクシデント
患者さん(その家族)に対して十分な説明と理解を得てからリハビリできているかどうかが大切です。またお互いの立場が違うのでハラスメントが発生する場合もあり注意が必要です。セラピストはハラスメントの被害者にも加害者にもなり得ることを理解しておきましょう。

11)患者の取り違え
フルネームで確認、患者さんの疾患や対象とする部位のチェックも必要(膝の手術後患肢を間違えるパターンもあり)

12)離院・離棟
認知機能や精神状態、移動能力を把握しておくことも必要です。

13)リハビリ中に地震や火事等の災害が起こる場合(直接関係無いかもしれないですが…)
地震や火事等が発生した時に避難経路、患者さんと自身の命を守るためにどういう行動が最善であるか、シュミレーションが必要。

バイタルサインの正常値

以下にバイタルサインの正常値を記載しておきます。
確認がてら読んでみてください。

〇体温(BT)36.5℃±0.5℃
低体温…35℃以下
微熱…37~38.5℃
高熱…38.5℃以上
超高熱…41.5℃

〇血圧(BP)120~129mmHG/80~84mmHG
適正 120/80mmHG以下
高血圧 130~139mmHG/85~89mmHG以上
高血圧
Stage1 140~159mmHG/90~99mmHG以上
Stage2 169~179mmHG/100~109mmHG以上
Stage3 180/110mmHG以上

〇心拍数(HR)60~85回/分 (50~99回という文献もあり)
50回/分以下は徐脈、100回/分以上は頻脈

〇呼吸回数(RR)12~15回/分が正常値

〇SPO₂(室内空気)92%

〇意識(Cons)清明
JCSで0、GCSで15 かつ見当識障害が無い

〇尿量(U/O)0.5~1.0ml/kg/h

リハビリの中止基準に関して

今までの解説を踏まえてリハビリの中止基準を記載します。
バイタルや自覚症状が出た際にどのように動くべきかシュミレーションも大切です。

積極的なリハビリを実施しない場合
⓵安静時脈拍40回/分または120回/以上
⓶安静時収縮期血圧70㎜HG以下または200㎜HG以上
⓷安静時拡張期血圧120㎜HG以上
⓸労作性狭心症の方
⓹心房細動のある方で著しい徐脈または頻脈がある場合
⓺心筋梗塞発症直後で循環動態が不良な場合
⓻著しい不整脈がある場合
⓼安静時胸痛がある場合
⓽リハ実施前にすでに動悸・息切れ・胸痛のある場合
⓾座位でめまい,冷や汗,嘔気などがある場合
⑪安静時体温が38℃ 以上
⑫安静時酸素飽和度(SPO₂)90%以下

途中でリハビリを中止する場合
⓵中等度以上の呼吸困難,めまい,嘔気,狭心痛,頭痛, 強い疲労感などが出現した場

⓶脈拍が140回/分を超えた場合
⓷運動時収縮期血圧が40㎜HG以上,または拡張期血圧が20㎜HG以上上昇した場合
⓸頻呼吸(30回/分以上),息切れが出現した場合(会話ができないほどの息切れ)
⓹運動により不整脈が増加した場合
⓺徐脈が出現した場合
⓻意識状態の悪化

一度リハビリを中止し,回復を待って再開する場合
⓵脈拍数が運動前の30%を超えた場合。ただし、2分間の安静で10%以下に戻らない時は以後のリハを中止するか、または極めて軽労作のものに切り替える。
⓶脈拍が120回/分を越えた場合
⓷1分間10回以上の期外収縮が出現した場合
⓸軽い動悸,息切れが出現した場合。

※その他の注意が必要な場合
血尿の出現
喀痰量が増加している場合
体重増加している場合
倦怠感がある場合
食欲不振時・空腹時
下肢の浮腫が増加している場合

このように患者さんに向かう前にいかに把握しておくかが大切だと思います。

終わりに

上記のように解説させていただきましたが、各病院や施設ではリスクやバイタルサインに関してマニュアルがあるのかもしれませんので職場にマニュアル等が存在すれば必ず読んでおきましょう。

 

こうしてみるとたくさんのリスクが並ぶので「リハビリするの怖いな」なんて考えになって患者さんに接することに消極的になる人もいるようですが……逆です。

リスクを知っているからこそ行動に移せれるし、リスクのない範囲で最大限に自分の臨床技術を発揮できるのではないでしょうか?

 

リハビリ中に患者さんの状態が変わってしまった際に「よく分らんけど、ま、いっか」となるセラピストが一人でも減ればいいなと願います。(もちろん一人もいないと信じていますが)

 

「すべては患者さんを良くするために」

臨床に励んでいきましょう!

今回は以上で終わります。
最後まで読んでいただいてありがとうございました

参考文献

リハビリテーション医療における安全管理・推進のためのガイドライン
呼吸28巻第10号 1051-1053:生命徴候の臨床的意義

ABOUT ME
だいき
だいき
理学療法士・フットケアトレーナー/常に相手への笑顔と感謝を心がけてます。臨床では相手に満足していただく、納得していただく、そして治すという部分に尽力しております!自分もですが周りの方達を良い意味で巻き込んで臨床を楽しくやってるつもりです。生まれ育った町で勤務しています。地域とともに歩んでいく気持ち、地域に寄り添う気持ちで頑張り続けています。
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