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【業務改善への第1歩】ミスや事故の原因となるシステムエラーを探し出せ!

【業務改善への第1歩】ミスや事故の原因となるシステムエラーを探し出せ!

こんにちは、だいじろう(@idoco_daijiro)です。

先日、こういったツイートをしました。

みなさんの職場では、ミスや問題が起こったとき、どういった対処をされていますか?

 

おそらくヒヤリハット報告書やインシデント/アクシデント報告書なるものを書いて上司に提出するのではないでしょうか。

 

そういう報告書を書くのって結構面倒臭くないですか?

 

もし、あなたが「報告書を書くのが面倒臭い」と感じているとしたら、それらの報告書がうまく機能していない可能性が高いです。

 

つまりあなたの職場はもっと改善される可能性が高いということです。

 

今回はその理由について解説していきたいと思います!

 

 

ミスや事故の原因はヒューマンエラーではなくシステムエラー!

ミスや事故の原因はヒューマンエラーではなくシステムエラー!
そもそもミスや事故が起こったときに報告する目的として、どういったものがあるでしょうか?

 

大きな目的は「ミスや事故の再発予防」ですよね。

 

私たち医療職ではミスや事故は患者さんの経過を左右することもあり、最悪の場合、命に関わります。

 

いわゆる医療ミス・医療事故が起こらないようにしていくことが大切です。

 

このミスや事故は多くの場合、業務が複雑なことが要因です。

 

つまり報告を元に業務改善に取り組んでいくことで、「より効率的に安全な医療サービスの提供」が可能となります。

 

そう考えると、ミスや事故が起こることはとても貴重な機会ですし、しっかりと報告書を作成することが自分たちのためにもなりますよね。

 

今回はそのミスや事故が起こったときの対処法について「業務中のスタッフの私語」を例として考えていきたいと思います。

 

 

事象の確認

事象の確認
まずは起こったミスや問題を確認していくことが目的となります。

 

ここでは「いつ起こったのか」「どこで起こったのか」「だれが経験したのか(発見したのか)」「どのようにして起こったのか」「なにが起こったのか」を細かく書き出していきます。

 

この確認作業が十分に行われないと、要因分析や課題抽出につながらないので、細かく、正確にしていくことが大切です。

 

スタッフ間の私語について次のように分析されたとします。

・患者さんが少なく、混雑していないときに起こりやすい
・リハビリ室の受付でよく起こっていた
・患者さんからの投書で分かった
・患者さんがいるなかでスタッフ同士が業務と関係ない話をしていた

 

 

要因の分析

要因の分析
次に確認した事象から起こった要因を分析し、「なぜ起こったのか」を考えていきます。

 

要因を深く追求していく際には、前提として「要因はヒューマンエラーではなく、システムエラーだ」と認識しておくことが大切になります。

 

よく聞くのが「注意不足」や「確認ミス」を要因と捉えてしまうケースですが、そこからもう一歩踏み込んで、「なぜ『注意不足』や『確認ミス』が起こったのか」を分析していくと本当の要因が見えてくるかと思います。

 

では、私語が起こる要因を考えていきます。

 

よくあるのが要因を「個人の問題」としてしまい、「私語をしないようにしましょう」で終わってしまうこと。

 

これでは報告したあと、数日間は注意していきますが、徐々に注意が薄れてくるとまた私語をしてしまいます。

 

私語が起こる要因は様々ですが、多くの場合は「手持ち無沙汰なスタッフが一箇所に集って話しているところが患者さんの目につく」ことが要因となります。

 

それを細分化すると

・スタッフが手持ち無沙汰であること
・スタッフが一箇所に集うこと
・スタッフが話してしまうこと
・スタッフが話しているところが患者さんの目につくこと

が要因となります。

 

「スタッフが手持ち無沙汰であること」はさらに
・スタッフ一人あたりのタスク量が少ないこと
・タスク量に対してスタッフの人数が多いこと
に分けられます。

 

「スタッフが話しているところが患者さんの目につくこと」は
・患者さんに見えるところでスタッフが話していること
・スタッフの動向が気になってしまうくらい患者さんが手持ち無沙汰なこと
とも捉えることができます。

 

つまり、ここでの要因は

①スタッフ一人あたりのタスク量が少ないこと
②タスク量に対してスタッフの人数が多いこと
③スタッフが一箇所に集うこと
④スタッフが話してしまうこと
⑤患者さんに目につくところでスタッフが話していること
⑥スタッフの動向が気になってしまうくらい患者さんが手持ち無沙汰なこと

と分析されます。

 

 

課題の抽出

課題の抽出
要因を分析することができれば、その要因をなくすための課題が自ずと抽出されていきます。

 

この「要因」と「課題」は似て非なるもので、意外と軽視されがちなのです。

 

前項で私語が起こってしまう要因として

①スタッフ一人あたりのタスク量が少ないこと
②タスク量に対してスタッフの人数が多いこと
③スタッフが一箇所に集うこと
④スタッフが話してしまうこと
⑤患者さんに目につくところでスタッフが話していること
⑥スタッフの動向が気になってしまうくらい患者さんが手持ち無沙汰なこと

が挙げられました。

 

それぞれに対する課題は

・タスク量を増やす
・タスク量に見合った人員数に調整する
・スタッフが一箇所に集わない
・スタッフ同士で話さない
・患者さんの目につくところで話さない
・リハビリ室で患者さんがなにもしない時間を減らす

となります。

 

これらの課題のなかから「対処できるもの」「対処すべきもの」を抽出していきます。

 

「タスク量に見合った人員数に調整する」というのは、簡単にできるものではありませんよね。

 

そもそもそういう権限がないことも多いと思います。

 

ですので、この場合は「対処できないもの」として捉えていくことになります。

 

「スタッフが一箇所に集わない」や「スタッフ同士で話さない」、「患者さんの目につくところで話さない」については、現時点でそういった状況になる場所や時間帯を分析し、それが本当に必要かどうかを判断することが大切です。

 

必要なことであれば対処する必要はありませんし、必要ないことであれば積極的に対処していった方がいいですね。

 

大概のケースでは「スタッフ同士で話し込む」ことが問題となりやすいので、報告・連絡・相談などのやり取りも必要最小限にしていくことが大切です。

 

そして、私語などのスタッフの動向が問題となるのは、患者さんが何かしらの不満を抱えているケースも多いです。

 

とくに多いのは待ち時間。

 

「スタッフが暇そうに話しているのに何で待たされるんだろう?」と思われることが多いですね。

 

いくらスタッフ同士で必要なことを話していたとしても患者さんには分かりませんからね。

 

その辺りも課題として挙がってくるかと思います。

 

そして、抽出された課題に対する改善策を立案していきます。

 

 

改善策の立案

改善策の立案
抽出された課題に対して改善策を立案していくことになりますが、ここではできる限り「少ない改善策で多くの課題を解決できるようにしていく」ことが大切です。

 

いくらミスや問題が起こらないようにしてくれるからといって、そのためにやらないといけないことが膨大になってしまうと本末転倒ですよね。

 

より効率的に、かつ安全に業務を遂行できるように改善していくことが大切です。

 

ここでは課題として

・タスク量を増やす
・タスク量に見合った人員数に調整する
・スタッフが一箇所に集わない
・スタッフ同士で話さない
・患者さんの目につくところで話さない
・リハビリ室で患者さんがなにもしない時間を減らす

が挙げられました。

 

この課題に対して私が改善策を挙げるとしたら「リハビリ室で患者さんが何もしない時間帯を減らすための新規事業を立ち上げる」「スタッフ間のやり取りのルールを見直す」です!

 

「リハビリ室で患者さんが何もしない時間帯を減らすための新規事業を立ち上げる」ことで、新たなタスクが増えます。

 

新たなタスクを作っていくときに「個々で完結できるタスク」にすることが大切です。

 

新たなタスクをこなすためにスタッフ同士が集まって話さないといけないとなると、また本末転倒です。

 

そして、「スタッフ間のやり取りのルールを見直す」ことも大切かと思います。

 

例えば

・急を要する内容以外は患者さんの目につくところでやり取りをしない
・患者さんの目につくところでのやり取りをしなければならない場合は1ラリーで済むものとする
・それ以上のラリーが必要なやり取りはスタッフルームなど、患者さんの目につかない場所でやる

といったルールを決めておくことも大切です。

 

こういった形で改善策を個人の注意に依存するのでなく、仕組みや環境にアプローチしていき、ミスや問題が起こりづらいシステムを構築していくことが大切になります。

 

 

スタッフ間での共有と実践

スタッフ間での共有と実践
ここまでのところを報告書に作成していきます。

 

当然ですが、報告書を作成するだけで業務が改善することはありません。

 

報告書の内容をスタッフ間で統一の見解として落とし込んでいき、実践していくことが大切です。

 

さらに実践していったことで「再発予防」「業務効率化」という成果が得られているかどうかを検証していくことが求められます。

 

改めて言いますが、大切なことはミスや事故の要因は「ヒューマンエラー」ではなく「システムエラー」ということ。

 

そしてエラーが起こらないようシステムを構築していくことで、より効率的で、より安全な医療サービスが提供できるようになります。

 

あなたの職場でミスや問題が起こったときはぜひシステムの見直しに取り組んでいってみてくださいね!

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

ご意見・ご質問は私のTwitter(@idoco_daijiro)のDMでお受けいたします。

ABOUT ME
だいじろう
だいじろう
理学療法士・アスレチックトレーナー 鹿児島でコンディショニングスペースIDOCOを運営 整形外科やスポーツ現場で経験を積み、現在はフリーランスとして整形外科のアドバイザーやトレーナー活動が中心。セラピストやトレーナーの方々がもっとワクワクして活動していけるような社会を実現したいです。 整形外科やスポーツ現場での経験で培ってきた知見をお伝えしていきます!
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