理学療法士&フットケアトレーナーのだいきです。
本日は臨床実習で学生指導を行う際のポイントについてお話をさせていただきます。
みなさんも臨床経験を積むと学生の臨床実習の担当をすることがあると思います。
スムーズに指導できていますか?
僕もまだまだ経験が浅い方だと思いますが、学生指導を行う際にいつも使っている指導方法のポイントをご紹介したいと思います。
内容としては当たり前のことかもしれませんが、学生指導を行った経験がない方や、学生指導が思うように上手くいかないという方々の参考になれば幸いです。
自分自身が学生指導で最重要だと考える点
僕が学生を指導する際に最重要と考えるものがあります。
それは、
まず患者さんを中心に考えて行動できているかどうか
これが一番重要だと思います。
もちろんその中には知識や技術、リスク管理等も含まれています。
また、これを中心に学生とバイザー間の指導ややりとりが上手くいっていない場合、結局は患者さんの不利益に繋がることも多くなるのではないかと思います。
以下は、これまで僕の周りで良くみられた学生との会話です…
…はい!
こうなったら優しく優しく指導しています。笑
という風に、評価を行う際の根拠や手順もちろんのこと、計測を実施するために必要なもの、環境、また見守りや介助の有無までなかなか考えて計画を立てれない学生も多いかと思います。
学生からしたらレポートを作らなきゃ! という思いでついつい計測結果を求めてしまいそこに至るまでの準備や考えや患者さんに対する配慮が欠けてしまう場合があります。
…そういう僕も学生の時はそうでした。笑
ここで事前にさっきのやりとりのようにしておかないと、実際に計測場面になってスムーズに計測が進まず、その結果患者さんを、待たせてしまったり、患者さんの目の前で学生の指導をしてしまうことにもなりかねません。
「ごめんね、私のせいで」と患者さんに余計な気を遣わせてしまうと…もう色々切ないですよね(苦笑)
学生の評価を一つ例に挙げるとして、患者さんの評価をさせていただく前に、学生とバイザー間で、やることの確認をしていることで、結果的に患者さんのことを中心に考えることに繋がると思います。
学生、バイザー、そして患者さんのための5W1H
僕は評価項目を学生と考える際に5W1Hを用いて指導してます。
5W1Hの意味をウィキペディアから引用すると以下の通りです。
5W1Hは、一番重要なことを先頭にもってくるニュース記事を書くときの慣行である。欧米ではふつう「Five Ws」、「Five W’s and One H」、または略して単に「Six Ws」と呼ばれるが、日本では更に「1H」を足して「5W1H」(ご・ダブリュ・いち・エイチ)とし「六何の法則」とも呼ばれる。
聞いたこともある方は多いと思いますが…詳細は以下の通り。
When?(いつ)
Where?(どこで)
Who?(誰が)
What?(何を)
Why?(なぜ)
HOW?(どのように)
僕はこの5W1Hを用いて学生指導にあたります。
ある程度応用が効いて学生が理解しやすいだけでなく、バイザー自身も考えを整理しやすくなります!
臨床実習での活かし方
上記で引用したウィキペディアの説明にもありましたが、「一番重要なことを先頭に持ってくるニュースの慣行…」という点について。
“ニュース”とは短い時間の中で必要な情報を正確に伝えるものです。
よって、5W1Hは臨床の中でも重要なことを素早く伝えるために、もしくは知るために活かしていけるのが良いのではと思います。
先ほどの10m歩行の評価をしたい!
と言っている学生に質問しながら当てはめてみようと思います。
ここで僕は5W1Hを使って一緒に考えていきます…多少強引に当てはめた点もありますし、完全に僕の主観で順番を変えています。
“10m歩行を計測する”
WHY?(何故計測するのか)
主には
“歩行能力を見たい”などの目的があると思います。
WHAT?(何を準備するの)
“ストップウォッチ”
“10m以上の歩行路”
学生さんは結構ここの部分が抜けてていざ計測するときに慌てて準備したりするケースがあると思います^^;
WHERE?(どこでするの)
“平地の場所でリハビリ室で行うのか、病棟で行うのか、人や物に接触しないように配慮する必要はある”と思います。
WHO?(誰が、誰とするの?)
当然、計測は患者さんに歩行していただき学生が計測しますが、“検査中の転倒が無いように場合によっては近位での見守り等配慮が必要な場合もあります。一人で難しい場合(転倒リスクがありそうで、例えば学生が評価で計測したりする場合)は二人で計測した方が安全”です。
WHEN(いつするの?)
“眠剤が効いている時など、内服の都合やバイタル計測等して運動療法をすべきでない時には実施しない方が良い”と思います。また“リハビリ室が混み合ってる時、病棟の廊下の人通りが激しい時間帯は計測は避けた方が良い”かもしれません。
HOW?(どうやってするの)
ここが特に大切かと思います。
患者さんに10m歩行をしていただく際に“快適歩行なのか、努力歩行なのか、歩行補助具がある患者さんはどう測定するのか”。
また“それがオリエンテーションで患者さんに伝わるかどうか。話しておいた方が良い”と思います。
さらにHOW?をもう一つ。
“計測した結果をどう解釈するの?”
計測した数値をどう扱うのか…
“最初に文献等を見てカットオフ値や能力との関連性についてある程度知っておいた方がその後の患者さんやバイザーとのフィードバックがスムーズになる”と思います。
ここまでがスラスラ出てくる学生はなかなかいないかもしれませんので、ある程度事前に上記のように打ち合わせておくとお互いに重要な部分を素早く伝達できると思います。
また、あくまで上記の5W1Hの使い方のは僕の挙げた具体例なので読者の皆さんの良い風に応用していただければ良いと思います。
5W1Hを用いて物事をある程度フレームに当てはめて考え方を整理出来る手助けになればと思います。
なお、治療などへの応用の事前指導の具体例も少しだけ挙げておきましょう。
といった感じで使えます。
また、強引ですが患者さんの疼痛検査などにも使えます↓
腰の疼痛がある方に対しての聞き取り例では以下のような感じです。
WHY?(なぜ?)
「朝起きると痛い、昨日農作業を長時間したから」
WHAT?(何が)
「骨というより筋肉の方が痛い」
WHO(誰が)は、患者さんがなので飛ばします!笑
WHERE?(どこが)
「腰の骨の両側の辺り」
HOW?(どのように)
「体を屈めると痛い…」
というように、主訴は腰痛というところからもう少し掘り下げた質問にて患者さんの疼痛の様子、他にもコミュニケーションでも応用できると思います。
ここではあえて細かいニュアンスは気にしてないんだ。言いたいのは、大雑把なニュアンスでもいいから、このような型をある程度もって指導の仕方を考えたり、指導をするということが大事だということを僕は伝えたいんだ。
終わりに
5W1Hはすでにビジネスシーンで使われていると思いますが、少しの工夫でリハビリの分野でも学生の指導や臨床にも応用できると思います。
もちろんすべてのケースに当てはめて使う必要もないですが、学生とのスムーズなコミュニケーションと指導のためにも5W1Hを用いてみてはいかがでしょうか?
それが患者さんへの負担軽減や患者さんの症状の理解にも繋がるヒントになればと思います!
僕は臨床・プライベート問わずに自分の目標、やりたいことを明確にしたい時にこの5W1Hに当てはめて考えます…飲み会の幹事なんかにも役立ちますよ!
最後におふざけが過ぎましたが、臨床実習は学生の療法士としての一大イベントです。より良い経験をしていただくためにも今回のポイントが少しでもお役に立てれば幸いです。
本日は以上で終わります。
最後までご覧いただきありがとうございました!
参考文献
・シンプルに結果を出す人の 5W1H思考 [ 渡邉光太郎 ]
・会話例とワークで学ぶ理学療法コミュニケーション論 [ 三宅わか子 ]
・PT・OTのための これで安心 コミュニケーション実践ガイド 第2版 [ 山口 美和 ]
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