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リハビリテーションの臨床を行う上で必ずおさえておきたい思考力

こんにちは、cascade (@cascade1510 です!

私は普段、訪問リハビリテーションの業務に従事しながら、研究などを行っています。

そして普段このブログでは主に地域リハビリテーションについて記事を書いたりしています。

今回は病院でのリハにせよ訪問リハにせよ、リハビリテーションの臨床を進めていく上で私が最も大事だと考える思考についてお話ししていきたいと思います。

ネットやSNSなどいろんな情報に溢れかえっているこの世の中だからこそ改めて注意しておきたいことです。
※今回の内容はあくまで個人的な意見なので、1つの考え方だと思ってください。

 

臨床を進めていく上で大事なこと

臨床を進めていく上で今回話しておきたいこと、それは

「周りから得た知識や技術に論理的な根拠はあるか」

ということです。

 

「論理的に」

というのは、

 

「きちんと筋道立てて説明できるか」

ということです。

 

 

たとえば、1つの例として、

「椎間板にかかる力は立位姿勢よりも座位姿勢の方が大きいのだ」という話。

 

この話は、我々が臨床やっていく中で人から聞いたりして、当然のように言われ
ていることかもしれません。

 

そしてあなたはこの話だけを聞いて、

「へーそうなのか、じゃあ座る時間が長くなると腰を痛めやすいんだな」と解釈して、そのままどんな患者さんにもアドバイスしていますでしょうか⁈

 

実はこれは大変危険な考え方です。

 

「座位」と一口に言っても

「端座位(腰掛け座位)」なのか

「長座位(足伸ばした座位)」なのか

はたまた「胡坐位(あぐら座位)」なのか⁇

 

きっとそれぞれの座位の姿勢によって結果は変わってくるはずです。

 

さらに「端座位」でも

骨盤を起こした座り方か

骨盤を後傾させた仙骨座りのような座り方か

また背もたれのような支えがあるのかないのか⁇

などなどによっても変わってくるはずです。

 

 

そして、「椎間板にかかる力」とは、

どのような力で

どの場所を

どのような方法でみてるのでしょう⁇

 

 

このようなことがわからなければ、はっきりした事は言えないのではないでしょうか。

 

 

実はこの1つの例で挙げた話は、ある実験の結果を示した1つの論文によるもの
なのです。

 

上記の疑問は、これを読むと詳しく書いています。

ただし、元の論文を読もうとネット上で検索しても、購読料がかかったり見れなかったりして、難しい場合もあります。

 

しかしさらにネット検索などをしていくと、その論文の内容について詳細が書かれている記事もあったりします。
(※そこの情報の信憑性については各自で判断するしかありませんが。)

↓例えばこちら
https://www.physicaltherapist-k.com/entry/2018/05/11/001333

↓それからこちら
https://jinboojisan.com/%E5%BA%A7%E4%BD%8D%E3%81%A8%E7%AB%8B%E4%BD%8D%E3%80%81%E3%81%A9%E3%81%A3%E3%81%A1%E3%81%8C%E8%85%B0%E3%81%AB%E8%B2%A0%E8%8D%B7%E3%81%8C%E3%81%8B%E3%81%8B%E3%82%8B%E3%81%AE%EF%BC%9F/

 

自分にとって本当に必要な情報であれば、近くの大学の図書館でコピーをさせて
もらえることも多いです。

ちなみに私は、上記の元論文のコピーを近くの大学の図書館で手に入れました。

 

このような少しの努力で手に入る情報であればやってみて損ではないと思います。

でないと、自分が得た知識というものが本当に正しいものなのか、間違った解釈をしていないか、などの信憑性が乏しくなってきます。

そのような情報をさらに他の人に伝えていくと、伝言ゲームのようにどんどん解釈が変わった考えになってくる危険性もはらんでいます。

職場の先輩からの知識や、講習会など、いろいろなところで積極的に知識を取り入れていくこと自体は、すごく良いことだと思います。

しかしその知識について今一度自分の頭で考えてみるという作業をする必要があります。

・なぜそのような現象になるのか。
・AだからB、という論点があったとして、この論点に客観的な根拠があるかどうか。
・手技などについては、具体的にどのような手順を踏むのが妥当なのか。その根拠は何か。
・改善したという結果は、どのような人を対象にした結果であるのか。どのような人にでも当てはまるのか。

 

臨床ではこのように論理立てて考える習慣をつけておくのも必要なことかもしれません。

 

ちなみに、上記の椎間板への負担に関する研究、後に様々な人が研究をしていて、例えば下図に示したWilkeらの論文によると、立位の時に比べて座位では、姿勢によっては内圧が増えるものの、しっかりと骨盤を起こしたキリッとした端座位では、立位とほぼ同じかむしろ若干少ない結果にもなっています。

真実はどこにあるのでしょうか?

 

臨床と研究は相互に影響し合っている

時々、次のような議論を見かけます。

「目の前の患者さんを良くするためには臨床力しかないでしょ⁈」

「いやいや、研究があってこその臨床でしょう。そのやってる臨床にエビデンスはあるの⁈」

“たけ”
“たけ”
直接は言っていなくてもそういうニュアンスで言ってる人いたりするよね。・・・くだらないw
“cascade”
“cascade”
そうだね、このような「臨床」vs.「研究」のような構図になっていることが見受けられるけど、僕としては、「臨床」⇄「研究」という構図だと思っているんだよね。以前にツイートしたけどw

 

理論的な根拠があることで初めて次につなげたり積み重ねることができます

逆に理論的な根拠がないまま積み重ねていってできたものは、その土台が崩れてしまうと全部なくなってしまう危険性もあります。

こうなると本当に悲しいですよね。

 

なので、日々の実務や臨床で疑問に思ったことについて、まず理論的な仮説を立てます。

 

その仮説を立てて終わるのでなく、今度はその仮説を論理的に検証していきます。

 

このように理論と根拠をどんどん積み重ねていくことで「知のストック」を増やしていくのです。これは「研究」のプロセスに他なりません

 

この研究で得られた知見は根拠を持って臨床に活かされます。

そして次の臨床での疑問にまたぶち当たっていきます。

これを繰り返していくことで、より高い臨床力を得ることもできるはずです。

 

とまあ、いろいろなことを書きましたが、あくまで個人的な意見です。

根拠を持って説明できることが大事だと考えてるんだよー、ていうことが少しでもわかってもらえたら嬉しいです^ ^

最後まで読んでいただきありがとうございます!

“cascade”
“cascade”
なお、note(Kazunori Kojima@研究の進め方実録)では臨床研究の進め方を私の実録をもとになるべく分かりやすく解説しています。非常に丁寧にまとめていますので、臨床研究を行っておられる方、これから始めたい方はこちらもご参照ください。
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たけ
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