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今さら聞けない⁈多職種連携の重要性:具体例を元にわかりやすく解説

“cascade”
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こんにちは、cascade (@cascade1510 です!

近年は多職種連携が当たり前に行われる環境ができていますが、今回はこの他職種連携について今一度考えるような内容をお話したいと思います。

身体的なアプローチだけではなく他職種でアプローチすることの重要性

セラピストのみなさんは、患者さんや利用者さんのことを考えながら日々臨床に取り組んでいることと思います。

臨床では対象者である患者さんや利用者さんに向き合って関わる時間が非常に大切です。

そしてその関わり方は、体の動きのことや動作能力について関わるのはもちろんのことですが、リハビリテーションと言う意味を考えると、本人の身体だけでなく、さらに周りの環境についても考えてアプローチしていく必要があります。

そしてさらに言うと、対象者に関わっていない時間にいかに働きかけるか、ということも大事です。

例えば訪問リハビリテーションなどの現場においては、1週間のうちに2日だけ、それから40分の訪問、という形式の介入が多いですが、我々セラピストが直接関われる時間はたかだか80分です。

介入して成果を出したり、セラピストの治療効果を持続させるにはあまりに短い時間といえます。

そこで重要なキーとなるのが、その人に関わっている人たちの協力です。

特に他の専門職との関わり合い・・すなわち多職種連携が必須です。

医療介護福祉領域の他職種連携とは

さて、多職種連携についてですが、医療介護福祉の領域ではどのような職種があるのでしょうか?

・医師

・看護師

・臨床検査技師

・ソーシャルワーカー

・ケアマネジャー

・介護職

・福祉用具業者

・・・などなど思い浮かぶと思います。

実際には下のような感じです。

医師 理学療法士 医療ソーシャルワーカー 介護福祉士
歯科医師 作業療法士 診療放射線技師 社会福祉主事
看護師 言語聴覚士 臨床検査技師 身体障害者福祉司
准看護師 義肢装具士 衛生検査技師 介護支援専門員
保健師 視能訓練士 臨床工学技士 ホームヘルパー
助産師 柔道整復師 管理栄養士 ガイドヘルパー
薬剤師 あん摩マッサージ指圧師 栄養士 福祉用具プランナー
歯科衛生士 はり師・きゅう師 障碍者職業カウンセラー 福祉用具専門相談員
歯科技工士 臨床心理士 精神保健福祉士 福祉住環境コーディネーター
救急救命士 音楽療法士 社会福祉士

ざっと見ただけでもスゴい数ですね!

でも、実はこのような職種だけではなく、本人の家族や近隣の住民など、いわゆる「インフォーマルなもの」も重要とされています。

このように利用者さんのリハビリテーションには多くの人が関与してくることがわかります。

連携した方が良い職種は意外と多い

その対象者に対してすべての職種が必要なわけではありませんが、関連しているため連携をしたほうが良い職種は意外と多いです。

たとえば、訪問リハビリテーションの場面で利用者さんの次のような訴えがあったとします。

「最近、眠れないんです。」

この一言に対して、その場では、

「ああ、そうなんですね。」

と共感をすることしかできないかもしれません。

しかし、この訴えの奥にひそんだものを少しでも読み取ろうとすることで、小さな問題だとやり過ごすことなく、次なる大きな問題を未然に防ぐこともできるかもしれません。

●なぜ眠れていないのか?

●どんなときに眠れないか?

この原因を探ってみることも時には必要かもしれません。

この「眠れない」というキーワードから、

・体調面

・精神面

・栄養面

・生活環境面

などざっくりとは思い浮かぶのではないでしょうか。

そこで、さらに

「眠れない原因とかなにかあるんですか?」

など聞くことによって、思い当たることを話してくれるかもしれません。

そうすると、次の手も打てるかもしれませんよね。

しかし、だからといってひとりで解決しようとしないほうがいいです。

全知全能でなんでもできるセラピストなどいません。

ここで、連携の出番です。

どんどん他の職種、専門家を頼っていきます。

たとえば、「最近、頭が痛くて眠れないんです。」との返答があれば、体内の重大な疾患が潜んでいる可能性もあるため、医師や看護師などに相談する必要があります。

また、「お金のことが心配で眠れない」といった訴えがあるとしたら、経済状況や生活状況など考える必要があり、その人を詳しく知っているソーシャルワーカーやケアマネジャー、もしくは家族などとも相談する必要があるかもしれません。

もしくは、不安など精神的な面が問題であれば、精神保健福祉士や臨床心理士や精神科医への相談にもつなげることもできます。

もちろん、臨床では一対一で向き合うので、その人のことをその場では一番に知っていなければいけません。しかし、その解決方法は自分だけの一手ではありません

私は、対象者の心身状態やQOLのためにうまく連携を図ることも重要な臨床力だと考えています。

他職種連携も進化する必要がある

さて、他職種連携の必要性がしっかりと見えてきていることと思いますが、その連携の仕方も今までと従来と同じではなく、進化していく必要があります。

これまでは、下の図のように、医療業界では医師が、介護業界ではケアマネジャーが中心となって、それぞれともすれば一方通行の指示や報告で終わっていたかもしれません。

しかし、利用者の方により良い支援を行うためには、常に専門家同士がそのスキルを最大限に発揮してタイムラグを発生させないために、それぞれの職種がチームとなって双方向に働きかけることが重要です。

現在ではこのような考え方が主流になっており、以下の図のような双方向の関係が重要視されています。

本日は以上で終わります。

今回、多職種連携の重要性が分かったと思いますが、連携をする相手についてよく知らなければ、円滑な連携も難しくいですよね?

そこで、次回からは、セラピストを取り巻く他の職種についてひとつひとつ深掘りしていきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました!

“cascade”
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note(Kazunori Kojima@研究の進め方実録)にて臨床研究の進め方を私の実録をもとになるべく分かりやすく解説しています。非常に丁寧にまとめていますので、臨床研究を行っておられる方、これから始めたい方はこちらもご参照ください。

参考文献

・鶴本和香. 医療連携、医療ニーズが高い人への支援のポイント. 中央法規, 2018.
・公益社団法人日本介護福祉士会. 介護福祉士がすすめる多職種連携. 中央法規, 2018.
・在宅ケアを支える診療所全国ネットワーク編著. 在宅医療実践マニュアル. 医歯薬出版, 1997.
・栗原敏. 医療入門、よりよいコラボレーションのために. 医学書院, 2006.

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たけ
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理学療法士&ピラティスインストラクターとして姿勢・パフォーマンス改善の専門家として活動中!発信情報や経歴の詳細は以下のリンクよりご覧いただけます。
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