こんにちは、cascade (@cascade1510 )です!
前回までの記事では、
「患者さんや利用者さんに向き合って関わる時間がとても大切だけど、関わっていない時間にいかに働きかけるか、ということも大事だ」
ということで、「多職種連携」をテーマとして書いていっております。
前回は、ケアマネジャーさんとの連携について書きました。
さて今回は「看護師」もしくは「准看護師」さんについてです。
理学療法士や作業療法士などのリハビリテーション専門職が医療介護の現場において最も連携を取らなければいけない相手かもしれません。
しかしその連携がなかなかうまくいってないという場面も数多く聞かれます。
看護師さんとしっかりとした連携をとることで、危険な状態を回避する、といったリスク管理にもなります。
そこで当たり前のように感じている「看護師との連携」について、今一度確認していきたいと思います。
看護師は全身状態や体調管理のプロ
看護師とはどんな職種か!?というのは、もう説明しなくてもいいぐらい皆さんご存知だと思います。
ひとまずここで、まず国際看護師協会の定義する「看護」について載せてみます。
看護とは、あらゆる場であらゆる年代の個人および家族、集団、コミュニティを対象に、対象がどのような健康状態であっても、独自にまたは他と協働して行われるケアの総体である。看護には、健康増進および疾病予防、病気や障害を有する人々あるいは死に臨む人々のケアが含まれる。また、アドボカシーや環境安全の促進、研究、教育、健康政策策定への参画、患者・保健医療システムのマネージメントへの参与も、看護が果たすべき重要な役割である。
引用元:日本看護協会 国際部訳、2002年
ええと、分かりにくくなりましたね。
誤解を恐れずに言うと、要は、
「看護師は全身状態や体調管理のプロ」
ということです。
看護師のできること
看護師さんのできることとしては以下のようなものがあります。
・医師の診察補助
・手術の補助
・バイタルサインの管理
・傷の処置
・気管切開部分の管理
・胃ろうやバルーンカテーテルの管理
・採血や注射
・点滴や経管栄養の処置
・吸引吸痰行為
・肌の状態管理や爪切り
・入浴の介助
・浣腸や摘便など排泄の管理
・服薬管理
などなど
体調や健康の管理について総合的に行っています。
看護師との密な連携を!
このような内容の行為の中には看護師さんの業務独占となっているものも多く、他の職種が行うことが禁止されていることもあります。
なのでリハ職の立場としては、中途半端に関わってはいけないと思い、全く見ようとしない人もいるかもしれません。
しかし、「細かいことは分からないが何かおかしい」と感じることが大切で、その「何かおかしい」ということを看護師さんに伝えるだけでも多職種連携の観点からは重要だと思います。
その報告に基づいて看護師は速やかに評価して対処できるかもしれません。
例えば病院の中で患者さんに対するリハビリテーションを行っている際に、
・いつもより呼吸が荒い
・お腹のほうに痛みがある
・顔色がいつもと違うような気がする
・皮膚に赤い斑点がある
・発汗がいつもより多い
このように、普段と何かが違うということをそのまま伝えるとよいです。
血圧や脈拍などのバイタルサインに異常があれば、その際のリハビリテーションの強度も調節する必要かあるかもしれませんね。
場合によっては、その場で電話などの連絡を取らなくてはいけないかもしれません。
このようにしてなるべく密な連携をしていくのがよいと思われます。
そこで大切な事は、
「正直判断できなくてよくわからない場合は、1人で解決しない!」
ということです。
実際に自分では判断がつかないよくわからない場面に遭遇することが多々あります。
我々リハ職もこれまでに色々勉強していろいろ学んでいるつもりでも、やはりわからない事はあるはずなので、こういう時はプロに任せるのが得策です。
知ったかぶりをして、それらしい対処をしたつもりで放っておくと、後でとんでもない結果になることも十分に考えられます。
そういう意味でも、やはり「連携」が必要になってきます。
看護師との意見の食い違いを防ぐ
連携を取る必要があるもう一つの理由が、「同じ目標に向かって意見を統一しておくため」ということです。
これはどういうことでしょう?
例えば、次のような経験ありませんか?
・入院中にトイレへ1人で行けるように練習してほしいのに、病棟では全介助もしくはオムツとなっている。
・しっかり覚醒してリハビリを頑張って欲しい時に、眠気の副作用のある薬を飲んでいて覚醒が低い。
・訪問リハビリの時間に家に行ってみたら、点滴中であり十分なリハビリが行えなかった。
・下肢のROM運動をおこなっていたら、大転子部分に傷があることに気づかずに出血させてしまった。
などなど…
このような事は全て看護師との連携が不足しているために生じています。
連携をしないでおくと、それぞれの職種でのスタッフが1番にすべきことが最優先されてしまいます。
するとどうしても考えや行動にズレが生じてしまいます。
このズレを修正していくためにコミュニケーションをしていくことが大切です。
でないと一番被害を被るのは、当の患者さんや利用者さんになってしまうからです。
看護師をはじめ病棟のスタッフはみんな忙しいことが多いため、どうしても手っ取り早く済ませてしまうことも多いですが、対象者さんの最終的な目標に向かって、スタッフ全員が同じ方向を向くべきだと思います。
結局はどこでも看護師との連携が重要
チーム医療、多職種連携、と言われ続けていますが、やはり同じ職種の部署単位で動くことが多い現状において、ともすればついつい同職種だけで動いてしまうことがあるかもしれません。かく言う私もそうです(^_^;)
しかし、上記のことを踏まえて今一度意識してみてはどうでしょうか。
以下の図をご覧ください。
この図は地域の連携を表す図ですが、病院などの医療保険分野から訪問や通所などの介護保険分野、さらには図には無い保険外の分野や行政の範囲まで、いたるところに看護師はおられるので、それぞれ上手な連携を取っていくことが結局は世の中のためになるんだ、ということだと思います。
おわりに
今回は、看護師との連携ということで、普段何気なく接している看護師さんとの連携の仕方についてもう一度確認を含めて書いていきました。
主にリスク管理と言う観点が大きいですが、これも臨床の技術の1つだと思っています。
対象者だけに目を向けるのではなく、その周りの環境も考慮に入れながら動くことも、臨床家の大事な役目だと思います。
今回の内容が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
参考文献
・澤村誠志、奥野英子、編、リハビリテーション連携論 ユニバーサル社会実現への理論と実践、三輪書店、2009.
・牧田光代、金谷さとみ、編、標準理学療法学 地域理学療法学、第4版、医学書院、2017.
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