こんにちは。主に地域リハビリテーション関連の記事を中心に発信しているcascade (@cascade1510 )です。
今回は、今一度制度の話に立ち返って説明をしていきたいと思います。
理学療法士や作業療法士などで働いている方々には保険制度の知識が必要となることも多いかと思います。
病院で勤務されていると「医療保険制度」が大きなウエイトを占めます。
そして、通所リハや訪問リハなど行なっている地域においては、「介護保険制度」が主体となって動いていきます。
この介護保険について、なんとなくの理解の人もいるかもしれません。
「ええと、例えば要介護認定がされて、要介護2とかの認定を受けたら介護サービスが受けられるんでしょ⁈」
このような感じでしょうか。
では「総合事業」についてはどうでしょうか。
あと「介護予防事業」については⁇
これらについて、わかっているようでわかっていない方がおられるかもしれません。
実はこれらも介護保険制度の中の「地域支援事業」に組み込まれています。
割と似たような言葉が多いためにごっちゃになっている人もいるかもしれません。
そこで今回は今一度整理するために、介護保険制度の中の「地域支援事業」について絞って整理してみたいと思います。
介護保険制度のおおまかな枠組み
介護保険制度はまず、大まかな枠組みとして主に以下の3つからなります。
「介護給付」
「介護予防給付」
「地域支援事業」
こちらの図を参考にしてください。
つまり、上の例で挙げたような、介護保険の認定を受けて要介護認定を受けた。
そしてサービスを利用する、みたいな話は上の2つ(介護サービス、介護予防サービス)に該当します。
要介護1から要介護5までの人は介護サービスによる「介護給付」、
要支援1と要支援2の人は介護予防サービスによる「介護予防給付(予防給付)」
この2つについては「給付」であるので、必要なサービスを必要なだけ利用することができる、といったものです。私も普段はこれらの給付サービスを利用した訪問リハビリの業務を行っています。
今回の話はそれとは別の、主に「地域支援事業」についてですが、この地域支援事業については給付という形をとりません。
とりあえず細かく見ていきましょう。
地域支援事業の内わけ
さて、地域支援事業の中には次の項目があります。
1.「介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)」
2.「包括的支援事業」
3.「任意事業」
このうち2番目の「包括的支援事業」は地域包括支援センターがケアマネジメント支援や相談に応じたりする事業のことです。
そして3番目の「任意事業」は地域の実情に応じ、市町村独自の発想や創意工夫した形態で実施されるものです。
この2番目と3番目についてはリハ職が関与しにくいところなので省略させていただきます。
今回話したいのは、1番目の「介護予防・日常生活支援総合事業」です。
一般に「総合事業」と呼ばれているものはこれにあたります。
2015年の改正によってできたものです。
この総合事業の中に
- 「介護予防・生活支援サービス事業(サービス事業)」
- 「一般介護予防事業」
があります。
さてこの①と②の2つは何が違うのでしょうか?
簡単に言ってしまうと、対象者が違います。
まず、①介護予防・生活支援サービス事業(サービス事業)については、2018年の改定時点で、対象者として、
■要介護認定を受けた人の中で要支援1と要支援2の人(2019年現在検討されている案としては、要介護1と要介護2の人も対象に含める検討がなされています)
■要介護・要支援の認定はされなかった(非該当だった)ものの、やや体の衰えがあると考えられるもの。
となっています。
え?「やや体の衰えがあると考えられるもの」って、どんな人⁇
実はこれを判別する25項目のチェックリストというものがあります。
このチェックリストの基準に当てはまるものがこの総合事業のサービスを受けられるということです
では、②一般介護予防事業についてはどうか⁈
こちらの対象者は、要介護認定や要支援認定などの認定がされなかった人、もしくは認定も受けようとしていなかった人、要するに一般の65歳以上の人たちを指します。
「一般」介護予防事業は、「一般」の人が対象、と覚えると覚えやすいでしょう。
対象者の違いはこのようなところです。
では次に内容について見ていきましょう。
介護予防・生活支援サービス事業(サービス事業)
この中での主な内容としては、
・訪問型サービス
・通所型サービス
があります。
そして訪問型と通所型それぞれの中身として、どちらも多様なサービスということでA類型、B類型、C類型、(D類型)に内容的に分かれてきます。
なんだか頭がこんがらがってきたなという人は、もう一度最初からの分類の枝分かれについて図でも確認しましょう。
さてそれではA類型B類型C類型(D類型)のそれぞれについてですが、実は通所型も訪問型も同じアルファベットの類型では同じような内容となっています。それぞれを見ていくと、
A類型
今まで資格を持ったヘルパーさんや介護福祉士が行っていた介護を研修を受けた一般の人たちが行うサービス
B類型
近所の一般の住民がボランティアとして支えていくタイプ
C類型
リハ専門職などが介入して、3ヶ月など期間を限定して機能を改善していこうとするタイプ
D類型(訪問型のみ)
対象者がどこかに移動するときの生活支援
これまでは、ホームヘルパーや介護士といった専門職が実施してきた内容の事を、一般の人や研修を受けた人にも行えるようにして、担い手を増やす。
そしてこのように多様なサービスを設けることによって生活者を支援していこうというものです。
一般介護予防事業
さて、ここまでは「介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)」の中でも①介護予防・生活支援サービス事業についての内容を見ました(ヤヤコシイ…)
次に、②一般介護予防事業についての内容です。
上でも記載した通り、対象は一般的な全高齢者です。
そして、この一般介護予防事業の中で取り上げたいのが以下の2つです。
・地域介護予防活動支援事業
・地域リハビリテーション活動支援事業
まず、「地域介護予防活動支援事業」についてですが、これは例えば地域内で住民が自主的に体操サロンなど行っているような活動を支援していきましょうというものです。
そして、2つ目の「地域リハビリテーション活動支援事業」についてですが、簡単に言うと、このような住民主体の活動をリハ専門職が支援していくというものです。
その支援の仕方については色々と切り口があるかと思いますが、介護予防につながりそうなアドバイスなどを専門職の視点からおこなっていくものです。
先日私も、地域包括支援センターからの依頼で、住民主体のサロンの集まりに参加し、こちらの提案で姿勢と歩行状態をアプリなどでチェックし、個別に問題点対する日常でのアドバイスなどさせていただきました。
このような活動を行っていくことで、地域の中での理学療法士や作業療法士の認知度も上がっていくでしょうし、その社会的な存在感によって需要も上がっていくのではないかと思います。
さて、今回説明してきたものを図にするとおおまかに下の図のようになります。
このように、地域支援事業の介護予防に関する枠組みが階層となって分かれてはいますが、結局は大きな目的である「住民の健康寿命を伸ばしてコストを減らしてハッピーになる」という考えには変わりありません。
まとめ
今回は、主に介護予防関連について介護保険制度の枠組みから説明して位置づけを確認してみました。
我々リハビリテーション専門職がこれらの枠組みの中でどのように活躍していくべきかを考えていく必要もあるかもしれません。
本日は以上で終わります。
今回のこの記事が、皆さまの理解に少しでもお役に立てたなら幸いです^ – ^
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