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糖尿病と理学療法②~ブドウ糖ってそもそもなに?~

こんにちは、糖尿病認定理学療法士のようぞうです!

前回、「糖尿病と理学療法①~糖尿病とは?疫学と三大合併症の概要~」で糖尿病について簡単に説明してみました。

もう一度復習しておくと、糖尿病とは

インスリンが十分に働かないために血液中にブドウ糖が増えてしまう病気

ということでしたね。

 

この糖尿病には4つの類型があると書きましたが、いずれの類型においてもキーワードとなるブドウ糖(血糖)” と インスリンのうち、今回はブドウ糖とは何か?に焦点を当ててお話しします。

 

ブドウ糖ってなに?

ブドウ糖が増えてしまうと、「高血糖」と言われ糖尿病へと移行していきます。

ところでこのブドウ糖とはいったいなんなのでしょうか?

病気を引き起こすものであるならばLDLコレステロールのような悪者を想定してしまいがちです。しかし、ブドウ糖は悪者ではなく、身体に必要なものです。

 

例えば「頭に糖分が回ってないから、ぼんやりしてる」なんて会話を聞いたりしたことがあるかも知れません。

また部活などで激しく動いたあと、疲れ切るのを通りこして気分が悪くなったりしたことがある人もいるかも知れません。

 

これらは糖分が不足してしまったために起きている現象なのです(必ずしもそうとは言いきれないケースもありますが…)。

 

このように糖分が不足した状態を低血糖と言います。

この低血糖というリスクは糖尿病と理学療法を話す上で非常に重要なリスクになりますが、長くなりますので今後の記事でしっかりと説明しますね。

ここではなにか言いたいかというと

“ブドウ糖は身体を動かすのに必要なエネルギーである

ということです。

そう、車で例えればガソリンのようなものなのです。

したがってガソリンがなければ車が走らないのと同じでブドウ糖がなければ人は生活できません。

 

ブドウ糖が多いとなぜいけないの?

上記のように考えると、ブドウ糖、すなわちエネルギーが多いことはとりたてて悪いことではないように感じるかも知れません。

ただしそれはあくまでも適正量に保たれていれば…の話になります。

 

ブドウ糖を運ぶ器官は当然ながら血液の流れる血管です。

この血管に高い濃度のブドウ糖が流れて続けてしまうと、血管がもろくボロボロになってしまうのです。

 

糖尿病は初期の頃は痛みもなければ、しびれも起こりません。

このため、健康診断などで指摘されてもほったらかしてしまいがちです。

 

しかし、知らず知らずのうちに身体内の血管を破壊し、やがては慢性合併症を引き起こします。

悪くすれば大血管障害といわれる、壊死、脳血管障害、心筋虚血などに繋がってしまいます。

脳血管障害を発症された患者さんに合併症として糖尿病があるのはこういった理由です。ボロボロになった血管が破れたり詰まったりしてしまうのです。

 

したがって糖尿病と言われてもピンと来ていない患者さんにこの病気を説明する際には、

糖尿病≒”全身の血管病”

という風に説明すると、少しは切実になって聞いてもらえるかもしれません。

 

また患者さんに対して、療養指導を行う上でネガティブな方向から(すなわち脅すように)、やる気を出していただくことはあまり良くない方法なのですが、情報提供の一つとしてこういった資料を提示することも大事かもしれません。

厚生労働省 生活習慣病対策室「糖尿病を放置した働き盛りの今」

 

この冊子の内容はかなりシビアな内容です。

しかし、誰にでも起こりうることなので少しでも患者さん(特に若い方)には目を通してほしい内容です。

 

まとめ

今回は以上で終わります。

内容をまとめると以下の通りです。

▶︎ブドウ糖は人間にとって欠かせないエネルギーである。

▶︎高血糖状態が続くと身体内の血管がもろく、ぼろぼろになってしまう。

▶︎糖尿病≒全身の血管病であり、合併症をひきおこす。

 

最後までお読みいただきありがとうございました!

 

今回は良く知っているようで知らないブドウ糖を中心にお話しさせていただきました。

患者さんから「血糖が高くてどうしていけないの?痛くもかゆくもないし」という言葉が出てくるようであれば、ぜひ上記のお話を親身になって話してあげて下さい。

そうするとこの人はリハビリだけでなく、全体を診てくれてるんだな、と思って下さるようになり、信頼してもらえるようになります。

もちろんそれに応えるための知識・技術も必要ですが・・・今後の記事で少しずつ理解していただければ幸いです。

“たけ”
“たけ”
ようぞうさん、今回もわかりやすい記事をありがとうございました!

記事で提示される情報量も程よく、普段糖尿病に興味がない方も読みやすい分量で良かったですが、糖尿病の一番大事なところから解説してくれているので最高ですね。ありがとうございます!

糖尿病って、ほんとみんな知っているようできちんと知らない病気なんだけど、誰でもなる可能性があって適切な指導が将来を大きく左右する病気だと思うので、少しでも多くの方にこういった知識もお届けしたいですね。今後の情報も楽しみにしてまーす♪

なお、今回は糖尿病ということでお話をされておられましたが、この記事を見られた方は血糖値のコントロールは減量や体調管理にも非常に重要な知識であるということも頭に入れて読んでいただくと色んな場面で役立つ知識だと思いますのでご参考までに。

 

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ようぞう
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【理学療法士/日本糖尿病認定療養指導士】 ある時に思い立ち、町や村を直す設計技師から人の身体を治す理学療法士に転身しました。そうして憧れの理学療法士になり、理学療法士にできることを探していたら、糖尿病理学療法に行き当たりました。そこで思うことは糖尿病は誰にでもなりうる病気であること、そして誰にでも避けることのできる病気であることを知りました。僕が知ってることを紹介していくことで、少しでも糖尿病を知り、そして糖尿病理学療法という世界に興味をもって貰えたら嬉しいです。
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