こんにちはリョウ(@HealthCare_ryo)です。
4月になりこれから初めて現場に出られる人も多いと思います。
そんな時期だからこそ対象者を良くすることだけでなく
悪くしてしまうリスクについても考えておかないといけません。
急性期にしろ回復期にしろ維持期にしろ
臨床で活動している人は一度は経験したことがあるでしょう。
・急に倒れた
・呼吸が止まっている
・心停止している
このような『予期せぬ急変』を。
今回はそんな『予期せぬ急変』についてのお話です。
予期せぬ急変前の予兆
急変前には予兆があるとされています。
臨床現場で対象者がいつもと比較して
・顔色が悪い
・元気がない
・呼吸が荒い,早い
・呼びかけへの反応が悪い
・汗を大量にかいている
おそらく多くの方がこのような経験をしたことがあると思います。
そして医療人であればいつもとの違いに気づき
原因は何であるのか?
普段との違いは何を意味しているのか?
を的確にアセスメントする必要があります。
実際に心停止した患者の70%程度は8時間以内になにかしらの呼吸器症状の増悪所見があったとする報告もあります。
このように予期せぬ急変前には予兆があるとされています。
現場で活動する医療人はこの予兆をいかにして敏感に感じ取り
適切に対応し生命の危機に陥る前に早期にリスク管理する能力が求められます。
もしもの急変時に対応できるよう心肺蘇生法を学んでおくことはもちろん必須ですが
急変そのものを『予防』することも重要です。
バイタルサインの評価
予期せぬ急変前の予兆として
・顔色が悪い
・元気がない
・呼吸が荒い,早い
・呼びかけへの反応が悪い
・汗を大量にかいている
などを挙げました。
ではもう少し具体的にバイタルサインに注目してみましょう。
例えば病院内であれば心停止の主な原因は
・不整脈
・急性呼吸不全
・低血圧,ショック
などが挙げられます。
また、心停止6時間以内に現れる警告として下記のサインもあります。
・平均血圧:70mmHg以下,130mmHg以上
・脈拍数:45回/分以下,125回/分以上
・呼吸数:10回/分以下,30回/分以上
・胸痛
・意識変容
我々は臨床現場で対象者と接し
運動負荷を与える立場にあります。
より敏感に対象者の変化を感じ取り適切な対応をする能力が必要です。
評価の流れ
では実際に評価の流れを解説していきます。
評価のポイントとしては『迅速評価』『一次評価』『二次評価』です。
迅速評価
迅速評価とは読んで字のごとく迅速に評価することです。
具体的には「呼吸」「循環」「外見と意識」を数秒で評価します。
【呼吸】
・呼吸の早さ深さはどうか?頻呼吸か?
・努力呼吸となっていないか?
・SpO2値の低下はないか?
・狭窄音などの異常音はないか?
【循環】
・顔面蒼白ではないか?
・四肢末梢の冷感はないか?
・冷汗はないか?
【外見と意識】
・反応が鈍くないか?
・視線が合うか?
・苦痛様の表情はないか?
迅速評価で異常があれば一次評価を行います。
一次評価
一次評価では全身のABCDEを評価します。
A:Airway 気道
B:Breathing 呼吸
C:Circulation 循環
D:Disability 中枢神経
E:Exposure 脱衣と外表,体温
上記のABCDEをAから順に評価していきます。
【A:気道】
・気道閉塞の確認
・発語の確認
【B:呼吸】
・呼吸数測定
・呼吸困難感や努力呼吸の評価
・SpO2値の測定
・聴診
【C:循環】
・血圧と脈拍の測定
・心電図解析
・冷汗や冷感の末梢循環評価
・尿量の確認
【D:中枢神経】
・JCSやGCSによる意識評価
・瞳孔所見
【E:脱衣と外表,体温】
・体温測定(保温に努める)
・外表観察(発赤や出血の確認)
一次評価後に呼吸と循環の安定化が得られたら二次評価を行います。
二次評価
二次評価は急変につながった徴候の原因を探るための背景を評価していきます。
二次評価ではSAMPLEがよく活用されます。
S:Sign 症状
A:Allergy アレルギー
M:Medication 服薬状況
P:Past history 既往歴
L:Last meal 最終の食事
E:Event 現病歴
上記を系統的に評価していきます。
【S:症状】
・症状や徴候がいつから生じているのか?
【A:アレルギー】
・薬や食べ物、環境要因などを評価
【M:服薬状況】
・どんな薬剤を使用しているか?なぜ使用しているか?
【P:既往歴】
・いままでの既往歴や手術歴、健康状態など
【L:最終の食事】
・食事の内容と時間帯
【E:現病歴】
・急変に至るまでの経過
上記のように迅速評価、一次評価、二次評価と順を追って適切な対応を行えるようにしておくことが重要です。
まとめ
臨床現場で働く人にとって『予期せぬ急変』に遭遇することは必ずあります。
特に対象者に対して運動負荷を与えるような職種にとってはそのリスク・確率は格段に上がります。
そんな時にいかに適切な対応ができるか。
いかに『予期せぬ急変』を
『予期できた急変』
『予期せぬ急変の予防』
とできるかは対処する我々の力量次第です。
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