こんにちは、骨折研究をしているまっつぁん(@fractureprevent)です!
今回は児童の骨折について調査した海外論文をご紹介します。
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骨折は高齢者だけではなく児童にも頻発する
骨折は高齢者だけでなく児童にも頻発することはみなさんよくご存知と思います。
何を隠そう、私自身もその時期、自転車ごと転倒して右腕を石にぶつけ上腕骨骨幹部骨折をした経験があります。
児童における骨折はその治療費もさることながら、上肢の牽引、ギプス固定といった保存療法が多いので、子供にとっては涙の出るような大変な治療となります。
このような児童の骨折や外傷発生は防ぎたいわけですが、実際にはどれくらいの頻度で発生し、どのようなことが関連して発生しているのでしょうか。
今日は海外の報告ですが、1048名の児童を2.5年間追跡調査し、どれくらいの上肢外傷、骨折が発生したのか、その要因は何だったのかを調べた論文1)を紹介します。
J. Nauta et la:Upper extremity injuries in Danish children aged 6–12, mechanisms, and risk factors
デンマークの6歳から12歳の児童がこの研究に参加しました。
著者らは児童の日中の活動量を測定するために児童の身体に1週間活動量計をつけ、休んでいる時間と運動をしている時間を測定しました。
その後上肢の外傷発生を追跡調査しました。
結果と解釈
結果、2.5年間で128例の上肢の外傷が発生しました。
一番多かったのは捻挫で55%、次に多かったのは骨折で23%の発症率でした。
外傷の発生原因は転倒が53%と半数を占めました。
活動量計の結果を見ますと、活動量が高い児童ほど外傷の発生率が低く、休息時間が多いものほど高いという結果でしたが、2.5年間の経過時間を加味した解析を行ってみると外傷発生は女子に多い傾向があり、9-12歳という時期に有意な関連があるという結果でした。
活動性の低いものは女子に多かったことから、性差によるスポーツや習い事、遊び方の違いが結果に影響を与えているのだろうと最後に著者らは述べています。
また、9-12歳の時期に外傷が多いというのはスポーツクラブへの参加の増加などの影響かもしれませんね。
日本では児童の運動能力が低下傾向にあるようです2)。
子どもの”ロコモ”や“肥満”の問題もよく目にします。
今回の研究では活動量の低い児童に外傷発生が多いという結果もあったことから、今後日本では運動習慣のない児童に骨折が増えるかもしれません。
まずは親が家庭教育の中でそのことに気づき、栄養面や活動面でのサポートをしていくことが大切に感じます。
参考資料
1)https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/sms.12617
2)https://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2014/10/14/1352493_02.pdf
本日は以上で終わります。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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