整形外科

姿勢による椎間板圧縮力の違い

こんにちは!
理学療法士のこじろう(@reha_spine)です^^

CLINICIANSの中で主に腰痛に関する内容をアップしております。

過去の記事になりますのでこちらも合わせて読んで頂ければ幸いです。

非特異的腰痛の理解を深める〜上臀皮神経障害についての基礎的知識〜上臀皮神経障害による疼痛について知りたいですか?本記事では、非特異的腰痛の理解を深める知識として上臀皮神経障害についての基礎的で重要な点を丁寧に解説しています。腰痛治療に携わるセラピストは必見です!...
梨状筋症候群についての基礎知識〜症状、機能解剖、腰椎疾患との鑑別〜梨状筋症候群について知りたいですか?本記事では、梨状筋症候群についての基礎知識(症状、機能解剖、腰椎疾患との鑑別)についてわかりやすく丁寧に解説しています。セラピストの方は必見です!...
仙腸関節障害による疼痛の特徴こんにちは、理学療法士のこじろうです! 皆さんは臨床や日常の中で「腰殿部痛」によく遭遇することがあると思います。 腰臀部痛に...
椎間関節由来の腰臀部痛の解釈〜機能解剖や出現部位・頻度から評価する鑑別ポイント〜 こんにちは、理学療法士のこじろうです! 患者さんや自分自身の腰痛に悩んでいませんか?? 以前に仙腸関節障害に...

 

 

今回は『椎間板圧縮力』について考えていきたいと思います。

 

腰部疾患、特に椎間板性腰痛ではこの椎間板圧縮力を理解しておくことが重要になります。

 

なぜなら・・・

 

全腰痛患者のうち『椎間板性腰痛』の割合は

 

13%

 

も占めているとの報告があるからです。

 

こちらの記事を読んで頂ければ、腰痛患者の割合について詳細に記載しています。

原因がわからない腰痛は85%というのはもう間違い!?論文からわかる過去と現在の非特異的腰痛の考え方原因がわからない腰痛は85%というのは既に昔々のお話しであり、画像診断の発達した現代においては間違いです!本記事では、論文からわかる過去と現在の非特異的腰痛の考え方について丁寧に解説しています。セラピストの方は非必見です!...

 

椎間板圧縮力の危険水準は?

米国のNational Institute of Occupational Safety and Health(国立労働安全衛生研究所)によって行われ研究では、検体の脊柱に機械的に圧縮力を加え、年齢・性別を総合的に考慮し、

 

340kg重以上の椎間板圧縮力」

 

を組織損傷の危険水準として定めています。

 

このような負荷が積み重ね生じることで椎間板への機械的ストレスは増強してしまいます。

 

そして、その結果・・・ぎっくり腰や椎間板ヘルニアへと末路を辿ることも十分考えられます。

 

 

では、どのような姿勢や動作が340kg重を超えるのでしょうか?

 

姿勢の違いによる椎間板圧縮力の大きさ

まず、ここではL4/5間の椎間板に対する圧縮力について説明します。

①立位姿勢
90kg重

②直立位からのおじぎ姿勢
200kg重

③腰をかがめて20kgの物を持つ
420kg重

④パワーポジションで20kgを持つ
310kg重

実際に臨床の中でも、何kgぐらいの物は持っていいの??と患者さんから聞かれた経験はありませんか?

 

何kgと言われても??って感じる人は多いのではないでしょうか。

 

しかし、そんな時にこれらの姿勢とそれぞれの椎間板圧縮力を理解していれば、患者指導の際に参考になるのではないでしょうか。

 

 

そして、おじぎ姿勢を取るだけでも立位時と比較すると

 

倍以上の力

 

が椎間板にかかっているということも理解できます。

 

 

つまり、おじぎ姿勢での洗顔や歯磨き動作でも立位時に比べて倍以上の負荷が椎間板にかかっていることになります。

 

パワーポジションによる姿勢・動作指導

同じ20kgの物を持つ動作でも姿勢の違いによって、椎間板への圧縮力が変化することはご理解頂けたと思います。

 

では実際に腰痛患者さんに指導するにはどのようにすれば良いのでしょうか??

 

 

先ほども出ました『パワーポジション』を参考に説明していきます。

パワーポジションとは:

持ち上げる物体に腰を近づけ、胸を張り、骨盤を前傾させ、膝を曲げる姿勢

簡単に説明しましと以下のような姿勢になります。

※写真はバーベルを下の位置に持っていますが、指導の際にはお腹の近くで持つようにしましょう!!

パワーポジションであれば誰でも危険水準を越えずに20kgの物を持つことが可能かというと、そうではありません。あくまで個人差があるため指導時には注意が必要です!!
また、腰部術後の患者さんにとっては、腰部の筋への侵襲もあるため、腰部はより不安定な状態であり、多少の負荷でも注意が必要になります!!

 

最後に

今回は腰痛に関連する、『椎間板圧縮力』について簡単ではございますが、説明させて頂きました。臨床ではパワーポジションにて動作指導をしているセラピストは多いと思います。

今回は、「なぜその姿勢で指導しなければいけないのか、なぜその姿勢は危ないのか」ということをより理解して頂ければ幸いです。

本日も最後まで読んで頂きありがとうございました。

参考文献

・松平浩:腰痛予防のエクササイズ-労働者に対する私の方法-MEDICAL REHABILITATION.No.198.2016.p63-69

・鈴木秀典:非特異的腰痛.脊椎脊髄ジャーナル.2019.Vol.32.p141-147

 

▷twitterのフォローもお待ちしております^^

こじろうのtwitterを見る

 

また、腰マガジンでも投稿していますので、そちらもご覧下さい!

腰痛治療の基礎から応用まで学べる激アツコンテンツとなっております!

<マガジンの特徴>

・月額¥980
・月に4本以上のコンテンツ配信
・Low back painに関するスペシャリスト4名が投稿
・Low back painの基礎から評価、治療に関して様々な視点から記事を投稿

腰マガジン【実践!ゼロから学べるLOW BACK PAIN】

ABOUT ME
こじろう
こじろう
整形外科病院勤務の理学療法士 腰痛/骨盤痛/ピラティス/運動器認定理学療法士/転倒予防指導士 運動器分野、特に腰痛・骨盤周囲の疼痛について発信、吸収していきたいと思います。
CLINICIANS公式コンテンツも要チェック!

 

充実の“note”で飛躍的に臨床技術をアップ

CLINICIANSの公式noteでは、ブログの何倍もさらに有用な情報を提供しています。“今すぐ臨床で活用できる知識と技術”はこちらでご覧ください!

≫ noteを見てみる

 

 

実践!ゼロから学べる腰痛治療マガジン

腰痛治療が苦手なセラピストは非常に多く、以前のTwitterアンケート(回答数約350名)では8割以上の方が困っている、35%はその場しのぎの治療を行っているということでしたが、本コンテンツはそんな問題を解決すべく、CLINICIANSの中でも腰痛治療が得意なセラピスト(理学療法士)4名が腰痛に特化した機能解剖・評価・治療・EBMなどを実践に生きる知識・技術を提供してくれる月額マガジンです。病院で遭遇する整形疾患は勿論、女性特有の腰痛からアスリートまで、様々な腰痛治療に対応できる内容!臨床を噛み砕いてゼロから教えてくれるちょーおすすめコンテンツであり、腰痛治療が苦手なセラピストもそうでない方も必見です!

マガジン詳細をみてみる

 

実践!ゼロから学べる足マガジン

本コンテンツでは、ベテランの足の専門セラピスト(理学療法士)6名が足に特化した機能解剖・評価・治療などを実践に生きる知識・技術を提供してくれる月額マガジンです。病院で遭遇する足の疾患は勿論、小児からアスリートまで幅広い足の臨床、エコー知見などから足を噛み砕いてゼロから教えてくれるちょーおすすめコンテンツであり、足が苦手なセラピストもそうでない方も必見です!

マガジン詳細をみてみる

 

実践!ゼロから学べる肩肘マガジン

本noteマガジンはCLINICIANSメンバーもみんな認めるベテランの肩肘治療のスペシャリスト(理学療法士)5名が肩肘の治療特化した機能解剖・評価・治療などを実践に生きる知識・技術として提供してくれます。普段エコーなどを使って見えないところを見ながら治療を展開している凄腕セラピストが噛み砕いてゼロから深いところまで教えてくれるので肩肘の治療が苦手なセラピストも必見のマガジンです!

マガジン詳細を見てみる

 

YouTube動画で“楽しく学ぶ”


実技、講義形式、音声形式などのセラピストの日々の臨床にダイレクトに役立つコンテンツが無料で学べるCLINICIANS公式Youtubeチャンネルです。EBMが重要視される中、それに遅れを取らず臨床家が飛躍的に加速していくためにはEBMの実践が不可欠。そんな問題を少しでも解決するためにこのチャンネルが作られました。将来的に大学や講習会のような講義が受けられるようになります。チャンネル登録でぜひご活用ください♪登録しておくと新規動画をアップした時の見逃しがなくなりますよ!

≫ YouTubeを見てみる

※登録しておくと新規動画をアップした時に通知が表示されます。

 

なお、一般の方向けのチャンネルも作りました!こちらでは専門家も勉強になる体のケアやパフォーマンスアップに関する動画を無料で公開していますので合わせてチャンネル登録を!

Youtubeを見てみる