整形外科

筋・筋膜性腰痛の特徴と発生メカニズム・理学的検査

こんにちは、理学療法士のこじろうです!

以前に仙腸関節障害や椎間関節由来の腰部痛についてまとめましたが、今回は「筋・筋膜性 腰痛の特徴」についてまとめました。特に筋・筋膜性由来の腰部痛の割合は多いためかなり参考になると思います。

 

筋・筋膜性腰痛とは

  • 筋・筋膜性腰痛とは、腰部および臀部の痛みを中心とする症候であり、一般的には神経症状を認めないものをいいます。筋・筋膜に由来するものは、腰痛の中で最も多いと言われています。
  • 腰痛の発現組織は筋・筋膜であり、筋硬結が疼痛の原因※として報告されています。硬結内の圧痛点はトリガーポイントと呼ばれ、圧迫によって離れた場所に関連痛を誘起することがあります。
  • 筋スパズムが筋の一部または数か所に存在し、運動制限や筋力低下のほか自律神経機能障害を併発することがあります

※筋硬結の筋より発現する運動痛には収縮痛、伸張痛、短縮痛があります。

 

筋・筋膜性腰痛の特徴

腱付着部炎や慢性筋疲労のほか、椎間関節障害や椎間板ヘルニア、神経根性疼痛が原因となって筋緊張が亢進し、引き起こされていることもあったり、 それらの随伴症状としてみられることも多くあります。

前屈制限や後屈による痛み、中腰姿勢が困難であること、長時間の同一姿勢保持困難なども特徴の1つです。

急性の痛みであれば疼痛部位は比較的限局していますが、慢性になると筋スパズムの増強や中枢神経系の感作が加わり疼痛部位や性質は多岐にわたります。

 

筋・筋膜性腰痛の発生メカニズム

末梢メカニズムとしては、筋に対する過負荷や筋障害によって終板部で機能障害が生じる と、終板で過剰分泌されるアセチルコリンによって持続的な筋収縮が生じ、さらに筋内血 管の圧迫による虚血・循環障害も重なり、エネルギー不足・枯渇に伴い、代償的に生じる 発痛物質により痛みが生じると言われています。

 

理学的検査法

1、問診

発症機転から生活歴、仕事内容、手術歴から外傷の有無も確認しましょう。

また、睡眠不足の有無、精神的ストレスも確認します。

睡眠不足や精神的ストレスは疼痛閾値の低下に関与し、腰痛が容易に発現しやすい環境に陥ります。

2、視診

  • 筋硬結による筋痛がある場合、硬結筋は伸張される姿勢をとっていることが多いです。腰椎や骨盤、股関節のアライメントや左右差を確認しましょう。
  • 痛み領域周辺の皮膚の色や荒れも確認しましょう。 疼痛が慢性化するほど硬結筋周囲の皮膚が黒ずんだり吹き出物などが出現することも あります。

 

3、運動検査

  • 特に自動運動検査が重要です。後屈運動検査では、他動的または自動介助にて腰椎を伸展してもそれほど痛みの訴えはないですが、立位や腹臥位にて自動的に腰椎を伸展することでこむらがえり様の痛みを呈し、そのあと動作を中止しても速やかな腰部筋の弛緩が得られないこともあります。
  • 痛みの質は前屈時は「つっぱる、すじが張る」という性質のものであり、後屈時は「詰まるような、つっかえるような」という性質のものである。
  • 硬結筋の短縮域での収縮痛か、もしくは伸張域に向かう抗重力位での収縮痛なのかも 確認しましょう。

 

4、触診検査

問診、視診、運動検査によって筋硬結部位を推定した上で最後に触診検査を行います。

硬結部位を正確にとらえ、骨面に対し垂直に圧迫すると鋭い圧痛や関連痛を認めます。

合わせて、その際の全身反応として、関連痛領域内に存在する筋の収縮反応や鳥肌、発汗、発赤などの自律神経反応を確認します。

また、硬結部の大きさ、形、質、浮腫感なども把握します。

 

筋・筋膜性腰痛症によくみられる筋硬結部

下部腰椎部多裂筋、腰腸肋筋腸骨起始部、胸最長筋仙骨付着部、腰方形筋腸骨起始部、中 臀筋後部線維、梨状筋、大臀筋仙骨部、仙結節靭帯、大腰筋など。

※筋・筋膜性腰痛症は背部浅層の傍脊柱筋に起因するものばかりではありません。腰椎の 乳頭突起、副突起、肋骨突起に付着する横突棘筋など深層の固有背筋に生じる筋付着部 炎様の病態などの触診も重要になります。

 

自動運動療法

血流増大を目的に行われます。

それにより、筋の性状を良好に保ち、筋の伸張性を維持します。

そして最も重要なことは硬結筋の伸張運動です。 また、それに加え、歩行や軽いジョギングで腰臀部筋の筋ポンプ作用を良好にする軽い負荷の運動も有効になります。

 

今回は筋・筋膜性腰痛に関して簡単ではありますがまとめてみました。

また、今までの投稿も踏まえて何の組織由来の腰痛かを鑑別する際の参考にして頂けたら と思います。

最後までご覧いただきありがとうございました!

 

参考文献

小林絋二:理学療法技術ガイド第 3 版:951-957牛田享宏:筋・筋膜性腰痛症の病態と整形外科的治療.理学療法 25(1):65-75

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