フットケア

後足部の回内外の動きによるアライメント変化と臨床でよくみられる問題

こんにちは、理学療法士&フットケアトレーナーのだいきです。 

今回は、後足部の回内外の動きによるアライメント変化と臨床でよくみられる問題について知らない方でもわかりやすく丁寧にご紹介しています。

足に苦手意識がある方は超チェックです!

 

後足部の解剖と動き

後足部は読んで字のごとく足部の中でも後ろ側(踵側)の部分の事です。 

具体的にはショパール関節よりも近位部の関節で、構成関節は距腿関節と距骨下関節です。

 

基本的に距腿関節は距骨が両端から脛骨と腓骨に挟まれているために安定性が担保されていますが、距骨下関節は踵骨に対して距骨の方が内側に位置しているため荷重に伴って回内方向へと動いていきます。

 

この動きは、荷重に伴って距骨下関節が回内方向に動くことで内側縦アーチ、外側縦アーチ、横アーチを低下させて荷重の衝撃を分散するはたらきをもちます。

荷重負荷が解除されると足部のアーチが復元し距骨下関節も元に戻ります

 

人間の足はこのように後足部から生じた動きを足部に伝えていきアーチの低下と修復を繰り返しながら荷重や歩行を行なっています。 

 

後足部の過剰な回内、回外とは 

このような荷重に伴う足部の機能的変形が

・大きすぎる状態が扁平足(過剰なアーチの低下)

・小さすぎるものが凹足(過剰なハイアーチ)

と考えると良いかと思います。

 

どちらも適度に足部の機能変形が維持されていれば良いのでしょうが、

・機能的変形が大きすぎる場合には距骨下関節回内によるアーチの低下に付随したトラブルが発生する

・機能的変形が小さすぎる場合には距骨下関節回外によるハイアーチに付随したトラブルが発生する

などの問題が起きます。

 

踵骨が床に対して内側に傾斜していれば荷重は踵骨を内側方向へと押し込みます

このような足部の状態を回内足と呼び、後足部より遠位の足部構成体は足部アーチの低下方向へのストレスを受け続けます。 

 

踵骨が床に対して外側に傾斜していれば荷重は踵骨を内側方向へと押し込みます

このような足部の状態を回外足と呼び後足部より遠位の足部構成体は足部アーチの挙上方向へのストレスを受け続けます。 

 

後足部の過剰な回内、回外で起こりやすい症状 

距骨下関節(後足部)回内足、回外足が過剰になると出現してくる症状があります。 

回内足では写真のように 筋肉としては後足部回内に対して後脛骨筋が足部アーチの低下に伴って過剰なブレーキ作用が強要されます。

筋の症状で良くあるのが①後脛骨筋炎、②後脛骨筋の付着部の炎症である外脛骨障害、筋コンパートメントの内圧上昇に伴う③シンスプリントです。 

 

最後に写真を掲載していますが、この部位に圧痛がある場合には僕は後脛骨筋をターゲットにリリースすることもあります。

後脛骨筋のリリースや評価に関しては以下の記事が動画付きで分かりやすいのでご参照ください!

アーチ高率とNavicular Drop Test:後脛骨筋の機能不全(扁平足)の評価方法こんにちは、理学療法士の青木です。 今回は内側縦アーチを形成する最も重要な筋肉、後脛骨筋の機能不全の評価方法(アーチ高率とNavi...

 

また、アーチの低下によって足底腱膜炎や後脛骨筋腱炎、内側型のアキレス腱周囲炎も起こりやすくなります。 

骨の障害としては種子骨障害や中足骨頭部痛も起こりやすいです。 

 

後足部回内によって主に下腿の内側のトラブルが起きやすいことがポイントですね!

 

 

回外足では、先ほど述べたように機能的な足部の変形が小さく荷重に伴う衝撃吸収が低下した足を意味します。

筋肉としては後足部回外に対して長・短腓骨筋が過剰なブレーキ作用を強要され腓骨筋腱炎、腓骨筋の付着部の障害が起こります。

先ほど後脛骨筋で述べた内容と同様に長・短腓骨筋に対してリリースを施行し評価する場合もあります。

また、後足部回外は外側型アキレス腱周囲炎も起こりやすいです。 

 

後足部回内、回外で起こる運動連鎖 

距骨下関節(後足部)回内、回外によってアーチや下腿周囲に起こる影響について述べてきましたが。 

後足部回内、回外の動きによって足部より近位の関節も影響を受けます。

上行性運動連鎖をザッとまとめたものを下記に載せます。

距骨関節回外時 距骨関節回内時
腰椎 伸展 屈曲
骨盤 前傾・同側前方回旋 後傾・同側後方回旋
股関節 屈曲・内旋・内転 伸展・外旋・外転
膝関節 屈曲・内旋・外反 伸展・外旋・内反
脛骨 内旋・前方傾斜・内側傾斜 外旋・後方傾斜・外側傾斜
距骨下関節 回内 回外

 

運動連鎖もいろんな見方がありますがポイントとしては後足部から動きがスタートするとして上行性、体の上の方(頭部の方)に連鎖と思ってください。 

 

例えばですが…

後足部が回外していると下腿が強制的に外旋し鵞足炎や前脛骨筋症候群などを引き起こすことにもなります。 

 

運動連鎖の臨床応用方法については以前にたけ(@RihaClinicians さんが動画で解説しているのでそちらを見てみてください。

 

 

今回は後足部の回内外の動きによるアライメント変化と臨床でよくみられる問題について投稿させていただきました。

後足部は文献によると3〜8°内側に傾いているのが正常と定義されています。

後足部の回内、回外の動きが過剰になった場合に今日説明した症状が起こりうるという説明をしただけなので過剰な回内回外の動きがある=アライメント不良と決めつけるのも良くないと思います。 

今回の投稿で後足部の評価や下腿の治療のヒントになればと思います。 

 

さっそくこの投稿を書いている途中に質問されました…

「じゃあその過剰な後足部の回内回外をどうやって評価するの?」

次回以降、僕が臨床でしている、道具を使わない後足部のアライメント評価を紹介させていただきたいと思います。

最後まで読んでいただいてありがとうございました!

 

参考文献

運動器疾患の機能解剖学に基づく評価と解釈 下肢編/林典雄/林典雄/岸田敏嗣
結果の出せる整形外科理学療法 運動連鎖から全身をみる [ 山口光国 ]
足部・足関節理学療法マネジメント 機能障害の原因を探るための臨床思考を紐解く [ 片寄正樹 ]


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