脳・神経

脳卒中片麻痺患者の運動麻痺の最終到達レベルを簡単に予測できる方法

こんにちは、CLINICIANSの代表のtake(@RihaClinicians )です!

今回は脳卒中片麻痺患者の運動麻痺の最終帰結を簡単に予測できる方法をご紹介します。

知ってるだけで誰でも簡単にできる方法なのでぜひ覚えておいてください(o^^o)

 

脳卒中を発症した患者さんの運動麻痺はどの程度まで改善するのか!?

脳卒中の予後予測には様々なものがありますが、運動麻痺がどの程度のレベルまで改善するのかどうかに着目してみてみると非常に単純かつ簡便にわかる論文があるので紹介します。

 

 

この論文は、脳卒中リハを行っている人であれば知らない人はいないといっても過言ではない、二木立先生の論文です。

非常に細かい臨床データの収集、解析、考察がなされており、勉強になるだけではなく、80年代にこのような有用なものが出されているかと思うと、読み返すたびにいつも感心させられています。

 

この論文の中では、発症時から6か月経過時点までのBrunnstrom Recovery Stage (以下ブルンストロームステージ)の変化がステージごとに分析されています。

ブルンストロームステージがわからない方はまずはこちらの記事をご参照ください。

運動麻痺の評価法:ブルンストロームの正しい評価法を徹底解説!運動麻痺の評価法ブルンストロームの正しい評価法について知りたいですか?本記事では、どこよりも正確にブルンストロームの原著に基づく適切な評価方法を解説しています。評価は評価法考案者の規定通りに行わなければ全く意味がありません。ブルンストロームの運動麻痺の評価法をマスターしたい方は必見です!...

 

 

論文の結果を見て発症時と6か月経過時のブルンストロームステージを分割表にすると、以下のようになっていました。

*印は発症時のステージごとに6ヶ月時のステージに統計的な差(有意差)があったかどうかを示しています。

上下肢ともにステージⅠとⅡ、Ⅲ、Ⅳ~Ⅵの3群間で6ヶ月時の状態(回復の状態)に著しい差を認めています。

 

ここで特に注目すべき点が一つ!

赤い波線と矢印をつけていますが、ⅢとⅣ~Ⅵが大きく分けられているということがわかりますか?

 

ステージⅢ以下では、6か月経過時点もステージが変化しないものやステージが低いものが存在していますが、ステージⅣ以上ではほぼ全症例がステージⅥまで改善を認めています

上肢を例に見てみると、発症時BRSⅣの14人中13人(92.9%)は6か月経過時点にBRSⅥに到達しているのに対し、発症時BRSⅢでは37人中17人(45.9%)、さらにBRSⅠとⅡでは44人中6人(13.6%)がBRSⅥに達したにすぎません。

 

つまり、ここで言いたいのは、

上下肢伴に発症時にステージⅣ以上であれば運動麻痺はステージⅥ(非麻痺側には劣るが非麻痺側に近いぐらい良好な状態)に改善する

ということ!

 

ステージⅢ以下の症例に関してはばらつきが大きく、どの程度まで改善するかという明確な結論は得られていません。

 

 

今回紹介した結果を臨床で利用すれば、発症時にステージⅣ以上である患者さんには最終的(6か月経過時点)にどの程度まで改善するかといったおおよその状態を提示することができます

 

しかし、この結果だけではどの程度の期間で麻痺がステージⅥのレベルに達するのかは提示できませんね・・

 

最終到達レベルがわかったら次はそのレベルに到達する期間を予測しよう!

この問題に関しては運動麻痺の改善とプラトーまでの期間の記事で詳細にご説明していますのでこちらをご参照ください♪

脳卒中の目標設定はこれでできる!運動麻痺の改善とプラトーまでの期間脳卒中の予後予測について知りたいですか?本記事では、1000名以上の脳卒中患者を治療したセラピストが有用な研究論文を元に運動麻痺の改善とプラトーまでの期間を予測・設定する方法を徹底解説しています!適切な脳卒中の予後予測をマスターしたい方は必見です!...

 

ADL関しては二木先生の予測で目標を設定しましょう。

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参考資料

1)二木 立:脳卒中患者の障害の構造の研究―(第1報)片麻痺と起居移動動作能力の回復過程の研究.総合リハビリテーション.11(6);1983:465-476.

 

運動麻痺を治療するためのおすすめ書籍

 

 

 

 

 

本日は以上で終わりです。

最後までお読みいただきありがとうございました!

 

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