脳・神経

上田式12段階片麻痺機能検査の評価方法!BRSと比較した運動麻痺評価のメリットと臨床応用法を徹底解説!

こんにちは、CLINICIANSの代表のtake(@RihaClinicians です!

今回は運動麻痺の評価法として非常に有名な上田式12段階片麻痺機能検査について詳細にご説明します。

また、これに加えてBrunnstrom Recovery Stage(以下ブルンストローム)との違い、上田12段階片麻痺機能検査を評価するメリットと臨床応用法を具体的にご紹介します!

ブルンストロームステージがわからない方は以下の記事で詳細にご紹介しているのでこちらをご参照ください。

運動麻痺の評価法:ブルンストロームの正しい評価法を徹底解説!運動麻痺の評価法ブルンストロームの正しい評価法について知りたいですか?本記事では、どこよりも正確にブルンストロームの原著に基づく適切な評価方法を解説しています。評価は評価法考案者の規定通りに行わなければ全く意味がありません。ブルンストロームの運動麻痺の評価法をマスターしたい方は必見です!...

 

上田式12段階片麻痺機能検査とは

上田式12段階片麻痺機能検査は、運動麻痺の評価法であるブルンストロームをベースに12段階化して感度を高め、この欠点を補完するために開発された検査です。

運度麻痺の評価がブルンストロームだけでは不十分な理由

ブルンストロームには以下に示すような欠点があります。

上田式12段階片麻痺機能検査の評価はこの欠点を補完するためにつくられました。

個々のサブテストの可、不可の判断基準が明確ではない

例えば、Stage Vのサブテスト「肘伸展での肩外転」では、肘が少しでも屈曲していれば不可となるか、肩外転が90°できず80°程度にとどまる場合に可とするか不可とするかなど、可と不可の判断基準が明確でない

総合判定の基準が明確でなく検者によって評価が一定しない

各サブテストの成績を総合的に判定してStageⅠからVIまでの6段階に分類するが、その総合判定の基準が明確でなく検者によって評価が一定しない

例えば、Stage Ⅳ、Ⅴを決定するためのサブテストは各3個あるが、そのうち1個ができればそのStageとしてよいのかどうか、またStageIVのサブテストが2個しかできないのにStageVのサブテストが1個できたような場合にStageVとしてよいのかなど。

StageⅥの判定が非常に曖昧

StageⅥの規定である「運動の協調ほぼ正常」(上肢)を具体的には何で判定するのか不明(ブルンストロームにはスピードテストが含まれているが、それとStageとの関係は明確でなく参考的なものにとどまる)。

上肢と下肢のテストの間に一貫性がない

上肢のテストは多数例についての検討の結果としてかなり帰納的に作られたとみられ、改訂もなされている。

しかし、下肢は説明も簡単で十分な検討があったかどうか不明である。

さらに、下肢のStage分けの原理は上肢と異なり、StageVIは協調性による規定ではなく、IVとVのサブテスト数も各2個と上肢より少ない

サブテストの難易順の再検討が必要

サブテストの難易度は臨床所見と一致しないことが多い。

例えば、上肢StageⅣのサブテストのうち「肘屈曲位前腕回内外」は回内動作が特に難しいが、StageVのサブテストである「肘伸展位肩外転」の方がしばしばより容易におこなわれる。

6段階では評価スケールとして幅が狭い

実際には10数個のサブテストを検査しているが、6段階評価では幅が狭い

例えば、StageⅢでは範囲が非常に広く、同じⅢといってもその初期(肘のわずかな屈曲が可能な程度)と完成期(屈筋、伸筋の両共同運動パターンが共に十分に可能)とでは機能上、ADL上もきわめて大きな差がある。

さらに、完成期に到達するまではかなりの時間を要すること多く、これはStageⅣやⅤについても同様のことが言え得る。

臨床現場では、便宜的に「StageⅢの初期」、「StageⅣの中期」などの表現が行われており、結果的にほぼ10数段階に及ぶ細分化された評価が行われているが、それらの細分化の基準が明確でないため、不明確なStage分けにさらにあいまいさを持ち込む結果になっている

上田式12段階片麻痺機能検査の評価法

では、実際に上田式12段階片麻痺機能検査の評価方法をご説明します。

運動麻痺の評価は、上肢と下肢について以下の図に挙げた11のサブテストを行います。

各サブテストは

不可能

不十分

十分

で評価し、総合判定に従って運動麻痺の程度の判定を決定します。

グレード12は、サブテスト11を用い、ブルンストロームでも使用されていたスピードテストの判断条件を規定したものが用いられています。

上肢機能評価法

下肢機能評価

総合評価判定(上下肢)

なお、拘縮などで上記のサブテストが困難な場合、一部は以下の予備テストの使用を検討してもよいです。

ただし、これは正規のテストの施行が困難な場合にのみに限り、安易に行ってはならないと上田先生は原文で述べられています

上下肢予備テスト

ブルンストロームからみた上田12段階片麻痺機能テストの改善点と利点

上述の内容をまとめると、ブルンストロームと比較した上田12段階片麻痺機能テストの改善点とメリットは以下の通りになります。

改善点とメリットまとめ

・個々の判断基準を明確にした

・総合判定の基準を明確にした

・上下肢伴にStageⅥ(グレード12)の判断はスピードテストを用いて協調性を評価するようにした(一貫性を持たせた)

・難易度の再検討が行われ各サブテストの難易度の程度の間隔も同程度に設定した

・段階を12段階まで増やしたが信頼性と妥当性は高かった

・段階を増やしたことで臨床上の変化が客観的尺度で測れるようになった

・Brunnstrom Recovery Stageの2.4倍の精度で片麻痺の回復過程を段階分けすることができた

今回、運動麻痺の評価法として、上田式12段階片麻痺機能テストを紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

サブテストが11個もあるので覚えにくいですが、多用しているブルンストロームにも類似していますし、簡単に変換もできます

先に述べたような上田式12段階片麻痺機能テストの利点から、この評価法の臨床上のメリットは非常に高いため、運動麻痺の評価の第一選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。

臨床応用方法

なお、上田式12段階片麻痺機能検査の運動麻痺の評価法には、臨床の一場面の麻痺の評価に限らず以下のような色々な使い道があります。

・治療効果の判定

・プラトー時期の判定

・予後予測

などなど・・

治療効果の判定や研究で使える

評価段階が多いため、麻痺の変化を鋭敏に測定することができる。

よって、BRSと比べて治療効果を出しやすい

また、これは臨床研究でも差異が出やすい要因となる。

プラトー時期の判定に使える

これも段階が多いことがメリット。

BRSでは拾えないレベルの変化が拾え、天井効果もBRSに比べて出にくい。

よって、これを正確に評価していればプラトー時期が来た時に判別しやすい

ベッドサイド上での評価が予後予測としても使える

超急性期から予後予測を行うことを考えると、ブルンストロームは端座位をとらないとStageⅣ以上の評価は行えませんが、臥位でも評価できる上田式12段階片麻痺機能検査を評価してBRSに変換して使えば予後予測としても使えます。
(※厳密には予後予測のモデルを提示している原著通り、BRSを使っているものはBRSで測定しないと当たる保証はないですけど・・ だいたい的中しますw)

予後予測については以下の記事をご参照ください。

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参考資料

1)上田敏,福屋靖子,他:片麻痺機能テストの標準化―12段階「片麻痺回復グレード」法―.総合リハビリテーション.1977;5(10):749-766.

2)細田多穂,柳澤健:理学療法ハンドブック 第1巻 理学療法の基礎と評価.協同医書出版社.東京.2010.

運動麻痺を治療するためのおすすめ書籍

今回で上田12段階片麻痺機能検査の評価方法は十分に理解できたと思いますので、ぜひこれを臨床で有効活用してみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました!

ABOUT ME
たけ
たけ
理学療法士&ピラティスインストラクターをメインに姿勢・パフォーマンス改善のプロとして活動中! 過去には世界で最も患者が多い病院、某大学病院で超急性期のリハビリテーションに貢献。その他にも認定脳卒中、呼吸療法認定士、ガンリハなどの資格を保有。 超急性期から障害予防までの多岐にわたる分野の記事を執筆中!
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